『三高』、分裂
「よっ」
「っと」
隆起した地面に、着地する音が二つ。
ガシガシと頭を掻きながら振り向いた詠時は、欠伸をする仁時を見て小さく溜息をつく。
「俺が言うのもなんだけど」
「んあ」
「仁時、あんまやる気ないだろ」
「あー」
仁時は気のない返事をしながら、空を見た。
ああ、無駄にいい天気だ。
「だってよ、こんな何でもないような天気のいい日にさァ……奇襲とか」
「なんかごめん」
「明日辺り二高奇襲行こうかーとかって相談してたとこだったのによ」
「えっ、そうなの」
まさかの出来事。
一日遅かったらすれ違いだったのか、などと詠時は考える。
「まァ、おかげで長い距離歩く手間が省けたからいいけどよ」
「たいして長くもないだろ」
「いやいや、遠いだろ。お前毎日二高まで通ってんだろ?マジ尊敬するわ」
「いやいやいやいや」
そんなくだらない話をしながら、仁時は肩をまわす。詠時は大きく伸びをする。
数瞬。
踏み出したのは、同時。
「あ、仁時と詠時だ」
現在地、三座川高校校舎内。
屋上を目指すのは、一高代表・『炎帝』千里と『神官』架月。
そして、二高代表・『幻影』灯熾。
「仁時と詠時?」
「うん」
「時宮仁時と?」
「伊田詠時。二人とも私の幼馴染なんだよ」
「じゃあみんな同じ中学か……ダメだ、時宮以外記憶にない」
「あはは、ドンマイ私と詠時」
そんな会話をする二人の声を聴きながら、千里はちらりと外に視線を移した。
「その二人が戦うの」
「そうみたい」
「灯熾、気になるんでしょ」
「ぶっちゃけ気になるよね」
「ま、いいんじゃない。行きたかったら見に行っても」
「え、いいの」
「灯熾が俺たちと一緒にいる必要はないでしょ、そもそも学校違うし」
「あー」
ごく自然に一緒に行動していたが、よく考えれば一緒に行動する理由がない。
「じゃあ私、行くね」
「うん」
「屋上、なんか大変そうだけど気を付けてね」
「おう」
階段の途中で解散。
一高、屋上へ進撃。二高、幼馴染と合流すべくグラウンドへ。




