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第二章 ②

「指向性音響システムを採用しているため、端末からの音声が他人に聴こえることはありません。基本的にはタッチパネルでの操作になりますが、話しかければ大抵のことは自動でやってくれます。例えばぁ……『一年C組のみんなにメール』」

数秒して、教室中から受信音が鳴り響いた。アイコンをタッチして、受信メールを開く。本文はなくて、送信者の欄にはセフィァの名前。

「――とまぁこんな感じですね。学園からのメール必ず開くようにしてくださいね。特にランク戦に関するものは重要なので」

「あのー……」

編入生を置き去りに進められていく話に、前に座っている生徒の中から控えめに手が挙げられた。

「さっきから話に出てくるランク戦って何なんですか?」

「ああ、すいません。つい……。そうですね、どこから説明しましょうか。……パンフレットにも簡単に書かれていたと思いますが、そもそも、この学園には二種類の評価が存在します。まず、ここにいる誰もになじみ深い、試験や訓練などのスコアによって決まる成績。――そしてもう一つ」

ピッ、と人差し指が立てられる。

「単純に魔道騎士としての実力だけで決められる、全校生徒を対象とした学内ランキングです。試しにみなさん自分の校章をデバイスでスキャンしてみてください」

デバイスの指示に従いながら、校章を近づける。ルーミックのデバイスに表示された画面には、自分の顔写真と名前。そして、その下に『RANK』と書かれた欄があった。ただ、ルーミックのものには横線が一本入っているだけで具体的な数値は書かれていない。

「編入生の方は判定の基準がないのでまだランク圏外ですが、そうでない方は中等部での成績に応じて現在のランクが表示されています」

チラリとルーミックの目が隣に座るエイリスを向く。

彼女は一体何位なのだろうか。

「ここで最初の質問に戻りますが、ランク戦というのはランクを手っ取り早く塗りかえるための手段だと思ってください。ランク戦は学年問わず無作為に選ばれた相手と一対一での戦いになりますので、当然、二人のランクに隔たりがあります。その場合、ランクが下の人が勝てば二人のランクが入れ替わる仕組みとなっています」

「じゃあ、ランクが高い人が勝ったらどうなるんですか?」

「ランクの変動はありません。まぁ、勝って当たり前、ということでしょうか」

「負けたら罰はありますか?」

「いいえ。真剣に戦う以上、怪我がつきものです。ランクが高いのは名誉なことではありますが、それが全てではありませんから、棄権も認められています。もっとも、ランクが高い方の人がそれをすると不戦敗扱いになってしまいランクが入れ替わるので、注意が必要ですけどね」

にこっと笑って、これまでの解説をイラスト付きで図解してくれていたスクリーンの電源を切るセフィア。

「――とまあ、わたしからはこんなものですね。もっと詳しく知りたい場合はデバイスで調べてもいいですし、わたしに訊きに来てくれも構いません。では、今日はこれで解散ですっ!」

景気のいい号令。すぐに教室を出ていく人や、一か所に集まってお喋りを始める人たち。初日だというのにあっさりと。まだほとんど誰とも話していないというのに。さすがにこのまま寮に帰るのも躊躇われてこれからどうするか悩んでいると、

「ルーミックさん」

「はい?」

「ルーミックさんは高等部からの人なんですよね? よろしければ学園を案内しようかと思ったのですが、いかがですか?」

願ってもない提案に、断わる理由がない。一も二もなく頷いて、今はエイリスと二人、廊下を歩いているルーミック。

さすが通い慣れているのか道に迷うようなこともなく。

普段の授業が行われる教室に、実技や各自のトレーニングのために使われる訓練場。図書館には歴史や魔装などについての本や、持ち出し禁止となっている学園が創立してからのことを書いたものなどなど……。

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