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窮鼠物語

作者: mono
掲載日:2015/01/06

あるところに鼠の家族がいた。その家族は幾度となく『家』を壊された。

「次の『家』が壊されたときが、自分たちの終わりだ」その家族全員がそう思った。


次の『家』は慎重に決めた。壊れないような場所を究極まで探し求め、食料にも困らないように周りにも気を配った。

そして決めた。そこは壁がとても堅く、穴を作るには長い時間を要した。

それでも鼠の家族はそこに決めた。これで最後の『家』にするとそこで誓った。


家族全員でひたすらに壁を掘った。小さな前歯でカリカリ、カリカリと。

どれだけ時間が経っているのかわからなくなる程、ひたすらに『家』を目指した。


そうして遂に『家』が出来た。とても堅く、脆さを見せない頑丈な『家』。

これでやっと平穏な生活を送れる。そう思っていた。


しかし、食料調達の時、事件が起こる。

食料の前に立ちはだかるは6匹の猫。『家』をつくる間に、その家で猫が住み始めたのだ。

鼠の家族は絶望した。これでは食料がとれないと。

家族は泣いた。この先どうやって生きていこうと。


だから、一匹が立ち上がった。「自分がとってみせよう」と。

どうせ未来には死ぬしかないのだから、飢えようが食われようが同じことだ、と。


鼠は駆け出した。穴の外には6匹の猫。

飢えた目で鼠を捉え、「捕まえてやる」のひと思いで鼠を追いかけた。

鼠は走る。猫に追われながら、食料を目指す。


風景が目まぐるしく変わっていく。

そのことにすらきづかず、鼠は走り続けた。

走る間に時間という概念はなかった。

ただただ、食料を目指し、走り続けた。


そして鼠はつかんだ。つかんだものは食料より勝るものだった。

しかし、鼠は泣いた。何故、自分だけつかんでしまったのだろうと。


鼠は泣いた。鼠は泣いた。

頑張って家族の為に走った鼠は何を掴んだのか。

考えてみてください。

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