表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
欲張ってチートスキル貰いすぎたら、ステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します  作者: ゆさま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/52

呼ぶ声

 ターキヌから逃れた私は、ナロッパニア王国でも多くの冒険者の集うという街、アーリキタに来た。


 この街の冒険者ギルドで、仲間が引退してしまったと偽りパーティーメンバーを募集した。


 募集してすぐにザッコスという男と出会った。レベルは45でCランクらしい。私はレベル37

でCランクなので丁度いいと思い、パーティーに加入することを決めた。


 剣士のザッコス、前衛のモブーラ、魔法使いのヨワーネの三人のパーティに私を加えてもらえることになった。


 私は期待を胸に、彼らとティバンの森にあるダンジョンに潜った。


 だが、ザッコスの強さは期待外れだった。レベルだけは高いものの動きがなっていない。雑に剣を振り回しているだけで技量は低く、剣技と呼べる代物ではなかった。


 連携など全く考えていないのだろう。ザッコスは単身モンスターへ突っ込み、ヨワーネも魔法を使うタイミングを考えずに好きなように戦っている。


 モブーラは盾職なのに前衛に立つわけでもなく、二人が倒し損ねたモンスターの相手をしていた。


 この調子では、私も思うように実力を発揮できない。このパーティの実力は、ランドルさん達の足下にも及ばないだろう。


 それでもどうにか十三階層まで到達した。


 しかしそこでも、ゴブリン程度を相手に苦戦している。汗だくで息をあげるザッコスは、調子が悪いと言うので今日は帰ることにした。


 


 ダンジョンの入口へと戻る途中、ザッコスは他のパーティに因縁をつけて喧嘩を吹っ掛け、あろうことか自分よりもレベルの低い者を殴り飛ばしていた。


 これでは冒険者ではなくならず者だ。私が仲裁に入り、どうにかその場は収まったが、三日後に闘技場で決闘するなどと約束をしていた。


 自分よりも遥かにレベルの低い者への態度とは思えない。


 納得できなかった私はザッコスに「今後このようなことがあれば私は抜ける」と伝えると、ザッコスは不満そうに舌打ちをした。


 翌日も、その次の日も彼らはゴブリン相手に苦戦をしていた。やはり、これが彼らの実力なのだろう。


 ザッコスという男は、実力が低いだけではなく態度も悪かった。そのうえ見栄っ張りで「以前はもっと深く潜れた」と宣う始末だ。


 早くも私は我慢の限界だった。でもザッコスと決闘の約束をした男が気がかりだ。もし闘技場に現れたら殺されてしまうだろう。何としても決闘を止めなければ。




 * * *




 そして約束の日、ザッコスに打ちのめされていた男は闘技場に現れた。あのとき、ザッコスに手も足も出なかったというのに、今の表情からは余裕すら感じられる。


 あまりに自信に満ち溢れた様子に、決闘を止め損なってしまった。たった三日で何が変わるというのか……。


 無謀な奴だと呆れたが、せめて結末くらいは見届けよう。


 ところがカイトと名乗る男は、ザッコスに勝ってしまった。しかもかなりの余力を残している様子だった。


 彼に興味が湧いた私は、舞台から降りてきたところへ近寄り話しかけた。


「たった三日で本当にザッコスより強くなるとは。どうやったんだ?」


 カイトは整った顔を、子供みたいに無邪気に綻ばせて答える。


「知りたい? 俺のパーティに加入したら分かるかもよ?」


 私はなぜが胸が高鳴り、顔が火照るのを感じた。


「そうだな、ザッコスのパーティに加入したものの、ヤツの横柄な態度に嫌気がさしていたところだ。私もカイトのパーティに加えてもらうよ」


 カイトの誘いに乗ったのは、ザッコスといるよりカイトといた方が強くなれると思っただけで他意はない。私がパーティーに加入すると伝えるとカイトは嬉しそうに笑っていた。


 その後、闘技場を後にして早速ダンジョン探索へと向かった。


 ポータルで三十階層に行くなどと言いだしたときは不安だったが、すぐにそれは払拭された。


 ほんの数日前まで、ザッコスにすら手も足も出なかったカイトは信じられないほどに強かった。さらにマユとクレアも相当強い。その上三人とも希少なはずの神聖魔法を操っていた。


 彼等の想像以上の強さに怖気づいた私は、つい弱音を溢してしまった。するとカイトは錆びた槍を持っていないかと私に聞く。


 私はおかしなことを聞くな、と思いながらも、マジックバッグから錆びた槍を取り出しカイトに手渡した。


 カイトが錆びた槍を手に取り、マユの作り出す光球に近づけると、みるみるうちに輝く槍に変わった。この錆びた槍が本当に神器だったなんて……。


 槍を笑顔で私に差し出して、使ってくれと勧めてくれるカイト。私の鼓動は高鳴り、顔が熱を持ってしまう。


 受け取った槍のおかげで、カイトたちに後れを取らずにモンスターを狩ることができた。


 


 * * *




 街へ帰還し食事をとった後、宿に向かう。


 宿屋ではカイトたちは一つの部屋に泊まるそうだ。


 恋人の邪魔をするわけにはいかないので、私は一人部屋にしてもらった。


 ベッドに横になり眠ろうとした時、カイトたちの情事の声が聞こえてきた。私への当てつけではないかと思えるほどに激しく声をあげている。


 それにしても……、カイトはどんなふうにあの子たちを可愛がっているのだろうか。そんなことを考えると気になって眠れない。


 気が付くと、私は体の熱く疼いているところに指先をあてがって一人で震えていた。




 * * *




 翌朝、私が寝不足ではないかとをカイトに指摘されたので文句を言うと、カイトは謝りながら神聖魔法で眠気と疲労感を軽くしてくれた。


 カイトの触れている私の肩が熱く感じる。私の胸はまたも高鳴っていた。


 カイトの一挙手一投足に、胸がギュッと締め付けられ高鳴る。私の体は一体どうしてしまったのか? 




 今日もポータルを使用してダンジョンに行く。


 三十階層に行くかと思ったらなぜか二十階層だった。どうやら十九階層に向かうらしい。


 疑問を感じながらも付いていくと、オークの群れに襲われているザッコスのパーティを発見した。 


 カイトはザッコスを助けると、地上まで付き添っていた。意外とお人好しなんだ……。


 それにしてもカイトは不思議なやつだ。槍の件もそうだし、まるでザッコスがこの場所でピンチに陥っていることが分かっているようだった。


 ザッコスたちと別れてから、カイトと冒険者ギルドの訓練所で手合わせをした。カイトの剣技は洗練されていて、美しく鋭かった。私の胸は躍り、とても楽いひとときだった。


 こんな時間がいつまでも続けばいいのに。




 * * *




 宿屋で一人ベッドで横になる。


 カイトは今夜もあの二人を抱くんだろうな……。


 そんなことを考えていると、ドアがノックされた。もしやカイトが私を誘いに? 


 期待にも似た胸の高鳴りを感じながらドアを開けると、ターキヌが立っていた。もう見つかってしまったのか。


「お嬢様、鬼ごっこは終わりにしてください。さもなければ、カイトとかいう男がどうなるか……」


 ターキヌは目を細め、いやらしく口元を持ち上げた。


「明日の早朝、馬車で迎えに参ります。よろしいですね?」


 私が無言で立ち尽くしていると、ターキヌは続ける。


「スターク殿にも同行していただきます。聡明なお嬢様ならこの意味は……」


「……わかったわ」


 カイトに酷いことをされるかもしれないと思った私は、頷くことしかできなかった。




 夜明け前の、青白い光が部屋に差し込んでくる頃、馬車が迎えに来た。


 グングニルは宿屋の主人に預け、カイトに渡すように頼んだ。時が流れても、カイトがこの槍を見れば私を思い出してくれるだろうか。


 宿を出ると、ひんやりとした空気が肌を撫でる。ターキヌは何も言わず、馬車のドアの横に立っている。私は重い足取りで、馬車に乗り込んだ。


 しばらく馬車に揺られていると、昇り始めた朝日が車内を白く照らし出した。


 陽の光でも、私の湯鬱な心を照らすなんてできない。けれどカイトなら、無茶苦茶なことを言って笑わせてくれただろう。


 ふいに、カイトの笑顔がよぎってハッとした。


 ああ、私の中で、カイトはこんなにも大きくなっていたんだ。


 私が物思いにふけっていると、馬車の外が騒がしくなった。野盗か獣でも出たのだろうか?


 向かいに座っているターキヌが立ち上がる。


「私も外の様子を確認してまいります。お嬢様はここでおとなしくお待ちください」


「……わかっているわ」


 私の返事を確認すると、ターキヌは一礼して馬車の外へ出ていった。


 護衛も沢山いるし、いざとなれば『あいつ』が何とかするだろう。父が高い金を積んで飼っている、忌々しいほどに圧倒的な強さのAランク冒険者が……。


 じきに静かになり、再び馬車が走り出すだろうと思っていると、カイトが私を呼ぶ声がする。


 私は慌てて立ち上がり馬車から飛び出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ