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バットラ!~Battle Triangle 三校対抗全面戦争~  作者: くつぎ
第一章 その男、『最強』
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『最強』、困る

「いや、まあ、そんなこともありましたけども」


 ガシガシ、頭を掻きながら、『最強』こと永峰一斗は眉をひそめる。

 現在、高校三年。つまるところ、受験生である。


「いまさら全面戦争とか言われましても、こちらとしては困るわけで」

「そ、そそそ、そんなこと言わんでくださいよ!」


 困り果てる一斗の目の前で、一斗より困っているその人物は、序章にて全面戦争だ何だと言い出した男である。


「というか、まずツッコみたい。お前、どう考えたって図書館で勉強するタイプじゃないだろ。だってもう見た目的にはバイク乗り回してヒャッハーとか言ってそうだぞ、本当に」

「いや、家だと弟たちがおやつ食べたいとか騒いで集中できないんで……」

「よき兄か! 弟たちに慕われるよき兄か! 意外すぎるわ!」

「そんなことより、お願いします! 二高と三高との戦いに勝つためには、『最強』である永峰さんのお力が必要なんですよぉ!」

「嫌だよ! つうかもう絶対俺より強いやついるだろ、俺いつまで『最強』呼ばわりされるの、そろそろ恥ずかしいんだけど!」


 『最強』の誕生から二年。

 例の乱闘以来、三校の争いは沈静化、現在では時折小さな小競り合いが発生する程度となっている。『最強』などと呼ばれている一斗もすっかり平和に慣れてしまい、今ではただの一生徒であると自負している。


「いやいや、永峰さんはまだまだ現役ですよ! まだまだ『最強』ですよ!」

「おだてるなよ! 俺、調子に乗っちゃうから!」

「調子に乗せる作戦です」

「言うなよ!」


 深く溜息をついてから、一斗はちらりと窓の外に目をやる。


 どうしたものか。

 いまさら戦いなんて面倒だ。血の気の多かった二年前ならまだしも、今はただの受験生。できることなら厄介ごとは避けたい。何故なら春には楽しいキャンパスライフが待っているからだ。


「よし、じゃあ提案だ」

「戦ってくれるんですか!」

「場合によってはな」

「っしゃぁぁあ! ありがとうございまぁぁす!!」

「いや、場合によってはって言ったろ」


 きょとん、と首をかしげる男に、一斗は掌を向ける。

 男は大げさな動きで後ろへ飛び退くと、警戒した顔で一斗の掌を見た。


「な、なんすか!」

「五人だ。俺と同じレベルで戦えるやつを五人集めて見せろ」

「へっ!?」

「集められたら、考えてやらんこともない」

「なっ、そんな無茶な!」


 無理ですよ、不可能ですよ!

 そう言って騒ぐ男ににやりと笑って見せて、一斗はひらひらと手を振った。


「せいぜい頑張りたまえ。……あれ、名前何だっけ? ま、いいか」


 容赦なく立ち去っていく一斗の後姿を見送ってから、男は涙目で叫んだ。


三崎(みさき)ですってば!」


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