『三高』、奔放
「おいおい、おいおい、何だこの状況」
現在地、三座川高校屋上。
激戦を繰り広げるのは、一高代表『極神』と、二高代表『審判』。
「何で一高と二高の戦いが三高の屋上で行われてんの」
「知らん。俺が聞きたいわ」
そんな会話をするのは、三高『時刻』と二高『職人』。
幼馴染でもある二人はお互いに顔を見合わせ、溜息をついた。
「つーかこれ、どう考えてもあれだろ」
「何」
「今、ここでこの時間から、全面戦争が始まると見て間違いないよな」
「間違いないな」
「何なの、まだ何の準備もしてないんだけど、何でうちの学校こんなに奇襲食らってんの」
「ドンマイ」
『時刻』・仁時ががっくりと肩を落とす。
その肩を、『職人』詠時がポンポンと叩く。
「つーかお前が来るとか聞いてないんだけど」
「俺も来る気なかった。無理やり連れて来られた」
「あっそ」
どっかり、胡坐をかいて座りこんで、仁時は深い溜息をつく。
その隣で、詠時は困ったように頭を掻いた。
「どうする、仁時」
「何が」
「俺らもやっとく?」
「あー」
「……」
「やめとく」
座り込んだまま、仁時はぼんやりと目の前の戦いを見る。
「俺の能力じゃ、1対1のバトルはできねェよ」
「いいよ、能力なんか使わなくたって」
「は?」
「久しぶりに殴り合いでもしよーぜって誘ってんじゃん」
ちらり、仁時が詠時を見上げる。
詠時はちらりと屋上の方に視線を移してから、もう一度口を開いた。
「単純な殴り合いならイーブンだろ」
「確かに」
重そうに腰を上げた仁時が、鞄を桧山の方に投げる。
「んじゃ俺、行ってくるわー」
「待て待て待て待て」
「え、何」
「今から一高来るけど!?」
「知ってるよ、でも何とかなんだろ。大丈夫だって」
「いやいやいやいや」
「斑鳩ー、頼んだぞー」
誰の返事も聞くことなく、仁時は屋上のフェンスを飛び越えた。




