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電子狐になりまして  作者: きつね耳モフモフ
開始編
61/106

街開放

占拠、ではありません。

街の中をNPC達がそれぞれの目的に従って移動していく。

ある者は買い物だったり、またある者は日常の巡回だったりと。

敵勢NPCであると判断されなければ無害である筈の彼らは今、


 それぞれが動く障害物として動物プレイヤー達の前で

動きを止める事なく、黙々と動き回っていた。

彼らが無視されている理由は唯一つ。


 彼らが皆、住人NPC達の索敵センサーのレンジ外に

居る事に他ならない。ひっそりと彼らプレイヤー達が潜むのは

何かの通気口だったり街路樹の枝の上だったりと多種多様だが。


 「チチチチチ!」「「チュンチュン!!」」

合図と共に小鳥達がそれぞれの囀りで住人NPC達を振り返らせ、

その歩みが鈍った瞬間に足元を栗鼠等が走り抜けたりする。


 蛇や蜥蜴達はその隙にニョロニョロとかトテトテと

誰も見ていない街頭の死角を走り抜ける。

生憎と下水道は無いが溝はあるのでそれも活用する。


 それでもどうしようも無い場合にはあえての囮作戦だ。

PTに属していない者を作り出して、センサーレンジ内に踊りでる。

場合によっては猫が鼠を追い掛けるといった光景も作り出し。


「ぐわーーっ。ここは任せた!!先へ行けーーっ!!」

「ねぇねぇ。ちょっと待って私を構って構って!!」

「はっけよーい!残ったのこった!!あーれーー落ちるー(棒」


 なんて具合に各々の特性やら野生での生態をも再現しつつ

モフり倒されたり足元に縋り付いたり口喧嘩したりと

動物らしくアピールしつつ仲間達に先を託してたりしてる。


 中には攻略開始時間をずらす事で茂みの中等にログインしては

そのままPTを組まずに突進していっては身代わりになる者や

身代わりの身代わりに行ったはいいけど足止めで精一杯な者etc・・・


 キンコン、キンコン~♪『オメデトウございます!!』

『この街の動物プレイヤーの皆さんの進出率が一定数に達しました。』

『よってこの街に置ける動物プレイヤーの方々への滞在権が開放されます。』


 その宣言と同時に揉みくちゃにされたり棒で叩かれそうになっていた

身代わりの動物プレイヤー達への街NPC達の風当たりが柔らかくなっていく。

モフられる時にはモフられるものの、彼らの滞在が許された瞬間であった。

台詞はあえて翻訳しないでおいてありますが、現状では人プレイヤーや人NPC達には単なる動物の声としか聞こえてません。

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