『神官』、驚く
二階堂高校、校門付近。
曲がり角からこっそりと様子を伺う、千里、架月、帆風。
ちょうど下校時間ということもあり、周囲は帰宅する学生たちでごった返している。
「『審判』は生徒会長らしいから、たぶんまだ残ってるはず」
「ふむ」
「俺は裏門から入って生徒会室に行ってくるから、二人は『怪力』を探して」
「入院させる」
「そこまでしなくていい」
「全面戦争に参加できない状態にさえしてくれればそれでいいから」
「わかった」
「じゃ、あとでね」
にこにことした顔で、さっさと裏門の方へ回る千里。
架月が小さく溜息をついたのと同時に、帆風が正門の方へ歩き出した。
「え、ちょ、帆風? まさかの正面突破?」
「ん、一番わかりやすいはず。私たち、『怪力』さんの顔もわかんないしな」
「それは確かに」
「すみません、『怪力』さんってどこにいるかわかりますー?」
軽く片手をあげながら、帰宅する生徒の一人に声をかける帆風。
瞬間。
「帆風!」
ぶんっ、という音とともに、帆風の目の前を何かが通った。
その『何か』は、架月がいた場所のそば、民家の塀に、音を立ててめり込んだ。
「あー、外しました。残念」
聞こえてきた声に、架月と帆風が振り返る。
鞄を片手に、ぐるぐると腕をまわしながら近づいてくるその少女は。
「しかしながら、生徒会長の読みはすさまじいですねー。まさか本当に一高の方々が来るとは」
ごとんっ、鈍い音とともに落とされた鞄から、鉄球がこぼれる。
異名そのままの行動、まるで自己紹介。
「こんにちは、君が『怪力』さんですか」
「そうですよー、こんにちは」
へらり、気が抜けたような顔で笑うその少女に、架月は思わず面食らう。
しかし帆風はといえば、実に楽しそうに、愉しそうに、笑うのだった。
「君は強そうだね」




