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押しかけ女房のお嬢様とオタクの俺は釣り合わない  作者: 海老の尻尾
第2章 オタクと練習試合
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第2章 オタクと練習試合 その4

「本当ですか!?」


 勇人は少年のように純粋な目をキラキラ輝かせて言った。


「ああ、とは言っても代打くらいになるとは思うからあまり期待はし過ぎるなよ」

「それだけでも十分です! ありがとうございます!」


 100度くらい頭を下げてお辞儀した。勇人のような野球バカにとって試合は最高のご馳走であり、こういうテンションになるのが普通であるがそうでない者にとってはただしんどいだけである。


「ちょっと待って下さい、何で俺たちが出られるんですか? まだ入って数箇月の新人が」


 いくら中学時代に全国に行ったとはいえいきなり試合に出られるほど俺は頑張った覚えはない。それに入ってから気付いたのだがここ八重葎高校は甲子園出場の常連校らしい。だから全国津々浦々から実力者が集まってくる。ちなみに俺は単純に家に近いから選んだ。


「理由は簡単だ。新人の中でお前たちが一番努力しているからだ」


 いや、していないです。少なくとも俺は今もずっと明日発売の漫画のことを考えています。


「今日もものすごく速く草むしりをしていたじゃないか。そのやる気、先生はしっかり見ていたぞ」


 早く帰宅しないといけないですからね。というか俺は別にやる気はありません。


「それにこの前部室でボール磨きしていたじゃないか。中々自発的にできるものじゃないぞ」


 ……ボール磨き? あ! おにチョメ第2話で藍ちゃんがお兄ちゃんのために部屋中を綺麗にするやつだな。健気で可愛かったがお兄ちゃんが鈍感すぎて最終的にスカイアッパーされたのは笑ったな。

 それで試しに部のボール磨いていたらつい楽しくなっていたあれか。


「何だと侯輔、そんなことしていたのか。俺もすれば良かったなー」


 勇人がガックリと肩を落とした。そんなにボール磨きしたい人なんてそうそういないけどな。


「それで頑張っているお前たちにささやかなプレゼントだ。こういう細かい努力は誰かしら見ているから無駄になることは絶対に無いからな」


 良い言葉を聞けて嬉しいのですができれば貰って嬉しいプレゼントが欲しかったです。


「まあそういうわけで明日7時30分にここ集合な。遅刻は厳禁だぞ」


 そう言い終えると先輩たちがやっているノック練習に戻っていった。俺たちも再び草むしりを始めた。

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