36/60
36通目 ゴブリン王ボトムの手紙
ドラゴン族アルベリッヒ王、
並びにエルフ族の長フィロストレリア・エルフェンノルン殿
両名へ
急啓 昨夜の不可解な『地鳴り』について、諸兄に取り急ぎ報告を申し上げる次第。
各戸を回り点呼を取ったところ人的被害はなく、しかし崖全体が少し傾いた模様。どこの家の扉の建て付けも少々おかしくなっている次第。
多少の揺れではびくともしないはずのこの大崖が、である。
我が崖に普段ならば住んでいる職人達は平原の各村に煉瓦を配り敷き詰めている最中であるため、半数以上が不在であるが、平原の村々からは『大事ない』旨の白い狼煙が上がっている(なお、黒い狼煙が上がっている場合は『緊急事態』ないし『有事発生』の証である)
一度職人達を呼び戻して崖の再普請を急がねばならぬ模様。
そして北の山や南の森は大した揺れではなかったとのことを妖精便の者達から確認した次第。
先日の小トロルの件といい、我が平原『でのみ』、何かしらの異変が起きているやもしれぬと考えておる。
しかし、ゴブリン族や人間族、かつてはこの平原に住んでいたドワーフ族など、この平原に住まう者には、先を見通せる力や、魔術的な力が使える者は少なく、こう言うときには少々難儀するのである。
されど取り急ぎ、我も我が妃も無事にて。用件のみで失礼仕り候。 早々
ボトム・ゴブリンロード




