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バットラ!~Battle Triangle 三校対抗全面戦争~  作者: くつぎ
第九章 その少女、『幻影』
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『幻影』、増える

「……」

「……」


 刀を構える千里の正面、無表情に突っ立っていた灯熾は、やがて深く溜息をついた。


「私、そういう性格じゃないんですけど」

「うん、知ってる。だから言ったんだ」

「あなた、性格悪いって言われるでしょう」

「言われるね。君にも言われたことがあるよ」

「いや、覚えありませんって……」


 顔をあげてみれば、相変わらずにこにこと笑っているその男。灯熾は諦めたように小さく息を吐いて、鋭い目つきで千里を見た。


「こうなったら意地でもあなたの名前を聞いてやります」


 その表情に、千里は嬉しそうに笑みを深める。

 パチン、灯熾が指を鳴らすと同時に、ぶわりと湧く蝶の群れ。ばさばさ、千里の視界を覆うその蝶に、千里は一瞬だけ目を見開く。

 が。


「懐かしいね、これも」


 刀を一閃。

 瞬間、斬撃から起きた炎が、蝶の群れを包んでいく。


「そういう能力ですか」

「そうだよ。炎を操る系。まるで君の名前だよね」

「変態みたいな言い方するのやめてください」


 燃え盛る刀を構え、なおもにこにこと笑みを絶やさない千里。

 灯熾は内心で舌打ちをしつつ、ちらり、机の方に視線を送った。


「では、これで」


 とん、灯熾が机に触れると、その場所からまるでとけるように水に変わっていく。同じように本棚に触れれば、同じように水に変わっていく。


「うわ、これは初めて見た」

「……なるほど、あなたと私が最後に会った時期は割り出せました」


 ぱちん。

 指が鳴る音とともに、波が起きる。千里の刀が、波を薙ぐ。

 その瞬間を狙ったように、ばしゃり、千里の頭上から水が降る。


「へ!?」

「残念、注意力が散漫ですね」


 後ろから聞こえてきた声は、なおも正面にいるはずの灯熾の声。

 千里が振り向けば、いつの間にそこに立っていたのか、千里の背後、デスクの上に立って、バケツを構える灯熾の姿。

 その向こうに、もう一人。さらに一人。


「さて、本物の私はどれでしょう?」



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