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30通目 エコールからシーバスレリアへ

『常冬の宮殿』より

シーバスレリアへ


 前略 あんたからの手紙を受け取ったよ。妖精族の子がいつものように、代筆まで待っててくれるって言うから、山で採ってきた凍った果実をあげたら喜んでくれてね。街で売られてる凍ったお菓子よりもずっと美味しくて、とても良いってさ。


 それはともかく、あんたのような生粋の風来坊が、本気で人を好きになるとはね。良いことだよ。


 私はボトム王やリネッテも大好きだからね、応援して良いのかはまるでわかんないけど、やれるだけやってみたらいいんじゃないのかな。


 すっきりしないのは、いやだろう?


 まあ、あんたが好いた女に無体を強いるような馬鹿男だったら、とっくにこの爪と牙で八つ裂きにしてただろうだから、ね。


 で、あんたの義理の姉さんのご懐妊だけど、アンフィーサ様も大喜びさ。


 早速出産に必要なあれこれを妃の仕事の合間に書き上げて、アルベリッヒ王に『御奏上』なさってるのを見たよ。


 それと皆、例のトロルの件も案じているよ。何せ妹のリネッテは今や平原を代表するお姫様だものね。


 人間の煉瓦組合に、あるだけの在庫を平原へ放出するようにって連絡していたよ。ドラゴン族のお妃様直々の依頼じゃ、あの頑固な組合連中も逆らえないだろうね。人間族の城下町はまだまだゴブリン族への偏見も根強いところもあるだからさ。


 それとアルベリッヒ王が、


「シーバスレリアは弓か。フィロストレリアは剣を佩いていたが、兄弟でも違うものなのだな」


 と、『常冬の宮殿』の奥から何だか物々しい武器を出してきたよ。


 遥か昔に数多の人間の勇者達と『手合わせ』(この険しい山にわざわざやってくる勇者とかいう人間族との『手合わせ』がだいたいどんなやつなのか、想像するのも恐ろしいんだけど!)した時に手に入れたやつなんだって。


 まだドワーフ族達が健在だった頃に作られた、今や幻の剛剣と強弓、樽の中に入れてあるから会ったときに渡すよ。


 あんたの兄さんにも渡してやって。


 どうせこの宮殿に来る前に『鷲の大崖』に寄るんだろう? 私もそっちにいくからね。


 なんだか、皆の顔が見たくなってきてさ。


 それにしても、あんたや、うちの王様や王妃様が羨ましいよ。私もいつか、誰かを心から愛する日が来たりするのかな。


 その時はあんたは大笑いするのかな、それとも、親身になって話を聞いてくれるのかな。どっちだろうね。


 考えてたらむずがゆくなってきたので、今日はここまで。 草々


やっとこの手紙ってやつにも慣れてきた

エコール

《代筆にて失礼しました 妖精便担当者より》

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