↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
欲張ってチートスキル貰いすぎたら、ステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します  作者: ゆさま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

78/96

国王

 俺たちがモンスターを全滅させた頃、ノエルがディアージェスを倒して戻ってきた。


 空を見上げれば、既に夕焼けに染まっている。今日は一日中戦っていたから疲れたな。早く帰って休みたい。


 そんなことを思っていると、突如強大な波動を持つ男が、俺たちの前に転移してきた。


 長身で細身だが、ひ弱な感じではなく、立ち姿からは鍛え上げられた肉体であることがうかがえる。


 そいつは歩いて俺に近寄ってきた。攻撃の意志は感じられないが、威圧するように魔力の波動を放っている。


 武器も手にしていないので、手が早いレイナも、すぐに殺そうとするノエルもまだ攻撃を仕掛けない。男は優雅な動作で胸に手を当てた。


「初めまして、転生者カイト。私はディアージェスの『貴公子』ラフィードと申します」


 このタイミングでディアージェスの四人目も出てきたか。ちょっと疲れているけど、まだやれる。俺は神剣ベイルスティングを取りだした。


「次はお前が相手なのか?」


「いえ、あなたは魔王リーゼロッテ様が相手をすることになっています」


「じゃあ、何しに来たんだよ?」


「他の三人がどうなったのか、この目で確認しに来ました。どうやら倒されてしまったようですね。大口を叩いておきながら不甲斐ない」


「ああ、俺たちで倒した。今から仇討ちでもするか?」


「いえ、今日はこれで失礼します。そもそも私では、あなたのアイギスの盾を無効化できませんし」


 ラフィードはそれだけ言い残すと、転移して消えた。


 は? それだけなの? 緊張して損した。あいつは他と違って手ごたえがありそうだったしなぁ。


 俺が思わず息を吐くと、多数の波動が接近しているのに気が付いた。


 今度は何だよ? うーん、この波動の感じ、モンスターじゃなくて、大勢の人間だな。


「ノエル、人がたくさんこっちに向かってきてるね」


「ナロッパニア軍だよ。ナロッパニア王国の王は元勇者だから、周辺のダンジョンを常に監視しさせていたんだよ。魔王の部下がモンスターを大量に集めて軍団を形成していると報告を受けて、王様自ら精鋭を率いて討伐に来たってところでしょうね」


 えー、王様とか会いたくないなぁ……。


「また面倒なことになる前にさっさと退散しよう」


 俺がそう言うと、ノエルは頷く。


「そうね。ナロッパニア軍と鉢合わせしてもメリットなんて無いし。帰りましょう」


 その時、一人の男がこちらに向かって、かなりの速さで飛んできた。上空から近づいてくる人影を見てノエルが言う。


「あれはナロッパニア王ね。二十年前、私と一緒に魔王軍と戦った勇者の一人だよ」


 王様自ら最前線に来るものなのか?


 そう一瞬思ったが、王様は元勇者で超越者なんだから主戦力だよな。俺たちの前に降りてきた王様は、ノエルを見つめて話しかける。


「久しぶりだね、シズク。女神様に戦いを挑んだと聞いていたから、二度と会えないかと思っていたよ」


 なんだこいつ。ノエルに向かってシズクって呼びかけたのか? 対するノエルは不機嫌そうだ。


「会ったからなんだって言うのよ? 今の私はカイトの恋人で名前はノエル」


「シズクに恋人!?」


 俺は、目を丸くする王様の前に出て「どうも。カイトです」と、軽く頭を下げる。


「私はナロッパニア王国の王であり、二十年前魔王軍と戦った勇者の一人カズヒロだ」


「カズヒロさん……。元日本人?」


「そうだ。私は二十年前、この世界に勇者として召喚された四人のうちの一人だ」


 王様は遠い目をして過去を語り始めた。いろいろ言っているが、俺には興味が無いので聞き流していると、ノエルの話題もあった。


 ノエルの過去だけは気になるので、そこだけはきちんと聞く。ノエルの前世の名前はシズクで、召喚された直後はその名前で活躍していたらしい。


「シズク、君はあの頃のまま美しいんだね」


 王様が優し気な笑みをノエルに向けると、彼女は腕を組み、やはり不機嫌そうに返す。


「ふん、私は肉体をずっと封印されていたから。そう言うあなたは老けたわね」


「こう見えても、国民からは若々しいと評判なんだがね。それにしても、あの超硬派なシズクが、男にベタ惚れなんてね。信じられないよ」


「今の私はノエル。今度その名前を口にしたら斬るわよ」


 ノエルにキッと睨まれた王様は「おぉ、怖い怖い」と両手を軽く上げて降参を表明する。


 王様に剣を突き付けたりして大丈夫なのか?


 少しだけそう思ったりもしたが、俺のノエルに馴れ馴れしいのは腹が立つので、良しとしよう。


「用が無いなら、私たちはもう行くから」


 ノエルは王様に背を向けて、飛ぶために魔力を解放すると、王様は彼女を呼び止める。


「まて、また魔王が召喚されたんじゃないのか? 何か知っているなら教えてくれないか?」


 ノエルは振り返って、真剣な顔で王様を見た。


「魔王も女神も私たちが必ず倒す。あなたは自分の国を守ることに集中して」


「そうか……。分かった」


 王様は寂しげな顔をしたが、それ以上はなにも言わなかった。ノエルはそれを見ると王様に背を向けて飛び立った。


 俺も王様に軽く頭を下げて空に飛びあがると、みんなも俺に続いてその場を離れた。




 * * *




 ――その夜。


 カイトの屋敷の一室。大きなベッドでマユ、クレア、フィリス、アイリ、レイナが寝息を立てている。その傍らでカイトはノエルを自分の上に乗せて抱いていた。




「あいつ、なんか嫉妬しちゃうなぁ。昔のノエルを知ってるのか……」


「昔私にしつこく言い寄ってきただけど、そのたびに剣を抜いて追い払っていたから、触られたことだってないわ。私はカイトが初めてよ。知ってるでしょ?」


「うん、知ってるけど、なんかモヤっとしただけ」


 俺はノエルを抱き寄せて唇を合わせる。ノエルもそれに応えて深くキスを交わした。


「自分は女を何人も囲っているくせに、カイトは独占欲が強いのね?」


「俺自身も驚いてる。ノエルには俺だけを見ていて欲しい」


 ノエルは潤んだ瞳で、俺の目を真っ直ぐ見ている。


「ふふっ、何を今さら……。私はカイト以外の男なんて興味もないわ」


 その言葉が聞けて、心の中の靄が晴れたような気がした。俺は「うん」と頷いてノエルを強く抱き締めたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。