窮鼠物語
あるところに鼠の家族がいた。その家族は幾度となく『家』を壊された。
「次の『家』が壊されたときが、自分たちの終わりだ」その家族全員がそう思った。
次の『家』は慎重に決めた。壊れないような場所を究極まで探し求め、食料にも困らないように周りにも気を配った。
そして決めた。そこは壁がとても堅く、穴を作るには長い時間を要した。
それでも鼠の家族はそこに決めた。これで最後の『家』にするとそこで誓った。
家族全員でひたすらに壁を掘った。小さな前歯でカリカリ、カリカリと。
どれだけ時間が経っているのかわからなくなる程、ひたすらに『家』を目指した。
そうして遂に『家』が出来た。とても堅く、脆さを見せない頑丈な『家』。
これでやっと平穏な生活を送れる。そう思っていた。
しかし、食料調達の時、事件が起こる。
食料の前に立ちはだかるは6匹の猫。『家』をつくる間に、その家で猫が住み始めたのだ。
鼠の家族は絶望した。これでは食料がとれないと。
家族は泣いた。この先どうやって生きていこうと。
だから、一匹が立ち上がった。「自分がとってみせよう」と。
どうせ未来には死ぬしかないのだから、飢えようが食われようが同じことだ、と。
鼠は駆け出した。穴の外には6匹の猫。
飢えた目で鼠を捉え、「捕まえてやる」のひと思いで鼠を追いかけた。
鼠は走る。猫に追われながら、食料を目指す。
風景が目まぐるしく変わっていく。
そのことにすらきづかず、鼠は走り続けた。
走る間に時間という概念はなかった。
ただただ、食料を目指し、走り続けた。
そして鼠はつかんだ。つかんだものは食料より勝るものだった。
しかし、鼠は泣いた。何故、自分だけつかんでしまったのだろうと。
鼠は泣いた。鼠は泣いた。
頑張って家族の為に走った鼠は何を掴んだのか。
考えてみてください。




