天外魔境IIの話
やあやあ、兄らは天外魔境IIというRPGを御存知で御座ろうか。
四半世紀ほど前、PCエンジンというプラットフォームで発売されたタイトルで、「西洋から観た奇天烈な日本観」を元にした和風もどきの世界観が特徴の天外魔境シリーズの第二作で御座る。
とは申せども、某も世代が合っているわけではなく、プレイしたのは つい何年か前のことで御座るが。
名作という評判を受けプレイしてみたところ、痛く感動したもので御座る。
この作品に関して、まず語るべきは容量の大きさで御座ろう。
PCエンジンはファミリーコンピュータとスーパーファミコンの間に発売されたハードで候えども、CD-ROMに対応して御座った。
CD-ROMと言えばプレイステーションで御座るが、それとは違い、ポリゴンのような容量を食う要素もなくファミコンに近いレベルの軽いゲームを収めるのだから、比較してどれほどの大容量であるか推し量ることができましょう。
そして、当時は、いわゆるバブル景気の真っ只中だったので御座る。
時代を先取りしたCD-ROM、RPGブーム全盛、期待を背負ったシリーズ第二作、バブル景気の潤沢な資金、それらが噛み合った、おそらく二度と作られない極めて贅沢で濃い作品なので御座る。
結果、ろくに寄り道せずとも60時間は遊べるという史上最長と言いきれるほどの大長編RPGに仕上がった。
しかも、非常に展開が早く、イベントも盛りだくさん、戦闘も他に類を見ないほどテンポが良く、冗長さを一切感じられぬ。
その上で、ゲーム難度が極めて精緻に整えられているので御座る。これが何より重畳。
これほどの長編RPGが、ゲームとして綻びもなく成立していることが貴重なので御座る。
肝心の物語はわかりやすい勧善懲悪なので御座るが、それ故に血が滾る。
そして、敵を倒すことが漫然とした作業になることは無いで御座ろう。
なぜならば、登場する敵はみな文句なく悪逆非道。すぐにも その凶行を止めたいと思うこと請け合いで御座る。
何より、全ての敵将がゲームの敵として強い!
最大限の死力を尽くして、ぎりぎり勝てないくらい強い!
しかし、主人公たる「火の一族」は、何度倒れても立ち上がり敵を打ち倒す存在である、と作中で語られるので御座る。
作中で恐怖を振りまく存在として相違ない強さをみせる敵と、倒されても立ち上がる勇者。
十全に調整されたゲーム難度が物語の体験に強く影響を与えていることに某は感動したもので御座る。
更なる魅力として、ビジュアルシーンとボイスが挙げられましょう。
CD-ROMの大容量を活かして、アニメーションやキャラクターボイスがふんだんに盛り込まれているので御座る。
アニメとゲームの融合、その一つの完成形を見ることができましょう。
起用されているキャストも、山口勝平や千葉繁、青野武など豪華な顔ぶれで御座る。
まとめると、ボリュームとゲームバランスと演出が最高峰のRPGということになりましょうか。
日本の古典的RPGが好きならば是非お勧めしたい作品で御座るな。
さて、実際にプレイする手段で御座るが……
PCエンジンの実機でプレイするのはハードルが高いとして、リメイク版やゲームアーカイブスなど、いくらか選択肢が御座る。
ただし、プレイステーション2とゲームキューブで出たものはお勧めできませぬ。
演出面が大幅に強化され、見た目は悪くはないので御座るが、ゲーム難度が不用意に再調整されているので御座る。
先ほど申したように、この作品にとってゲームバランスは生命線なので、そこを変えられると魅力を損なう。
ゲームアーカイブスでプレイするのが無難で御座ろうが、リメイク版ではニンテンドーDSで発売されたものが好まれているようで御座る。
ちなみに某がプレイしたのはPCエンジンのオリジナル版。
移植・リメイク版では一部の過激な演出や台詞が変更ないし削除されているとの情報を受けてのことだったので御座るが……
馬鹿野城での一件の衝撃は忘れられぬ。