目を覚ませば見渡す限りムチムチボイン
むしゃくしゃしてやった。
後悔はしていない。
僕の名前は小柳一馬、学校の帰りにいきなり異世界召喚された十六歳のいたいけな少年だ。
どうしてこうなった。
今僕の目の前ににじり寄って来る無数のオカマ達から逃げるので精一杯な状況である。
マジこえーよ。
「キャー勇者様ー大人しく俺達に抱かれやがれぇぇぇぇぇぇい!」
歯を剥き出しヨドと汗を飛び散らせながら追って来るその姿は悪夢の一言である。
「嫌だぁ!!僕はノンケだぁ!男を抱く趣味はなぁい!!」
「俺達…アタイ達の誰かを抱かないと能力が手に入らないのよぉ?
だから大人しくその菊の花を散らせやがれぇぇ!」
え!?なに?捕まったら薔薇族しないといけない上に僕が菊の花掘られるの!?
待って待って!絶対嫌だぁぁ!
そんな事を考えながら川沿いを走っていてた。
しかしそんな僕の逃走劇も終わりを告げる。
目の前の地面が途切れていたのだ。
そう滝だ…
「もう逃がさねぇぞ勇者ぁさあ誰に掘られたい?」
「そんなの当然アタイよねぇ?」
「いや私よぉ!」
オカマ達が荒い息で近づいて来る
「サヨナラ、僕の人生…」
僕は滝に飛び込んだのだった。
学校の終業チャイムが鳴り、友人二人と帰路に着いてる時に僕は突然貧血をおこして倒れてしまった。
目を覚ましたらいきなりオカマたちに囲まれていた。
彼……彼女達の目は色欲にまみれていた。
意味がわからないぃぃぃ!
青髭ジョリジョリマジで気持ち悪いんですけどぉぉぉぉ!
そんな風に混乱していると一際立派なケツアゴのオカマが前に出てきて世にも恐ろしい声で「ごきげんよう勇者様。
私技能の精霊代表のマルガレーテと申します、以後お見知り置きくださいねぇ♪」
ウインクとキャピッとしたポーズという美少女にしか許されない仕草を交え自己紹介してきた。
……色々引きつつ
「ハ、ハジメマシテ小柳一馬といいます……それより勇者ってどういう事ですか?
それに個々は一体何処なんです?」
そう質問するとマルガレーテは件の周りに紫色の毒々しいハートマークが出てきそうなポーズを決めつつ
「此処は技能の祭壇でぇす♪ちょこっと創造神様に頼んで異世界から居ても居なくても……ゲフンゲフンとっても才能豊かな貴方を救世の勇者として召還しました♪」
「今ボロリと聞き捨てならない台詞が聴こえたよ!?」
涙目で抗議する。
「テヘペロ♪つい本当の事を言っちゃった♪ゴメリンコ!」
ウゼェェェェェェ!
何故だろうオカマ軍団にえもいえぬ殺意が沸いてくる…!
「畜生元の場所に戻してくれ!
僕を呼ぶ必要は無かったのでしょ!?」
「それは出来ません…何故なら百年に一度しか異世界に干渉が出来ないからです♪」
マルガレーテはやや眉をハノ字に曲げ申し訳なさそうな顔でとても嬉しそうな声という神経逆撫でコンボをかましてきた。
「でもでも安心してくださいねぇ♪あたし達技能の精霊の誰かを選んで契約するととっても強く成れるのでこの世界で生きるのには困りません♪」
「安心できるかぁぁぁぁぁぁ!」
僕は頭を歌舞伎やヘヴィメタよろしく振り乱し絶賛パニック中ということを体現しながらそう叫ぶ。
マルガレーテはそんな僕をなだめつつ
「でもでもぉ~なんだかんだで楽に超強くなれるって興味ありません?
私たちと契約すれば魔法、武技、生産技術思うままですよ?」
一馬はそんな言葉にピクリと止まる
「魔法!魔法が使えるの!?」
ブッチャケ一馬はラノベとかハイファンタジーが大好きな文系少年である。
ふとした拍子に剣と魔法の世界や超科学の世界に思いを馳せ教師に頭を叩かれ現実に引き戻されるというのが学校に居る時の日課であった。
「食付きが良すぎですよ~勇者様~それでどの技能にしますぅ~「全部で。」・・・・え」
すかさず割り込んできた一馬にマルガレーテはキョトンとする。
「ここにいる全ての精霊の技能で!だってこの先何が有るかわからないし!!」
すると精霊集団が色めき立つ
「あの青い果実を・・・」とか「私初体験緊張しちゃう!」とか「あの若くてハリのある尻に・・・」
とか色々物騒な事が聞こえて来た
「えっと・・・初体験って何か嫌な言葉が・・・」
顔を青白くさせながら震える声で問いかける。
そんな一馬にマルガレーテは喜色満面の笑みで
「私達精霊は肛も・・・菊座から体内に入り力を授け消滅します♪
でも流石勇者様ですぅ此処に居る精霊を全部受け止めてくれるなんて・・・」
一馬は反射的に精霊たちが居る方とは逆に走り出しながら叫ぶ「キャンセルでぇェェェェ!!」
そして祭壇のある神殿から逃げ出し追い詰められ滝に身投げしたのだった。