第三話 なんとかなるさ精神の奇跡?
なんとか無事文芸部創部した俺達だが、今度は執筆用パソコンが無いという問題が発生した。しかし俺達は忘れていた。人員不足のパソコン部があるということを。そのため俺達はまず文芸部の顧問がいるであろう職員室に行くことにしたーー。
「失礼します、文芸部顧問の小笠原先生はいっらしゃいますかー?」
「小笠原先生なら帰ったが。」
……あの先生帰りやがった。
「じゃあパソコン部の顧問の先生は……?」
「あーそれなら僕だが」
俺はこれまでのいきさつをパソコン部の顧問の先生に話し、パソコンを五台貸してもらえないか聞いてみた。返答は余れば貸してもらえるということで一致した。
さて翌日、いよいよ体験入部期間が始まった。朝の校門にはホームメイキング部やら囲碁部やらハンドボール部やらの部員の先輩方がひしめき合って勧誘している。全く文芸部もやれば良かったかな、と頭を過ったが所詮パソコンも無い弱小部だ。パソコンも五台借りると言ってしまった訳だし、これ以上増えるのも、という考えが勝り、結局勧誘するのをやめた。そもそもそれを行うには学校長の許可がないといけないらしいし。面倒くさい。なんとも暇な一週間が来たと思った。
校内に入ればそれはもう目眩がするほどの勧誘ポスターの量だった。勿論貼られている場所は掲示板に限られていたが。だがしかし見るからに異常の多さだ。確かにこの高校は必ず部活に入らなければいけないという事情で部活の種類は多種多様で数も多いことで有名な学校だがこの量は異常だ。これじゃあ部費も五万しか貰えないのも仕方がないと言えるだろう。……学校祭に期待しよう。
朝のホームルームが終わり先生が教室から退出すると教室の空気が一気に緩む。無論今持ち上がっている話は部活動の話。何処に入るーとかの会話が飛び交っている。その他何処何処の先輩がかっこいいとか、全く俺に関係の無い事だった。
何気無く授業を受けて迎えた部活動紹介は暇なものだった。色々な部活動が様々な工夫を拵えて発表する。それは部員を獲得しようという気持ちからだろうというのは俺もわかってはいるのだが、やはり部活動が決まっている俺にしては暇なものだった。取り敢えず俺はパソコン部のパソコンが余るのをただただ願っていた。
いつもと何ら変わりない日常を過ごして体験入部が終わった。結局パソコンは五台余り無事文芸部はスタートした。
目指すは秋の学校祭に冊子を出す、それだけだった。
次の日、いよいよパソコンの電源を点ける時が来た。
「いよいよだな……」
「いよいよだ……」
「そうだね……」
「そーですねぇ」
皆一様に緊張した面持ちである。……何故緊張しているのか分からない。だが、何故か緊張するのだ。
俺らは一斉にパソコンの電源ボタンを押す。そこに現れるのはMINDOMSという会社のロゴ。ようやくこの時が来た。いよいよ俺らの活動が始まる。




