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バットラ!~Battle Triangle 三校対抗全面戦争~  作者: くつぎ
第十六章 その男、『発端』
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『戦争』、遅刻

「いつの間にやら、大変なことになってきたね」

「そのようですね」


 現在地、三座川高校・屋上。

 笑みを崩さないまま頭を掻くのは、千里。

 呆れたように眼鏡の位置を直すのは、架月。


 その視線の先。


 傷だらけの体で、無表情のままに足元を見下ろす帆風。

 その足元に転がるのは、同じように傷だらけで横たわる、飛鳥。


「終わったのはさっきです」


 そう言ったのは、屋上で戦いを見守っていた奈音。

 ゆるゆると立ち上がった深花が、大きく息をつく。


「何ですかあれ。……バケモンですよ」


 深花がつぶやいた言葉に、帆風がゆるゆると顔を上げる。

 ぼんやりと、焦点が定まりきらない視線が、千里と架月の姿を捉えた。


「帆風」


 架月が、小さく名前を呼ぶ。

 その直後、うとうとと目を閉じた帆風は、そのまま飛鳥に重なるように、倒れ込んだ。


「! 帆風」

「お互いに貧血みたいですよ」

「まったく、あんなふうになるまで戦うなんて思いもしなかった」


 深花と奈音の呆れたような言葉に、架月は小さく息をつく。

 その様子を見てから、千里は校門の方へ視線を移した。


「まったく、せっかくここまで急いで走ってきたのに」


 校門前から校庭にかけて、不良たちで溢れ返るその空間は、見た目に分かるほどに異様な空気をはらんでいて。

 千里は、わずかに眉を寄せた。


「さて……どうしたものだろうね」

「何がですか」

「今日は奇襲だけのつもりだったのに」


 見下ろした先、戦いを繰り広げる有象無象。


「始まっちゃった」

「……ま、やるしかないんじゃないですかね」


 とん。小さく音を立てて、奈音が屋上のフェンスに立つ。

 ポケットから取り出すのは紙の束。


「降りるなら送りますよ」

「へ」

「行くんですか、行かないんですか」


 二択を迫る奈音の言葉に、千里と架月は顔を見合わせる。


「無言は肯定と判断します」


 校庭を見下ろしたまま、奈音は右手で印を結んだ。



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