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エミちゃん人形

作者: 梦月みい
掲載日:2026/01/11

大事な大事な家族で、大事な大事なたった一人の親友だった。


いつも一緒にいて、可愛い服を着せて、毎日寝る時も一緒。

目の前の子の名前は、レイカちゃん。

4歳の誕生日に、玩具屋さんで一目惚れ。運命だと思った。

おねだりして、それから毎日、ずっと一緒。


「エミちゃん」


時々ママが、レイカちゃんとお揃いで洋服を縫ってくれたりした時には、嬉しくて一緒に着替えたりもした。

一緒にドール服のカタログを見て、ママに「次はこれがいい、あたしとお揃いね」とおねだりした。

あたしたちは親友だった。

なんでも相談したし、一緒に泣いたりもした。


少しレイカちゃんが大きくなると、一緒にお化粧をしてみたり。それを見てママが小さく悲鳴を上げて、レイカちゃんとあたしの顔をごしごしと拭いたものだった。


ある日、レイカちゃんといつものように布団に入る。


「エミちゃん、あのね」


レイカちゃんの、いつもの寝る前の呟きが、豆電球だけ灯った薄暗い室内に溶けていく。

抱き締めると、無機質なビニール素材。

いつも一緒にいて気付かなかったけど、一緒に過ごすようになってエミちゃんは大分薄汚れていたように感じる。


小学五年生。


着せ替え人形で遊んでいる友達なんてもういなくて、おませな女子はみんなファッションやメイク、流行のアイドルの話で持ちきりになっていた。

すっかり存在を忘れてしまった。


時折、棚の上に鎮座する少し薄汚れた親友を見て、罪悪感のようなもので胸がちくりと痛んだ。

でも、とにかく周りに同調しないと、女子の中では浮いちゃう。

同じようにしないと、仲間外れにされてしまう。


だからとにかく、流行りを追いかけて、学校に行って、それから、それから———



「ママ、またレイカちゃん人形玄関に置いた?部屋置いといてよ」

「ママは知らないわよ。エミったら、自分で持ってきたんじゃないの?」

「ちがうもん!あたしじゃないもん!…ちゃんと、部屋の棚に置いてるのに」


最近ずっとベッドにいたり、お風呂場に置かれてたり、玄関にあったりする。


「もう、わけのわからないこと言ってないで、早く学校行きなさい!」

「…いってきまーす」


エミちゃん。

あなたは人形なんだから、ちゃんと棚にいてよ。


無機質で無感情な人形が、母の手で棚に戻される。


人形の名前は、「着せ替え人形レイカちゃん」

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