婚約破棄、喜んで!
この国の王太子マルスの従妹であるウィルダー公爵令嬢、ニコール・ウィルダーには、幼い頃から、将来性がありそうな婚約者がいた。
宰相をしているマディーラ公爵の息子の1人で、今はまだ多くの王侯貴族が通う学院の生徒であるが、とても成績優秀で、将来は高官、ゆくゆくは宰相になるかも知れないと噂されているアドリアン・マディーラである。
ちなみに、エレーヌファンの1人であったアレシス・マディーラ子爵の弟である。
ニコールはアドリアンと同い年のため、一緒に授業を受けて、仲良く学院に通っていた。
アドリアンの前に、アレンガー男爵家の令嬢で数多の男を虜にするジョゼットという名の少女が現れるまでは……。
今、ニコールは学院内の裏庭で、婚約者アドリアンを中心に、男爵令嬢ジョゼットの取り巻き達に責め立てられていた。
「ニコール!お前という奴は、何と卑怯で腹黒い女だ!!
この可憐で心優しいジョゼットのことを、いじめ抜き、人に命令して嫌がらせをしていたそうだな。
公爵令嬢としてあるまじき行為だぞ!!
そんなお前なんかとは婚約破棄する!
お前のこれらの卑劣な行いのことは、すべてマディーラ公爵家とウィルダー公爵家の両家に報告してある。
上級貴族として、お前の行為を恥じるであろうウィルダー公爵なら、きっと近いうちにお前を勘当するだろう」
「……」
無言でアドリアンの主張を聞いていたニコールの心の中は、この婚約者への文句であふれていた。
へ~。
自分は散々、そのジョゼットとやらと浮気しておいて、裏切ったあげく、婚約者をここまで罵倒できるとはどこまで愚かなのですかね、このあんぽんたんは……。
しかも、公爵家から私を勘当なんて、私が大好きなあのお父様がするわけないでしょう?
そんなことも分からないなんて、本当にあん・ぽん・たんめ!
たぶん、お父様なら私がもしそのジョゼットを暗殺しても、そんなことしないわよ。むしろ、頼めば腕のいい暗殺者を用意してくれたわ。
そうすればよかったかしら?
「何とか言ったらどうだ!?」と無言のニコールにさらに切れるアドリアン。
「……いきなり、なんですの?アドリアン様」とため息を吐くように返事するニコール。
「だから!お前が、ジョゼットにやった数々の行いについてだ!まさか、やってないとでも言い張るつもりか?」
「そうですね~。心当たりは、ばっちりありますが、何か?」
「このっ!なんだその開き直りは!!」
「でも、彼女は意地悪されて当然ですよね?
自分の幼い頃からの婚約者に手を出す女がいたら、その女に親切にするわけないでしょう。
しかも、先にそちらが明らかに攻撃されるような行為を散々、やっていますのよ?」
「公爵令嬢としての品のかけらもない!ジョゼットに謝罪しろ!!」
「そうだぞ!ジョゼットに謝れ!」
「どこまで、性格が悪いんだ!!」
ジョゼットの取り巻き達までニコールを責めだす。
取り巻き達の後ろで守られているジョゼットも、「みんなやめて!反省して、もうやめてくれればいいのだから!」としおらしく言っているが、口元の両端が上がって薄っすら笑っているのがみえ、目も勝ち誇ったような目である。
「……謝罪するなら、先にそちらが謝るべきですね。もちろん、アドリアン、あなたもね。
先に浮気したのはあなたの方なのだから。
あと、あなたの一方的な感情で婚約破棄は通常、できないものなのですよ。
まあ、私が同意すれば仮成立にはなりますが、両家の了承を得た上で、慰謝料などの件も踏まえて、やっと正式に婚約は破棄となります」
「またそんな、偉そうに!しかも慰謝料だと!?」
「偉そう?当然のことだけど」
「そうやって、人を見下し、いつも馬鹿にして!
昔の君は天使のように可愛かったのに、今は性格の悪さが顔に滲み出て醜く見えるぞ!」
「……」思わず絶句するニコール。
この私を醜いですって?
ひどいわ!
いまだにお父様から天使のようだと言われているのに!!
でも、確かにアドリアンのことは密かに馬鹿にしていたわ……。
だって、いつも授業のノートも取らず、私のノートをあてにするし、課題はほとんど私にやらせようとするし、それでも馬鹿にしていることを一生懸命隠していたのに、何故ばれたの?
ニコールがそんなことを考えている間も、アドリアンやジョゼットの取り巻き達からの断罪が続いたが、その時。
「やあ、何しているのかな?
見たところ、多勢に無勢だね。
女性1人に対して一体、何しているのかな?」
そこへ、ニコールの従兄で、3年前に王太子になったマルス王子が現れた。
ちなみに、マルスは学院の生徒ではなく、定期的に特別講師として招かれる立場である。
今日はたまたま仕事で学院にきていた。
「マ、マルス殿下!?」
「何故、ここに?」
ジョゼットの取り巻き達は動揺し、王太子であるマルスに、マルスの従妹であるニコールへ断罪しているところを見られてしまい、気まずい気持ちが生じる。
しかも、彼らはニコールがマルスと親戚なのは知っているが、幼い頃から仲が良く、親しいことまでは知らなかったようである。
もしこれで、マルスに嫌われれば、王宮の中央組織で出世するのは難しいと言われ、マルスは『魔王』と裏で呼ばれるくらい王宮中枢を握り、すでに君臨している。
「うーん、ニコールから相談があると言われて学院内に待ち合わせをしていたのに、なかなか来ないから探しにきたんだ。
何事かな、ニコール?」
「婚約破棄され中?」
「へー、よかったね」と思わず本音を漏らすマルス。
実はマルスはアドリアンのようなあんぽんたんが親戚になるのに良い感情を持っていなかった。
でも、ニコールがアドリアンを子供の頃から好きだと言っていたので容認していただけで、アドリアンやボンクラと呼ばれたルーカスみたいな貴族の坊ちゃん独特の愚か者が嫌いなマルス。
「ちょっと!何言っているの!?」とマルスの言葉に驚くニコール。
そこへ、マルスの登場に目の色を変えて、マルスの前に飛び出して来たジョゼット。
「まあ!マルス殿下!!私、ジョゼット・アレンガーと申します。以後、お見知りおきを」と言って精一杯、可憐な微笑みを浮かべ、マルスに自己紹介してきた。
「……」
そのジョゼットを、冷たい微笑みだけで、無言で返すマルス。
「あ、あのマルス殿下。実は私、ニコール様から意地悪をされていまして……」と今度は哀れっぽく、大きな目を潤ませてマルスに訴えるジョゼット。
「……ニコール、これ誰?」とジョゼットの自己紹介はもちろん、そんな訴え等も総スルーして、ニコールに聞くマルス。
正直、マルスはこの手の令嬢のアタックにうんざりしているため、迷惑にしか思えなかった。
「ああ、アドリアンの浮気相手よ」
「なるほど~」と言って今度は黒い笑顔でジョゼットを見るマルス。
「ち、違います!アドリアン様とはただのお友達です!!ひどいわ、ニコール様!いつもそうやって私を貶めて。
マルス殿下ぁ~、いつもニコール様が私に意地が悪いことを……」と言って、涙目になってマルスに再び訴えるジョゼット。
ジョゼットの後ろでアドリアンが「ジョゼット!?僕ら恋人じゃあ……」と言っているがジョゼットに無視されている。
「と、とにかく、ニコール、君はジョゼットにひどいことをした謝罪と、婚約破棄の承諾を!」とアドリアンは本来の目的を思い出し、ニコールへ訴える。
「……そうですか。そちらから謝るどころから、最後まで私に謝罪を要求し、婚約破棄したいのですね、アドリアン様」
「ああ、そうだ!」
「……それなら、もういいです。あなたみたいなあんぽんたん。
どうぞ、その女と末永くお幸せに。
言っておきますけど、あなたみたいなあんぽんたんがこの学校では成績優秀で通っていたのは、全部、私のおかげだって忘れましたのね。
自分の実力だって思いこんじゃったのですね、あんぽんたんだから。
それとも、もう卒業単位に足りたから、私を切り捨てようとしたのかしら?
それなら、随分と、あくどいですね。
あんぽんたんのくせに。
正直に、もうみんなばらしちゃいますわ」
「あ、あんぽんたんだと?しかも、ばらすって何を言っているんだ、ニコール?」
「つまり、先生方にあなたの課題の不正行為について全て暴露してくると言っていますのよ。
婚約者ならまだしも、赤の他人になる人に婚約者特典のいい思いをさせてあげるつもりはないので。
例えば、あの難関と言われたエリック先生の課題レポートが最高評価Sランクだったのは、書いたのが本当は私だったからって。
証拠の私の下書きや根拠となる資料等を日付入りで全てとってあるので、あなたがそれを写しただけなのはこれで明らかになりますわ。
他の課題もほぼ全て、今まで私が手伝っていたけど、もう二度と手伝わないし、もちろん、授業のノートも貸しませんよ。
先生方のご判断にもよるだろうけど、これであなたの今まで高評価でもらっていた教科の単位は、ほとんどが取り消しになるわね。
私も手伝っていたことで、同様に単位取り消しになるかもしれないけど、きちんと罰を受けますわ。
だって、書いていた本人の私ならいくらでも書き直しができますから、またすぐ単位も取り戻せるから大丈夫ですもの。
まったく、私に散々、課題をやらしたあげく、その間に他の女と浮気しているとか、あなたこそ、どれだけ人のことを見下しているのですか……」
「なっ、か、課題は……。じ、自分でやったに決まっているだろう!?」と青褪めて脂汗を流しているアドリアンは、ニコールよりも説得力がなかった。
アドリアンはまさか、ニコールが自分も罰が与えられるそのことをばらすとは思っていなかったようである。
「ふ、ふん!そうやって言いがかりをつけたり、すぐ人を陥れようとしたりするなんて、なんて極悪非道なんだ!やはり性質が悪い女だ!!」とニコールを攻撃することに切り替えたアドリアン。
「そうね。私は、執念深い誰かさんと違って、すぐに報復する性格なの」
「……おい、誰かさんって僕のことだろ?」とすかさずマルスが突っ込みを入れる。
「あら?自覚されていたのね」
「どうしてお前はそんな性格なんだ……」
「まあ!あなたに言われる日が来るなんて!!」
「……確かに。僕ら似たもの同士だがな」
「ほら!マルス殿下まで認める性格の悪さだろう?」と、マルスの発言から鬼の首を獲ったように、勝ち誇った様子で言ってくるアドリアンに、マルスも呆れてしまった。
「今、僕とニコールは似たもの同士と言っただろう?ニコールの性格が悪いってことは僕の性格も悪いって言っているのかな?不敬罪で処分されたいの?」と冷たく微笑むマルスに、アドリアンは恐怖しか感じなかった。
「ひい!」
「……もういいわ、マルス。行きましょう」
「……そうだね」
「ああ、そうそう、アドリアン。
婚約破棄についての私からの返事はまだでしたね。
うやむやにされると、こちらも迷惑なのではっきり言っときますね」とニコールは冷静に淡々と言い放つ。
「あなたからの婚約破棄を正式に受け入れます」
「婚約破棄、喜んで!」とさらに、アドリアンへにっこりと女神のように美しく笑いかけるニコールであった。
その後、文句を言おうとするアドリアンをマルスが視線だけで黙らせた。
視線だけでは止まらないジョゼットは、ニコールがいかに悪者か訴えて、自分の可愛さアピールするのをマルスもニコールも全無視して、マルスとニコールの二人はマルスの学院での控室に向かった。
控室でやっと落ち着いた二人。
マルスが落ち込んでいる様子のニコールに聞いてみた。
「……ニコールは、何であのあんぽんたんの課題とかやってあげていたんだ?」
「だって……。
未来の夫が劣等生だと、将来の生活が不安じゃない?
でも、初めはただわかりやすく教えてあげるだけだったのに、あのあんぽんたんは私を利用して楽をすることに味を占めて……」
「本当にあんぽんたんだな~」
「ええ、本当ね」
「でも、彼を好きだったんだろう?
ねだられると、ほとんどのことが断れない位」
「ぐっ!」
「……本当に婚約破棄していいのか?
今ならまだ婚約の継続はできるぞ」
「……いえ。もう婚約破棄でいいわ」
「……泣きそうな顔しているぞ」
「そうね、あのあんぽんたんに費やした私の貴重な時間がもったいないと思って泣きそうよ!」
「……強がらなくてもいいんだぞ。ほら」と言って、マルスは立ってニコールの前で両腕を広げ、ニコールを抱きしめてあげる。
抱きしめられたニコールは、初めは声を殺して涙を流していたが、「声を出して泣いてもいいぞ……」とマルスが言うと、とうとう大泣きを始めた。
「びぇえーん、う、ひっく、あのあんぽんたんは、ひっく、よく私のことを自慢していたくせに……。うっく」
「ああ、お前は見た目も頭の良さも、最高ランクだからな」
そう、ニコールはマルスの従妹だけあって、見た目は天使か女神のようと称されるくらい可愛く、美しい。しかも、頭も知識的にかなり良い。ただ……。
「まあ、性格は……。
性格はある程度、悪くないと、上位の貴族で居続けるのは無理だろう。
お前の性格の悪さは家系的かつ教育によるものだからしょうがない」
「うっく、あの、ひっく、あんぽんたんのために、て、徹夜で課題をやるほど、けなげな性格しているのに……。ぐすっ」
「そうだな。けなげっていうか、惚れた弱みというか、恋すると人間は愚かになるよな……」
「ひっく、愚かって……、相変わらずひどいわね。うっく、ぅわーん!」
しばらく、マルスの腕の中で泣いていたニコールは、やっと落ち着き、そうしたら何だか恥ずかしくなって、腕の中からでて、涙を拭いた。
「も、大丈夫。ありがとうマルス」
「ふっ、そんな素直に泣くなんて、お前、可愛いところがあるな」
「な、なによ、それ!ふん!!」と顔を赤くするニコール。
「そうだ!ニコール、僕の婚約者にならないか?」
「え!?」
「……ニコールなら大丈夫そうだし」
「なんですって!大丈夫そうってどういう意味よ!?
その言葉は、今まさに、傷心中の従妹に言うことではないわよ!!」
「実は早急に婚約者が必要なんだ」
「え?まさかの自己都合!?
慰めるつもりで言ったのではなく?」
「いや、王太子になったせいで、肉食系の貴族令嬢に毎日、凄い勢いで襲撃されてうんざりしているんだ。
しかも、最近は、僕が人妻好きと噂されて、貴族の未亡人達にまで狙われているから、本当に大変なんだ」
「はあ、まあ、気持ちは何となくわかるわ。
でも、人妻好きは噂じゃなくて、エレーヌ様のことだから本当でしょう?」
「違う!
僕が好きなのはエレーヌであって、人妻だからではない。
エレーヌには人妻になる前から何度もプロポーズしていたから。
でも、もうエレーヌを妻にすることはあきらめるしかなさそうだから……」
「ああ、ヘドリック叔父様には敵わないものね。
2人目の子も生まれたし、エレーヌ様を将来、王妃にするのは無理そうね」
「……まあな」
「そうだわ!
同じ従妹なら、私じゃなくて、ヘレンと婚約すれば?
エレーヌ様の娘だけあって、ヘレンはちょっとエレーヌ様にも似ているし、しかも、ヘレンの初恋、マルスらしいわよ」
「嫌だ!ヘレンはまだ幼いじゃないか。
もしヘレンと婚約しようものなら、今度は噂で幼女好きにされる!
第一、恋敵の娘な上に、エレーヌが義理の母親になるのも絶対、嫌だ」
「それは確かに、嫌かな?
あら、それだと可哀想に、ヘレンまで失恋確定だわ。
ふふふ。これで、親戚の3人とも失恋ね~。うふ、うふふ~」
「……不気味に笑うなよ。
で?僕との婚約は正式なものにしていいな?」
「うーん、婚約者としてマルスはちょっと……。
我が国の裏での支配者『魔王』の花嫁になるのはな~。
それに、私、頭脳明晰で執念深い男性より、ちょっとお馬鹿でおっとりしている男性が好みなので……」
「執念深いと言うな。一途と言い直せ。
あと、ニコールはそういう男を選ぶたびに、また今回みたいな目に合うぞ……」
「うっ!うぅ、うっく、ひっく……」とまたアドリアンとのつらい記憶がフラッシュバックして泣き出すニコール。
「ああ、泣くな!悪かった」と言って、慌てて再びニコールを抱きしめるマルス。
マルスが抱きしめながら、絶妙なリズムでポンポンとしてくるので、不思議と落ち着くニコールであった。
「もう泣き止んだか?」
「うん……」
「……なあ、ニコール、僕で手を打っておけよ」
「マルスこそ、エレーヌ様のこと、本当にあきらめられるの?
あんな素敵な人だし……。
まあ、私も小さい頃からエレーヌ様が大好きだったわ。
今でも彼女が理想の女性像なのよね~」
「そうか。そういえば、小さい頃、二人でどちらがエレーヌと手を繋ぐかで争ったな?」
「ああ、そういえば。
アスター侯爵領に私が行くと、いつも二人して両側からエレーヌ様にまとわりついていたわね」
「ははは、そうだったな」
「懐かしいわね~」
「ねえ、ニコール。僕は、エレーヌのことをこんな風に笑顔で話せるニコールが婚約者だといいな」と言って、女性ならほとんどが見惚れるであろう素直で麗しい笑顔をニコールへ向けるマルス。今回は腹黒さやあざとさは0%の笑顔であった。
「!……相変わらず、ずるいわねマルスは」と傷心のところに、そんな笑顔をみせられて、つけこまれている感は否めないが、ニコールはとうとうマルスとの婚約を承諾するのであった。
こうして、国王をはじめとする国中が大歓迎する王太子の婚約者が、無事に決まったのであった。
一方、アドリアンは、実はすでに学院の職員間で課題の代筆疑惑があったが、マディーラ公爵家子息ということで、まさかさすがにそんなことはしていないだろうと、辛うじて見逃されていた。
しかし、今回のニコールの暴露で、疑惑が確定となった。
もちろん、ニコールが代筆したと思われるすべての教科の単位が取り直しにされた。
しかも、アドリアンは再提出すればいい課題もこなせず、救済措置の口頭試問にもアドリアンの能力では碌に答えらず、留年確定となった。
それをきっかけに、ジョゼットにも相手にされなくなり、恋人どころか、取り巻きにすら入れてもらえなくなった。
おまけに、父親のマディーラ公爵家からも「勝手に婚約破棄して!そんなに男爵令嬢がいいなら、いっそお前が男爵になるか?」と言って、王都からかなり離れた地方の領地にある遠縁の男爵家に養子にいくことがほぼ決まった。
あと、暴露したニコールは、どの教科も単位取り消しにはならなかったが、アドリアンを手伝った罰として特別課題を大量に出された。
しかし、それに対して難なくこなし、しかも見事な出来ばえに、さらにニコール自身の評価を上げるのであった。
また、その間に王妃教育もされるようになり、これ以上、もう教育の必要ないレベルにすぐに到達するニコール。
エレーヌをあきらめたマルスも、ニコールには誰よりも優しく、甘くなり、二人は良好な関係を築いていき、ニコールはもう婚約破棄を喜んでしないで済みそうであった。
登場人物確認
マルス第4王子(現王太子):ヘドリックのお姉さんの子供 現在、18歳
ニコール・ウィルダー:ヘドリックのお兄さんの子供 現在、17歳
ヘレン・ウィルダー:ヘドリックとエレーヌの娘 現在、6歳
婚約破棄、喜んで!は、一応、完結です。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます!
完結しましたが、また関連のお話が書けましたら、密かに投稿しているかも知れません。