相手もソロとは限らない
ちょっとした戦闘シーンです。
振りかぶったショートソードの斬撃を掻い潜り、
口に咥えたナイフで緑色の脇腹を抉る様に斬り付けつつ
隙だらけの相手の後方へと回り込む。
「ギィギィ」と喚きつつこちらへと振り返ろうとする
その緑色の肌の小人へとさらなる頭突きを噛まして
地面へと叩き倒す。
後は『採取』宜しくナイフを振るって
めった刺しにしてしまえばほぼこっちのもの。
左手でガードされて弾き飛ばされたら厄介だけど。
戦闘に慣れて来た頃には1対1ならほぼ負けなくなった。
複数相手なら乱戦に持ち込んで痛み分けが多いけど。
対2本足な人型相手でも躊躇する事無く屠れるよ。
但しこれはあくまでも相手が敵勢NPCな場合だけ。
VSモードとかなプレイヤー同士じゃこうも行かないと思う。
相手だって中身は生身の人間なんだし戦い方は千差万別だ。
現実の動物の場合は小さい内から取っ組み合ったり
親から教わったりして加減をその身でもって覚えるけど
私達の場合は同族?な敵勢NPCや異種NPCに加減はいらない。
幸いにも私は狐さんな敵勢NPCとは遭遇していないけど
『人間』の生活圏近くの森ならばそろそろ遭遇してもおかしくない。
でなきゃプレイヤー側に狐さんが居るのはオカシイもの。
既に同族と遭遇しているだろう鳥種や魚種達のプレイヤーさん達は
相手した種類を模倣するか超える事を目標にしているらしい。
同種のNPCに出来る事なら自分達にだって出来るに違いない。と。
実際ヨロヨロながらも敵な鳶相手に空中戦を開始した
猛禽プレイヤー達の空中格闘戦やらは日に日に洗練されつつあるし、
それ以外の種類だって動物ビデオ等を参考に果敢に相手に飛び掛かっていく。
ん?空中に止まって見えるあの『点』は何だろう。
段々とこっちへ迫ってくる様な。ひょいと首だけ避けたその直後、
「ヒョオォォッ!!」と空気を切り裂く音と共に『矢』が顔の横を通り過ぎた。
逸れた矢を捨て置き、発射した相手へと『加速』して襲いかかる。
紅い燐光を纏った子狐が2射目を弓に矢を番えるとしていた緑の小人に迫り
口に咥えていたナイフを突き刺して素早く離脱する。
「グ。ギャッ!!」それでも矢を射ろうとした緑の小人の顔面に
投擲されたナイフが突き刺さり、ドゥと後ろに倒れ落ちる。
空中に舞った子狐がトドメとばかりに追撃すると辺りはシン。となった。
あっぶな。戦ってる間に他の敵勢NPCの接近に気付かなかったわ。
これじゃ『弓矢』とか魔法撃ち相手だとどうしても後手に回ってしまう。
矢が止まって見える。だなんて幸運そうそうある訳無い。
今回は運が良かったけど気を引き締めて掛からなければ。
ゴブリンともなれば集団行動を取る様にもなってくるんだったよね?
もしかしたら彼らの仮の巣が見つかるなんていうフラグかも知れないし。
飛んでくる物が止まって見える事に関してはとある実体験からです(流石に飛んできた物は矢ではありませんけどね。




