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壱級集例

御子柴聖 十七歳


初任務の日から三日が経ち、行方不明者には怪我もなく無事に保護された。


しばらくの間、沼沢湖周辺の公園に規制が入り、沼御前の飛び散った血肉やら湖の清掃をする為。


今回の事件は警察も関与している事もあって、公園には入れないそう。


巨大化した沼御前は暴れまわってたし、血があっちこっちに飛び散ってらしい。

 

あたしはと言うと、総司さんの経営している病院に、五日間だけ入院する事になった。


楓や隼人、大介は一日だけだったので、退院後はお見舞いにてくれたんだけど…。


「総司さんが個室を用意してくれて良かったな、姉ちゃん」


「大した怪我じゃないんだけど、総司さんと蓮に押し切られちゃって…。腕の怪我ぐらいなら、入院もしないでしょ?」


そう言いながら、昨日の夜中の事を思い出していた。


「「でも、入院はした方がいい・だろ!!!」」


楓との会話を聞いていた大介と隼人の二人が、お菓子の袋を持ったまま声が重なる。


「聖ちゃん、大活躍だったんだから、ちゃんと休まないと。腕の傷だって、結構深かったでしょ?」


赤札に使う為だったけど、思いっきり切ったんだっけ。


深く考えずに切ったから、傷の深さは総司さんに言われて気付いたんだよね。


大介の言葉を聞きながら、そんな事を考えていると隼人が口を開く。


「俺達は男だから、ある程度の傷は平気だ。平気かもしんねーけど、聖はちゃんと休め」


「へー、隼人は聖ちゃんには優しい言葉をかけれるんだ」


「あ?大介、テメェ…。今、失礼な事を言おうとしてないか」


「え!?いやいや…っ。そ、そんな訳ないじゃんかよ」


隼人に問いだされた大介は、タジタジになりながら答えた。


「あ、そういえば、アイツは?」


楓が二人に聞こえないように、小声であたしに訪ねてくる。

 

「蓮の事?智也さんと一緒に、事件処理をしてるみたい。今回の沼御前の凶暴化の事で、話し合いしてる」

 

「話し合い?」


あたしの言葉を聞いた楓は、少し表情を硬くして言葉を吐いた。


***


同時刻 東京陰陽学院 理事長室


鬼頭智也と本城蓮は、パソコンを使って本城克也とweb会議をしていた。


会議の内容は勿論、沼御前の凶暴化の件についてと、八岐大蛇の居場所についてだ。


「元々、沼御前は弐級の妖だったが、八岐大蛇の血液を飲み、力が増大した。この報告書に書かれてる事は事実なんだな?蓮」


「あぁ、実際に沼御前が血液の入った小瓶の蓋を開けた時、十年前に感じた八岐大蛇の妖気がした。壱級特有の花の甘い香り、お嬢も入れ墨に激痛が走ったって言ってたよ」


「成る程な、聖様が赤札を使用してくれたおかげで、沼御前を滅せられた訳か。蓮があらかじめ、早く周囲を囲う結界を張った事で、市民にも被害が出ずに済み、行方不明者も無事に保護出来た。早乙女の坊ちゃん達にも、赤札を見られたのは仕方がなかったが…、あまり知られて良い物ではないからな」


「前田大介も早乙女の坊ちゃんも、赤札の事はさほど気にしてなかったよ。お嬢の怪我の方を心配していたし、(よこしま)な考えは浮かんではない様子だった。あの子達は、お嬢の事を純粋な気持ちで好いてくれてる。今も、お嬢の様子を見に、お見舞いに行ってくれてるよ。僕が今、お嬢の側を離れているから、坊ちゃん達なりに考えてくれた上だとも思うし」


本城蓮の言葉を聞いた本城克也は、少し安心した表情を見せる。


本城克也なりに、御子柴聖の身を案じていた事が見て分かる瞬間だった。

 

 

「聖様には、同年の友人が居た方が良い時もある。幼少期の頃から大人に囲まれ、血生臭い世界に御一人で居た。学院に居る時くらいは、肩の力を抜いてほしい。智也、八岐大蛇の行方は」


「東京にいる事は間違いないが、中々尻尾を出さない。うちの者に探させているが…、人間に化けて生活している可能性が濃い。八岐大蛇と行動を共にしている妖達も同様にな」


「人間に化けていると、見つけにくいな。妖気は当然、消しているだろうし」


「もう少しだけ待ってほしい、蓮も悪いな」


本城克也と話してた鬼頭智也は、隣に座ってる本城蓮に軽く頭を上げて謝罪する。


「智也さんの所為ではありませんよ、謝らないで下さい。僕もお嬢も、簡単に見つけられるとは思ってませんから」


「そう言ってもらえると助かる。引き続き調査は続けるが、聖様には例の集会に参加してもらう事になった」


「例の集会って、アレの事ですか」


「聖様も立派な壱級だからな」


鬼頭智也はそう言って、本城蓮に一枚の封筒を見せた。


*** 


御子柴聖 十七歳

 

「へー、だから姉ちゃんの側にいないのか。じゃなかったら、姉ちゃんの側を離れたりしないよな」


「あたしと蓮は、常に一緒に居る訳じゃないよ?楓。蓮は、昔の契約に従っていてくれてるだけで、仕事でいない時もあるもの」


「え、姉ちゃん気付いてねーの?」


「気付いてないって、何を?」


あたしの言葉を聞いた楓は、思いっきり目を見開いて驚く。


「うわー。俺、初めて蓮の事を可哀そうって思ったわ…」


「え!?可哀そうって、何が!?」


「いや、姉ちゃんが気にする事じゃないよ。あー、おもろ。俺、今日からアイツに優しくするわ」


「気になるから、教えてほしいんだけど…」


「二人共、何話してるのー?お菓子パーティー開催するよ☆」


楓に問いただしていると、大介が大袋のポテチを持って声をかけてきた。


「いや、何も。ほら、姉ちゃん。俺の腕を掴んで、立てそうか?」


「あ、うん」


差し出された腕を掴みながら、腰を上げて立つ上がり、隼人達が座っているソファーまで向かった。


テーブルの上に広げられた見覚えのないお菓子や、名前だけ知ってるお菓子など、色々な種類のお菓子が並べられている。


この色のついた液体は一体…。


「どうした?聖」


「この液体は何?」


「これか?オレンジジュースだ。見た事なかったか?」


「え!?そうなの!?聖ちゃん」


隼人との会話を聞いていた大介はかなり驚いてて、あたしが送って来た生活は普通じゃなかった事が分かった。


普通の人はお菓子だって、ジュースって物を食べたり、飲んだり出来る。


自分の家の人間達が、あたしから娯楽を取り除き、与えもしなかった事が再確認出来たな。


「お菓子とかジュースを飲んだ事ない?聖ちゃん」


「うん」


あたしの家の事情を知ってる楓と隼人は、心配そうにあたしに視線を送ってくる。


大介は当然、御子柴家の事情を知らないから、普通に疑問に思って聞いてきただけだ。


「あのな、大介…」


「聖ちゃんの家は、お菓子とか禁止だったんだ!!!そう言う家もあるよなぁ。ま、今は親とかいないし?解禁しちゃおう!!!今日はお菓子パーティだからね」


隼人の言葉を遮るように、大介は言葉を被せながらお菓子の袋を開封して行く。


「俺のおすすめはこれなんだけどー」


「大介って、良い奴だね」


思わず口元を緩ませながら、大介に声をかけてしまう。


あたしの顔を見た大介は顔を真っ赤にさせて、言葉を詰まらせながら話し出す。


「へ!?あ、そ、そんな事な、ないよっ!?ふ、普通だよっ」


「ううん、大介は優しいよ。ありがとね」


「はわわわ…、聖ちゃんが俺の事を好きになっちゃう…」


「「いや、それはない。絶対に」」


大介の言葉を聞いた楓と隼人は、大介の事を睨み付けながら、強めに拒否の籠った言葉を吐いた。

 

それからして、病室が三人の溜まり場かしていたけど…。


それはそれで楽しかった。



蓮の方は疲労はあるものの、軽い擦り傷程度だったので入院はせずに、忙しそうに智也さんの所で何かしている感じで。


総司さんにまた新しい義足を作って貰い、入院最終日に調整する事に。


***

 

入院最終日、身支度を整えてから診察室に入り、部屋の中はあたしと総司さんの二人きり。


蓮は部屋の外で待っているから、実質的には二人きりじゃないけど…。


総司さんと二人になると、慣れていないからか緊張しちゃうな…。


そんな事を考えていると、総司さんがあたしの顔を覗き込みながら口を開く。


「聖様、もしかして緊張していますか?」


「え!?わ、分かりますか?恥ずかしいな…」


「痛い事はしませんから、そこは安心して下さい。腕の傷口の具合と、背中の入れ墨の部分だけ確認させてもらいますが…」


「総司さんの事は信頼してますから、そこに関しては疑ってないです」


あたしの言葉を聞いた総司さんは、少し間をおいてから口元を緩ます。


「聖様にそう言って頂けるとは、思ってもみませんでした。ありがとうございます、本城家の人間として、嬉しい御言葉です」


「いやいや、そんな大した言葉じゃ…」


「蓮がうらやましくなりますね」


「はい?」


いきなり総司さんの口から、予想外の言葉が出てきて戸惑ってしまう。


総司さんはあたしが考えてもいない言葉を返してくるから、どう反応して良いか分からない。


「可愛い姫君の側に居られ、姫君を守る権利も持っていて…。本当に羨ましい限りです」


「お姫様の分類に入らないですよ、あたしは…」


「ふふ、少なくとも蓮と僕はそう思ってますよ」


その言葉を聞いて、両耳がじわじわと熱くなってくるのが分かる。


蓮が本当に、あたしの事をお姫様だって思ってくれてるなら、すごく嬉しい。


自分勝手な考えだけど、蓮にお姫様って思われるのは嬉しい、それもかなり。


「おっと、話が脱線してしまいました。診察の方に入りましょうか」


「はい、宜しくお願いします」


「包帯を外していきますね」


そう言って、総司さんは手慣れた手付きで包帯を外し、傷口の具合を診ていく。


「うん、少し赤くなっていますが、炎症は起こしていませんね。念の為に軟膏を塗ってから、新しい包帯で巻き直しますね」


「分かりました」


机の上にあらかじめ用意していた軟膏を手に取り、痛くないように傷口に軟膏を塗り、ガーゼを貼ってから包帯を巻き始める。


総司さんの手付きを黙って見ていると、総司さんが笑いながら言葉を発した。


「そんなに見られると、照れますね」


「あっ、すみません。包帯巻くのが慣れてるなって…」


「一日中、嫌って程に包帯を巻きますからね。医者なら、誰でも簡単に上手くなりますよ。でも、褒められるのは嬉しいです。ありがとうございます、聖様」


話している間に包帯は巻き終わっていて、パソコンのキーボードを叩いている。


「次は呪いの進行具合を確認していきますね。申し訳ないのですが、上着を脱いでくれますか?」


「分かりました」


総司さんに言われた通りに、あたしは上着を脱ぎ総司さんにクルッと背を向けた。


中にはキャミソールワンピを着ているので、少しずらせは背中の月下美人が見える筈だ。


「少しずらしますね、失礼します」


総司さんはそう言って、キャミソールの紐を優しくずらした。


「進行はしてませんね…、ありがとうございました。上着を着てもらっても大丈夫です」


「ありがとうございます」


あたしは総司さんに、お礼を言ってから上着を羽織ると、総司さんがハッとした表情を浮かべる。


「義足は装着しちゃって良いですかね?あと、ちょっとだけグレードアップさせときました」


「グレードアップ?」


「こちらです」


総司さんは高級そうな箱を机の下から取り出し、箱の蓋を外すと新しい義足が入っていた。


見た目では、前と何処が新しくなったのか分からない…。


総司さんはあたしを見てから、優しく微笑んだ。


その笑い方が、とても蓮の笑い方に似ていた。 


「これはですね…。前のは補強するだけだったんですが…、ここのスイッチを押すと…」


総司さんはそう言って右の太ももにある小さなスイッチを押した。


すると、脹脛(ふくらはぎ)の裏から刃物が現れ、思わず目が点になってしまう。


「回し蹴り用に作ったんですよ!!!」


「ロボットみたいですね…」


「はい!!!それじゃあ、さっそく付けますね…」


総司さんがあたしの前で、しゃがみ義足を装着してくれた。


「立ってみてもらって宜しいですか?」


「あ、はい」


椅子から立ち上がって歩いてみると、前までの義足よりもしっかりしていのが分かる。


それに、太ももとの馴染みもとても良い。


「どうですか?馴染みました?」


「前よりも良いです!凄い!」


「それは良かった。後これを…」


総司さんはポケットから一枚の紙切れを渡して来てたので、紙切れを受け取りよく見てみると電話番号が書かれていた。


「あのこれは?」


「俺の番号です。用が無くても連絡して下さい。もっと、聖様と仲良くなりたいので」


そう言って、あたしの手を握った。


ドキッと心臓が跳ね上がり、蓮と顔が似ているせいでドキドキする…。


総司さんは下心がなく、親切心で電話番号を渡してきたんだから、いちいち心臓が反応してしまう。


蓮と総司さんを重ねて見ている所為、そんな事は分かってる。


あたしが蓮の事を好きだから、蓮にこう言う事を言ってほしいって思っているのも、あたしの勝手だ。


コンコンと扉をノックされ、少しした後に蓮が声をかけてきた。


「中に入って良い?」


「蓮か、診察は終わったから入ってきて良いぞ」


総司さんの返答を聞いてから、診察室にスーツ姿の蓮が入ってくる。


「お嬢すいません、中に入って来ちゃって…」


「ううん、大丈夫だよ。丁度、診察も終わった所だったから」


「診察の結果はどうでしたか?」


「呪いも進んでないし、腕の傷も大丈夫そうだった」


あたしがそう言うと、蓮は安心したように笑みを零す。


「診察を終えたばかりで、申し訳ないのですが…。至急、これをお渡ししないと」


蓮は一枚の赤い手紙を渡して来た。


手紙を開いて見るとそこに書かれていたのは…。


「"壱級集例"?」


「あー、例の集まりか」


手紙の中身を確認していると、総司さんは手紙を覗き込んで来た。


「集まりって、何ですか?」


「壱級のメンバーが集まって、近況報告をする会議の事ですね。会議って程、堅苦しいものではないです。所謂(いわゆる)、食事会です」


「会議みたいな食事会って、感じなんですね?でも、何であたしに?」


総司さんと話していると、蓮が優しく微笑みながら会話に入ってくる。


「はい、お嬢も壱級ですから。僕も呼ばれているので、一緒に行きましょう。安心して下さい、お嬢の事は僕がお護ります」


蓮はそう言って手を差し伸べた。


あたしが御子柴家の人間じゃなかったら、蓮は優しい言葉も手も差し出してくれなかっただろう。


主従契約を結んでいるあたし達は、周りから見たら異質な関係で、恋愛感情はなくても庇護欲がある関係性。


ただでさえ蓮を縛っているのに、「好き」なんて言ったら、更に蓮を縛ってしまう事になる。


少しでも長く蓮の側にいたい、蓮の瞳に映っていたい。


沸き上が恋情を抑えながら、あたしはその手を握り立ち上がった。


優しくあたしの手を握り、壊れ物に触れるように優しく、背中に触れられる。


それだけで十分じゃないか。


「あ、俺も手紙来てるんですよ」


総司さんは机の引き出しを開け、同じ手紙を出した。


「だから、俺も同行するよ蓮」


そう言って、総司さんは立ち上がって、何故かあたしの肩に手を置く。


蓮の眉毛がまたしても、ピクピクッと動いた。


総司さんも付いて来るって事?


「あ、あの…。総司さん病院とか大丈夫なんですか…?」


「はい。ここの奴等は優秀ですので。蓮も良いよな?」


「良いけど…。お嬢の肩から手を離して」


パシッと、蓮は総司さんの手を軽く払い除け、あたしの肩を抱き寄せた。


「れ、蓮?」


「お嬢は、僕の近くに居て下さい」


キュュンッ!!


総司さんに触られた時のトキメキと、蓮に触れられた時のトキメキは全然違う。


蓮の物になったみたいで嬉しい。


ヤキモチを妬いてくれたのかな…。


だったら凄く嬉しい。


「俺、今日は非番だったので、すぐに出られますよ。ささ、行きましょう」


そう言って、椅子に掛けていたジャケットを手に取り、総司さんは羽織りながら声をかけてくる。


「良いですか?お嬢。絶対に僕の側を離れないで下さい」


「うん、分かった」


蓮に肩を抱かれたまま、病院の駐車場に停めてある車に、あたし達三人は早々に乗り込んだ。


後ろの席に蓮とあたしと総司さんの順に座り、間に挟まれてる状態になってる。


「そう言えば、聖様は三年生や他の壱級に会うのは初めてですか?」


不意に総司さんに話し掛けられた。


「そうですね…、楓達以外に会ってないな。会う機会がなかったので」


「今日は、手紙を貰った壱級が集まりますからね。殆ど、お嬢は初めてですね」


総司さんと話していると、蓮が間に入って来た。


「今、思ったんだけど…。あたし、私服でダル着なんだけど…。大丈夫?」


ふと、自分の格好を見た。


蓮はスーツ姿、総司さんはジャケットを羽織っていて、ちゃんとしている。


それなのに、あたしの恰好はキャミソールワンピースにオーバーサイズのシャツを羽織っているだけ。


「大丈夫です、お嬢は可愛いですよ」


「そうですよ。聖様は何着ても可愛いくなるので、大丈夫ですよ」


顔と耳の両方が赤くなるのが分かる。


「ふ、二人して褒め過ぎ…」


「総司様、蓮様、着きました」


扉を運転手さんがそう言ってから、後部座席のドアを開けてくれて、あたし達は車を降りた。


どうやら、この高級な中華料理屋で集まるらしい。


「さ、行きましょうか?お嬢」


「このお店で?」


「はい、貸し切りにしてあるそうです」


「ほ」


蓮が差し出してくれた手を取って、あたしと総司さんもの中華料理店の店内に入って行く。


あたし達を出迎えた店員さんと、何か話しているようだけど聞こえない。


そして、話が終わると店員さんが、あたし達三人を奥の部屋に案内してくれた。


「此方に、皆様がお待ちで御座います」


キィィィ。


扉の奥には円卓の席に楓と隼人、智也さんの三人だけが座っているのが見える。


「あれ!?智也さん達だけ…?」


「いや、まだ来てないんですよ」


「さ、座りましょうかお嬢」


そう言って、蓮がスマートな仕草で椅子を引いてくれた。


あたしは椅子に腰を下ろすと、蓮と総司さんがあたしの左右隣に腰を下ろす。


「聖、具合大丈夫か?今日で退院だろ?」


隼人が心配して、あたしに声を掛けて来た。


「大丈夫。隼人達は?怪我は?」


「俺等は擦り傷だから平気。大怪我じゃねーからな」


隼人が答える前に、何故か楓が答える。


「お前、聖が俺に話し掛け来たんだよ。何で、お前が答えんだ」


「あ?俺が答えても良いだろ」


「ちょ、ちょっと二人共!」


キィィィ。


隼人と楓の言い合いを止めていると、再び扉が開かれた。

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