『時刻』、追憶
「とりあえず、ここまでで俺が知ったもろもろのデータをお前に話しておく」
「分かった、聞き流しとく」
「聞け。そして覚えろ。明日そらで言えるようにしておけ」
「それは俺の仕事じゃない、お前の仕事だ颯太」
現在地、なおも屋上。
メモ帳を開いた不良・桧山颯太と、『時刻』こと仁時は、向かい合って話し合いの姿勢になっていた。
「まず、一高の要注意人物から」
「やっぱりお前、俺の話なんて聞く気ねーだろ」
「『最強』・永峰一斗については言うまでもないと思うから割愛するけど、俺的にこいつは来るだろうなと思うのが『極神』・竜崎帆風」
「『ごくしん』ね」
「極めるに神様の神な」
諦めたように溜息をついて、仁時もメモ帳を取り出し、ペンを走らせる。
その様子を見た桧山は、満足そうにうなずいた。
「『極神』は現在、『最強』に匹敵するほどの強さと言われているらしい」
「へえ」
「で、意外に知られてない話なんだが、一高には『神官』もいる」
「『神官』……え、マジ? あいつ一高なのかよ」
「あれ、知ってる?」
「知ってるも何も、そいつ中学で同じクラスになったことあるぜ。二年の上川架月だろ?」
「そうそう、そんな名前。何だ、知ってるのか」
「従妹と名前の読みが同じだから覚えてる」
「ああ、なるほどね」
ペンで頭を掻きながら、仁時はメモ帳に書いた名前を見る。
それから少しだけ眉根を寄せて、面倒くさそうに溜息をついた。
「やべーじゃん、一高」
「結構ね。まあ、でもそんなもんと言えばそんなもんだ」
「ならまあ、いいけど」
「で、次に二高だけど」
「あー、二高なら大体知ってる」
ぱさり、メモ帳を落として、仁時はごろんと寝転がる。
「あ、マジ?」
「マジマジ」
「『審判』も『怪力』も?」
「『怪力』に関しては従妹だからなぁ」
「じゃあ『幻影』も」
「あー……」
寝転んで空を見たまま、仁時はつぶやくように言った。
「俺の初恋だ」




