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押しかけ女房のお嬢様とオタクの俺は釣り合わない  作者: 海老の尻尾
第2章 オタクと練習試合
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第2章 オタクと練習試合 その7

 試合が始まり快晴の下白熱している両校。だが俺はしばらく出番は無いので全然白熱していない、出ていたとしても燃えてはいないだろうけど。相手校にもあの大きなスーパールーキーは出場しておらず、俺たちと同じで代打的なところで今日呼ばれたのだろう。

 現在の状況はというと、強豪校相手に1点リードのまま9回表まで来てしまっている。先輩たちが奮闘してくれたおかげで有利に展開している。このままだと本当に代打で呼ばれるかもしれない。どうしようかな、腹痛くなったって言って帰ろうかな。


「ストライーック、バッターアウト!」

「あっと一人! あっと一人!」


 ツーアウト取り、あと一人でこっちの勝利となる。よし、先輩がここ抑えてくれれば俺の出番は無く終われる。もしピッチャー交代としても呼ばれるのは勇人の方だ。頑張って下さい、先輩。


「このままやとアカンな……よし、ここで東山投入や! 代打や、行ってき!」


 向こうの監督から代打として『ヒガシヤマ』が呼ばれた。ものすごく威圧的な立ち居振る舞いでバッターボックスに君臨した。まだあと一人コールは鳴り止んでいないが全然意に介していない様子だった。


「これでゲームセットだ!」


 先輩が今まで投げた中の球でおそらく最高速のストレートが放たれた。キャッチャーすら吹き飛ぶようなそんな球なんか誰も取れないと誰もが悟った、その箱にいた男以外。バットを水平に振るとジャストのタイミングで衝突して高く飛んでいった。高く高く空を舞い、とうとう最端まで行ってしまった。


「や、やったでーー!! ホームランや! これで逆転したで!」


 向こうの監督の高らかな声が響いた。ツーアウト一塁だったその状況からホームランを入れられて一気に2点取られてしまい、逆転されてしまった。堂々としてグラウンドを周回しており、彼がホームベースを踏むと向こうから大きな歓声が聞こえてきた。


「お前やるやんけ! ナイスバッティングやで」

「スーパールーキーいうんは伊達ちゃうな、ホンマ」

「次からレギュラー入りかもしれんな」


 皆からの拍手喝采に彼は丁寧に会釈していた。会話するのは苦手なのかな? というかさっきからこっちを見ているような……うん、気のせいじゃないな、すごい見ているな。

 オタクの標準装備能力である不可友好(インポッシブルフレンドリー)、要するに人見知りである俺にとってずっと見つめられることはしんどい。俺は代打で呼ばれないことを祈りながらトイレに向かった。


「さっきの人何だったんだろう……」


 トイレでそんな独り言を呟いていると後ろから足音が聞こえてきた。


「やあ、“Mr.バック”。まさかこんなところで会うなんてね」


 え? 女の人? そう思って振り返るとそこにはさっき大活躍した『ヒガシヤマ』さんがいた。巨体に似つかわしくないほどの高い声だった。そして俺に向かって“Mr.バック”と呼びかけた。俺がその名前で通っているところは限られているのでこれでこいつが何者か確信できた。

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