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オニの子 -MOMOTARO-  作者: 孝乃 (編集中)
序ノ章 『"桃"の名』
1/2

貢.000-1

挿絵(By みてみん)



  昔々――…


 ある所に、日本という緑豊かな島国があった。その日本という国には、【オニ】と呼ばれる妖魔(あやかし)がおったそうな。


それは人の邪悪(よこしま)な心に呼ばれ、生きゆくモノの魂を喰らい…また、その身を喰らいしモノ――オニ。


そのオニは禍々しい"邪気"を放つ角を身体に持ち、様々な大きさや姿をしておった。仔犬のようなオニもいれば、時には山をも凌ぐ程の大蛇のオニもおったそうな。


『喰らう』とはいえ、オニは肉を食す――…っと言うよりも、邪気を纏わぬ新鮮な生き血を養分としていたのだ。人や動物…特に血の新鮮な赤子や幼子の血を好んだという。


だが人間も、ただ喰われる事に手をこまねいていた訳ではない。人の身で妖の術を操りし【陰陽方(おんみょうがた)】が立ち上がり、50年の月日をかけ、オニを封じる事に成功したのだった――…





…――が、約束されたはずの永久(とわ)の封印は、『平和』と言う言葉に浮かされた者により解かれる事となる。





  世は『平成』――…



 誰がどのように封を切ったのかは定かではない。ただ、立入る事を禁じられた1つの島に打ち上げられた、1隻のクルーザー。そして最奥の洞窟内…古い祠の前に、複数の若い男女の亡骸が引き裂かれた状態で置かれていた――…っと人は言う。



  それから始まる新たな乱世――…



 日本各所から現れしオニ……日本各所から噴き出す、人間の身体を毒す"瘴気(しょうき)"……



『平和』に馴らされた人間達は、オニに喰われ、瘴気に身を焼かれた。


突然理解を越えた危機に陥る日本に、世界各国が救援に駆けつけた。軍事的、救助的にである。


だがその救援進行もすぐに終わりを告げる……



それはオニを封じた『地球(だいち)』に眠った瘴気によってだった。瘴気はオニの復活を待っていたかのように、世界各国から…そして海底からも噴き出した。それにより野山の草花は枯れ、海も死んでいったのだ。


割れた大地から溢れ出る瘴気を塞ぐ為。瘴気に襲われる人々の避難。あらゆる自国の危機に、日本から撤退を余儀無くされる各国の支援軍。


世界(ちきゅう)は、年と言う月日を待たずして、『地獄』と呼ぶに相応しい世界へと姿を変えた。





 それから100年――…人類はその地獄を生き抜いた。海は死に、腐敗しゆく大地……国土の3分の2…人口の5分の2を失いながらも……


瘴気により、あらゆる電子機械や生産物質は侵されていく世。時は100年流れたというのに…その文明は、封を切られたあの日から、100年以上の衰退を見せていた。



  西暦21XX年 6月17日――…



この時既に、日本は九州地方と山口県。広島県と島根県、各県を半分にした程の領土を残すのみとなっていた……

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