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バットラ!~Battle Triangle 三校対抗全面戦争~  作者: くつぎ
第一章 その男、『最強』
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『最強』、嗤う

「悪い男だなぁ、お前は」


 ふいに聞こえた声に、一斗は振り向いて笑って見せた。


「お前に言われたくないね」

「いやいや、俺なんて善良な一生徒だから。お前ほど黒い性格してないから」

「よく言うよ」

「はっはっは、まあまあ、そう言うなよ」


 呆れたように言う一斗の横に並んで、その男は楽しそうに笑う。


「しかし全面戦争ね。楽しそうな響きだなぁ。ぜひ参加したいもんだ」

「参加してくればいいじゃねえか、俺は止めない。ぜひ暴れてこい、そして退学になれ」

「あっはっは、ひでえ」

「大体、お前が弱い振りなんかしてやがるから、いつまで経っても俺ごときが『最強』呼ばわりされてんだろ!」

「俺のせいじゃないだろ、それは」


 一斗に文句を言われながら、なおも笑顔を崩さない。

 やがて一斗はガシガシと頭を掻き、深く溜息をついた。


「ま、お声がかかれば参加させていただくことにするよ、俺は」

「好きにしろ。俺はどうあっても参加しないからな」


 そう、一斗はどうあっても全面戦争になど参加するつもりはない。

 一斗と同じレベルで戦える生徒など、今この場にいるこの男以外には存在しない。ゆえに、三崎が例の条件をクリアすることは不可能。

 たとえ三崎が条件通り五人のメンバーを集めてきたとしても、その時は『そんなにいるなら俺が戦う必要はない』と断るだけ。


「なんでそこまでして戦いたくないわけ?」

「なんで? 決まってんだろ! 俺は受験勉強に力を入れるんだよ!」

「ああ、うん、頑張れ」

「投げやりかよ! 応援が投げやりかよ!」

「だって一斗、今から頑張っても手遅れじゃ」

「ねーよ! まだ間に合うよ! 夏休みを制して見せるわ!」

「おお…そ、そっか、頑張って」


 今の一斗は、大学受験のことで頭がいっぱいらしい。


「ふははは、見てろよ! 夏休みが明けたら別人のように成績アップした俺を拝ませてやる!」

「うん、あんまり期待しないでおく」

「待ってろ、キャンパスライフ!」


 永峰一斗。

 期末テストの平均点は、32点。

 第一志望の合格率は、10%に満たない。



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