『百式』、期待
「帆風が来るなら話は別。戦わない理由がない」
「そ、そう……最初から言えばよかったな……」
がぜんやる気を示す奈音に、桧山は苦笑を漏らす。
こんなに早くやる気を出すなら、最初から『極神』の話をしておけばよかった。
「それで桧山先輩、私は何をすればいいの。帆風と戦ってきていいの」
「そ、そうだな、まだちょっと詳細が決まってるわけじゃないからあれだけど」
無表情のまま、しかしギラギラと目を輝かせる奈音に、桧山は思わず後ずさる。
「虎沢さんだっけ」
「はい」
「何、奈音さんと『極神』の間に何があったの、何で急にこんなにやる気なの」
「ああ、それはですね」
ちらり、奈音の表情を見て、玲砂はにこにこと笑う。
「二人は幼馴染なのですよ」
「へ。そうなのか」
「そう。とても仲のいい友達同士なのですよ」
「え、じゃあなんでこんなにも戦う気満々な感じで」
「仲のいい友達同士でライバル同士だからこそのリアクションなのですよ」
「あ、ああ。そういう……」
メラメラとやる気を出す奈音と、にこにこと楽しそうな玲砂。
そんな二人に挟まれた桧山は、ガシガシ、頭を掻いた。
「ま、まあ……やる気になってくれたからいいかぁ……」
「で、先輩。三高からは他に誰が出るの。一高と二高に勝つために何か秘策はあるの」
「ちょ、ちょっと待って、一気に聞かないで」
奈音をなだめつつ、桧山は困ったように廊下を見やる。
「放課後、屋上でみんなで話し合おう。そうしよう」
「みんなって」
「俺が集めた三高最強メンバー」
自信満々に笑って見せる桧山。
その笑顔に、奈音と玲砂は目を見合わせた。
「桧山先輩の人脈って、そんなに広いの」
「意外とな!」
「へえ、それは期待」
椅子に座った奈音は、筆箱からペンを取り出すと、手の甲にメモを取り始めた。
「放課後、屋上。……忘れずに行きます」
「おう、待ってるよ」




