16通目 エコールからシーバスレリアへ
シーバスレリアへ
あんたから手紙が来るなんて、百年かそこらぶりなんじゃないかな。
あまりにも驚いた顔をしたら、妖精便の女の子がびっくりして引っくり返っちゃったよ。その子にそのまま代筆も頼んで、こうして返事を書いているというわけ。
それはともかく、依頼の件は概ね理解したよ。
確かに私なら、ゴブリン族の王様だろうが人間族のお姫様だろうが、あの山の上のドラゴン族の宮殿まで運ぶことができるからね。万事任せておいて。今日にもあんたの森に寄ってから、『鷲の大崖』へ出立するよ。
防寒だけはしっかりするように伝えなきゃね。
つい先日偶然見つけた、すっかり朽ちたドワーフ族の工房から拝借した大きな取っ手付きの樽に皆まとめて乗せていこうと思っているのだけれど、まあ、多少の不敬とやらには目をつぶってもらわないと。
あんたの話だとゴブリン族の王様は気前が良いみたいだし、人間族のお妃様もしっかりしてるみたいだから、まあ、大丈夫かな。
それにしても、うちのあの気位の高い王様が人間族の姫様と結婚したって聞いたときも驚いたけど、そう、要するにそれは、首ったけってわけね。
なんだか面白そうな話だし、きちんと見てこなきゃ。もっとも、宮殿から追い出されなければ、の話だけど!
あんたの良き友(手紙のここの部分、こそばゆくない?)
エコール
《代筆にて失礼しました 妖精便担当者より》




