『百式』、立つ
「二高の『怪力』がどうやら参加するらしいよ」
「へえ、そんなに興味ない」
翌日、三座川高校・一年二組の教室。
奈音の説得を試みる桧山の姿が、そこにはあった。
「『怪力』の参加で興味を示すのはどっちかというと隣のクラスの信楽さん」
「ああ、『咲乱』の信楽さん? あの子はもう参加決定だから」
「あ、そうですか」
興味なさげに返事をして、奈音は手元の本に視線を落とす。
桧山はその様子に、がっくりと肩を落とす。
「うーん……だめかぁ……」
「そもそも、戦うことにそこまで興味あるわけじゃない」
「それを言われると元も子もないな」
読書にいそしむ奈音の隣、桧山は腕を組んで考え込んだ。
そこに。
「奈音ー」
ふと、奈音を呼ぶ声。
奈音と桧山が同時に振り返ると、教室のドアのそばで手を振る女子生徒が一人。
「あれ、お客さん?」
「桧山颯太先輩」
「どうも」
「あ、初めまして。私、隣のクラスの虎沢玲砂です、奈音のお友達です」
「あ、どうもどうも」
深々と頭を下げ合ってから、女子生徒……玲砂は、奈音に向かって笑いかけた。
「奈音、大ニュース」
「ん?」
「今、帆風が一高に通ってるんだけど」
「帆風?」
その名前に反応を示したのは、桧山。
「桧山先輩、帆風のこと知ってるの」
「知ってる知ってる。『極神』・竜崎帆風だろ? 調べたよ」
「調べたんだ、なるほど」
「その竜崎帆風がどうかしたのか?」
桧山が玲砂に問いかけるのと、奈音が首をかしげるのは、同時。
玲砂はその様子に小さく笑ってから、口を開いた。
「帆風がさ、今度の全面戦争に参加するらしいよ」
その言葉に、奈音は持っていた本を取り落した。
その音に桧山が振り返るのと同時に、奈音が勢いよく立ち上がる。
「帆風が来るの」
「うん」
「……そう」
取り落した本を拾い上げて、閉じて。
奈音は桧山の方を、睨むように見た。
「興味、出た」




