表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

第壱章 器の少女

隔離姫と下僕の少年


御子柴聖 七歳


いつだったか。

 

あたしの家は、明治時代から歴史のある御子柴家の末裔だって、お婆様が言ってた。


詳しい事は知らない、お婆様の口からしか聞いた事がないから。


代々古くから伝わる陰陽師一家であり、何百年に渡り、ある妖怪を封印し続けているらしい。


名前は確か…、大妖怪八岐大蛇(ヤマタノオロチ)


山に匹敵する巨体を持った多頭竜で、八つの頭と八つの尾を持つ酒好きの妖怪。


戦神須佐之男命(スサノオウ)に拠って、退治されと言われていて…。


屋敷の地下に岩に封じ込めた八岐大蛇が眠っていて、札と縄が部屋中に巻かれている。


御子柴家の中でもあたしは、一族の中でも逸材だったらしい。


御子柴家は何故か、あたしの存在を外に漏らさないように、御子柴家の別荘地の古屋に隔離されていた。


ある意味で、御子柴家は人からも妖からも嫌われているから。


あたしには三つ下の弟いる。


御子柴楓みこしばかえでが居たけれど、中々会わせて貰えなくて、姉と弟なのに会えないのはおかしいと思う。


産みの親である両親とも、誰とも会わせてくれなかった。 

 

普通なら、家族と生活する筈なのに…。


あたしは暗くて、寒い部屋に閉じ込められているのだ。


鉄格子から見える太陽と月だけが、部屋を明るくし屋の中はお札と妖怪退治専用の武器だけ。


可愛いお人形や絵本、ぬいぐるみや玩具すらない。


 冷たくて、寒い隔離された牢獄のような大きな部屋に、あたしは物心ついた時からいた。


守ると言う言葉を吐き捨て、あたしを閉じ込めているにしか過ぎない。


必要のある時だけ出され、用が終われば部屋に戻される。


これが普通なんだと思っていた。


寂しいと言っても誰も反応してくれない。


辛いと言っても誰も助けてくれない。

 

あたしはなんの為に生まれてきたの?


なんの為に存在しているの?


鉄格子の隙間から見える月に何度、問い掛けただろう。


何も答えてくれない月を、どれだけ見上げれば自由になれる?


冷たい床に向かって、どれだけ泣いたら…。


毎日毎日、こんな事ばかり考えて眠っていた。


***


ある時、楓が鍵を開けてくれて、外に出た事があった。


開かれた扉から暖かい春の風が吹き、楓が満面の笑顔を向けている。


小さな手があたしの手を掴み、重い腰を上げてくれた。


「姉ちゃん、行こう!!」


「うん!!」


楓と手を繋ぎ、あたし達は足速に屋敷を出た。


嬉しかった。


太陽の下がこんなに暖かい事を知らなかった。


外に出て、自由に楓と遊べると思うと心が高鳴った。


「姉ちゃん!!!こっちだよ!!!」


「待ってよー、楓」


御子柴家の敷地内にある花畑で遊んでいた事が、すぐにお婆様にバレてしまったのだ。


あたし達が部屋を出て行く所を使用人の一人に見られており、お婆様に連絡が行ってしまったらしい。 


護衛の人を数人連れたお婆様は、冷たく楓を見下ろしながら手を上げた。


パシーンッ!!!


振り下ろされた手は楓の右頬に振り落とされる。


「楓!!!」


楓の叩かれた頬がパンパンに腫れ上がり、唇あ切れ血が滲んでいた。 


地面に倒れ込んだ楓に近寄ろうとした時、後ろから手を引かれ引き剥がされる。


振り返るとお婆様の護衛の一人が、あたしの手を掴んでいた。


そのまま強く腕を掴まれたまま、屋敷の方に向かって歩き出す。


あたしよりも大きい男の人の力に逆らえなかった。


いつもの牢獄に乱暴に放り入れられ、強く扉を閉められる。


ガチャンッ!!!

  

施錠された音がやけに耳に響き渡り、あたしは声を上げて泣いた。


頭から楓が叩かれるシーンが離れなくて、楓を傷付けてしまった罪悪感に狩られた。 


出した罰として楓は、一週間水業の罰が与えられた。


あたしは楓を庇ったけど、聞き入れてくれなかった。


両親でさえも、弟を庇おうとしなかった。



御子柴家党首の御子柴陽毬(みこしば ひまり)父型の祖母には、誰も逆らえ無かった。


陰陽師としも活躍していた祖母は、御子柴家の子供達を陰陽師として育てている。


当然、厳しい教育をあたし達にして来た。


才能が無いと見出された子供は親共々、御子柴家から追放されていた。



そんな祖母に誰も逆らおうとしなかった。


いや、逆らう気すらなかったのだろう。


御子柴家を支配していたのは、祖母の言う事は絶対だった。


楓が罰を受けてから、両親はあたしの部屋に顔を見せに来なかった。


もう、楓はあたしの事を嫌いになったんだ。


あたしの所為で、お婆様から罰を受けたのだから。



逆らえば御子柴家を追い出され、遠くの地に飛ばされる。


お婆様は冷血で、残虐な人で怖い人だった。


小さい頃から、お婆様はとても恐ろしい存在。


顔を見せに来るのは、弟の御子柴楓(みこしばかえで)と…。


あと1人…。


コンコンッ。


「お嬢、起きてますか?」


布団に入って眠っていたあたしは、ドアのノック音で目が覚めた。


「起きてるよ」


「良かった、開けますよ」


あたしの返事を聞いた声の主は、丁寧に何重にも掛けられている南京錠の鍵を施錠して行く。 


ガチャ、ガチャ、ガチャ。


ガラガラ。


声の主が何重にも巻かれた鍵を開け、重たい扉を開け、現れたのは十四歳くらいの男の子。


サラサラの茶髪の髪に白い肌、綺麗な紫色の瞳がビー玉みたいに綺麗で、優しい笑みを浮かべてくれる。


その男の子は、あたしの中で特別な存在だ。


(れん)!!どうしたの?お仕事だったんじゃないの?」


「今、帰りました。お嬢にお土産です」


そう言って、蓮は綺麗な枝付きの桜の花を渡してした。


桜って確か…、折ったら駄目だったよね?


「折ったら、駄目なんだよ?」


「拾い物だから、大丈夫ですよ」


そう言って、蓮はあたしに優しい笑顔を見せてくれた。


もう一人とは、この本城蓮(ほんじょうれん)だ。


代々御子柴家の護衛をしている本城一族の、本家の次男坊で蓮と契りを交わしたのは、今から二年前の事だ。


本城家は、御子柴家の手となり足となり、主従関係を結ぶのが式たりであった。


人を信用しなかったあたしは、蓮の事を拒否していた。


信じると言う事が、どんなものなのか、分からなかった。


分からない感情を持つのが怖かった。


だけど、蓮は何度もあたしに会いに来てくれた。


信用を築こうとしてくれた事が、何より嬉しかった。


何ヶ月後かに正式にあたしの誕生日の日に、蓮と契りを交わしたのだった。


弟以外に心を開いた相手であり、特別な人。


「今日は、どんなお話聞かせてくれるの?」


「そうですね…、今日は…」


蓮はこうやって本城家を抜け出して、あたしに会いに来てくれる。

 

夜遅く、蓮と他愛の無い話をするのが嬉しかった。


あたしは、蓮が会いに来てくれる事が嬉しかった。


そんな蓮の事が好きで、仕方がなかったのだ。


「そうなんだぁ!!いいなぁ…、あたしも普通の生活したいな…」


「お嬢、僕はお嬢をここから連れ出したいよ」


ギュッ。


そう言って、優しく手を握って悲しい顔をする。


「蓮…」


「お嬢に、こんな場所は似合わないよ」


「ありがとう蓮。だけど、お婆様には逆らえないよ。蓮が酷い事されちゃうよ」


あたしは蓮を失いたくなかった。


だから、あたしがここにいれば蓮に会える。


「お嬢…。」


「いつか、あたしを連れ出してね?」


「約束します、必ず…。」


蓮と指切りをし、お互いの目を見て微笑み合う。


綺麗な紫色の瞳の中に吸い込まれそうになる、この瞬間が好き。

 

「ねぇ、蓮」


「はい、どうしました?」


蓮の優しい瞳が、あたしを捉える。


「あたしの事…、好き?」


「僕はいつも、お嬢の事を思ってる。ずっと、側にいます。安心して下さい」


「蓮…、ありがとう」


あたしはたまに、蓮に気持ちを確かめてしまう。


不安に駆られてしまう時があるから。


そんな時は必ず、蓮はあたしに会いに来てくれる。


蓮の言葉だけで、頑張れる。


お婆様に逆らったら、蓮が酷い目に合う。


楓の時に思い知らされた。


あたしが我慢すれば良い…。


もう、大切な人が酷い事をされるのは嫌だ。


もっと嫌なのは、黙って見ている事しか出来ない事だ。


蓮が帰った後、扉がノックされた。


コンコンコンッ。


この時間に尋ねてくる人物達は、御子柴家の使用人達だ。


「聖様、出陣のご用意を」


その言葉を聞き、さっきまでの夢の時間が終わりを告げる。


あたしは寝衣の服を脱ぎ、巫女服を身につけお札と部屋に置いてあった武器を手に取った。


カチャッ。


武器を持つとスッと、感情が無くなる。


自分で自分の心を殺してるみたいだ。


「準備は出来ている」


そう言うと、重たい扉がすぐに開かれた。


ガラッ。


何人かの使用人が、あたしに跪き顔を上げない。


そんな使用人達に冷たい眼差しを向けながら、口を開く。 


「歩きながらで良いから、手短に説明してくれる」


「かしこまりました。今回、出現した弍級クラスの妖が三体程、神社の神主と巫女達を無差別に食い散らかしています」


「分かった」  


スタスタスタスタ。


長い廊下を歩き切った先の玄関は既に開かれており、門前に停められた車に乗り込む。


あたしを乗せた車は静かに動き出し、妖怪が出没した神社に向かう。


車内は重い空気が流れ、誰一人とも話したりしない。


その代わり、あたしに注がれる不気味な視線だけを感じていた。


いつもそう、妖を退治しているだけなのに。


何故、あたしの事を化け物みたいに思うのだろうか。


化け物のあたしの力が必要なのに、それはないだろう。


***


初めて妖怪を退治したのは、四歳の頃だった。


お婆様があたしや子供達を連れ、妖怪達が住むと言われた森に放り込まれた。


子供達は妖怪を見て泣き出し、とても戦える状況ではなく、妖怪達は笑い出したのだ。


「ギャハハ!!ガキがこんなにいるぜぇ!?」


「早速、あのガキから殺して食ってやる!!」


鬼の妖怪があたしを見つめながら、走って来るのが視界に入る。


汚い涎を出しながら、撫で回すような嫌な視線を向けて走って来た。


「い、いやああああああ!!!」


「く、くるなあああああ!!!ギャアアアアア!!!」


泣き叫ぶ子供達に妖怪共は容赦無く襲い掛かり、首筋に思いっきり齧り付く。


「ギャアアアアアアアアア!!!」 


ブシャアアアアアア!!!   

  

悲鳴声と同時に赤黒い血が噴き出し、妖怪達は子供達を貪り食う。


この異様な光景にいたら、あたしの頭がおかしくなりそうだ。

 

嫌だ、嫌だ、嫌だ。

 


死にたくない、死にたいない!!!


生きたいと言う気持ちだけで、体は恐怖から放たれ、持っていた刀を抜き、鬼の妖怪の手を斬り落とす。


シュンッ!!


ブシャァア!!


「ギャアアアア!!!痛い、痛い!!このクソガキ!!」


「うわあぁぁぁぁ!!!」


あたしは叫びながら、一心不乱に刀を振い続け、返り血を浴び続け、妖怪達を斬り付ける。


死にたくない、ただそれだけを考えて刀を振り下ろす。


他の子供達を助ける余裕など、ある筈がない。


「はぁ、はぁ、はぁ…」


「良くやったぞ、聖。お前は逸材だ」


あたしの足元に転がっている妖怪達の死体を見て、迎えに来たお婆様は笑っていた。


返り血を拭いてくれる訳でも、心配してくれる訳でもない。


お婆様はあたしを、道具としてしか見てない。


子供達が怪我をしていても、命を落としていても、慰めの言葉すら出さないのだ。


その日以来、あたしは死の恐怖に怯えながら、任務に駆り出された。


妖怪達を殺さなければ、あたしが殺されちゃうんだから仕方がないよね。

 

だからなのか、人よりも血や刀を振るう事に慣れるのに時間は掛からなかった。


*** 


昔の事を思い出していると、目的地に到着していた。


パタンッ。


運転手が後部座席のドアを開けたので、車から降り神社の敷地内に足を踏み入れる。 


カツカツカツ。


敷地内入ると、人間を無差別に襲い喰われたのか、いくつかの死体が転がっていたのだ。


血生臭い匂いが鼻を通り、足に食いちぎられた女性の腕を踏んでしまっていた事に気付いた。


神社の参拝道は真っ赤な血の色に染まり、倒れている人は頭を無理矢理引き抜かれた者、目玉を抉り取られた者に、体の中身が出てしまっている者もいた。


「お、おええええええ…っ!!!」 

 

無差別に食い散らされている死体達を見た使用人達は、異臭に耐え切れずに少し離れた場所で吐いている。


「汚い食べ方をする妖怪だな、今回の奴らは」


「おいおい!!子供が居るぜ?」


妖気を感じ視線を向けると、蛙の頭をした妖怪が舌を出しながら立っていた。


「子供の血肉は美味いんだよぁ」


「俺が先に行くぜ!!」


涎を垂らしながら、蛙頭の妖怪が向かって来るより先に懐から札を取り出す。


あたしは空中に自分の札を浮かせ、戦闘体制に入る。


バラッ!!


シュシュシュシュッ!!! 


指を素早く動かし、両手の指で三角の形を作り出すと、札から沢山の刃が現れ、向かって来た妖怪の体を串刺しにした。


シュシュシュシュッ!!


グサッ!!


グサッ、グサッ、グサッ、グサッ!!!


「ギャァァァァォァ!!!」


ブシャァア!!!


蛙頭の妖怪が呻き声を上げ、体から紫色の血が飛び散る中、地面に倒れ込む。


ダンッ!!!


地面を這いずり回る蛙頭の背中を強く踏み付け、腰に下げていた刀を抜き、頭に躊躇なく突き刺した。


グサッ!!!  

 

「おいおい…、このガキ…」


「普通のガキじゃねぇ!?」


妖怪達は不安げな表情を浮かべ、ヒソヒソと話し出すこの光景も何度も見て来てたから、うんざりする。


「一緒の所に送ってあげるよ。式神破軍(しきがみはぐん)


白い狼と黒い狼を召喚する為、札を取り出す。


取り出した札から白い煙が立ち込め、二匹の白色と黒色の大きな体の狼が現れる。


ボンッ、ボンッ、ボンッ!!!


「「主人よ御命令を」」


「シロ、クロ。あの、二体を喰らえ」


「「御意」」


そう言って、素早く動いたシロとクロ、は残り二体の妖怪達の首元に鋭い牙を食い込ませる。


ガブッ!!!!


ブシャアアアアアア!!! 


「グァァァァァァァ!!!」


「ギャァァァァァ!!!」


妖怪達は血を出しながら、地面に倒れ込むがシロとクロは噛み続ける。


この子達は、あたし専用の式神で忠実に命令を聞いてくれる良い狼達だ。 


あたしは札を一枚取り出し、星の円を指で空中に向かって素早く描いた。


星の円から、無数の光の玉が現れ、串刺しにされている妖怪の体を光の玉が貫く。


シュシュシュシュッ!!!


「「ギャァァァァ!!」」


パラパラパラパラ…。


光の玉が当たった部分が灰になり、体の一部が剥がれ落ちて行く。


妖怪退治専用に作られた 札から降り出される光の玉達は妖怪達には効果覿面(こうかてきめん)だ。


妖怪達は何が起きたのか分からないようで、困惑した表情を浮かべていた。


さっきまで楽しそうに人間を食べていたのに、被害者面をして懇願の眼差しを向けて来る。 


「な、なんだよ…。強すぎだろ…!?」


妖怪達は血だらけのあたしの姿を見て、絶句し言葉を失う。


クチャクチャッ、クチャクチャッ。


シロとクロは、妖怪の体を喰らい尽くて行く中。妖怪がシロとクロに抵抗して攻撃をしても、微動だにしない。


あたしの式神は強い。


何故なら、お婆様があたしの為に作ってくれたから。


「この狼、全然離れねぇ!!」


「アンタ達より、この子達の方が強いし、良い子だよ」


ベチッ!!!  


そう言ながら近付き、妖怪達の額に札を貼り付け、口に人差し指を付け唱え始める。


急急如律令キュウキュウニョリツリョウ


「「ギャアアアアアアアアア!!!」」 

 

ブジャァァァァ!!!


妖怪達の頭が弾け飛び血が噴き出し、肉片や眼球が空中で飛び散る。


ビチャッ、ビチャッ!!


飛んで来た返り血が、あたしの服と頬に付着し、身体中が真っ赤に染まって行くのが分かった。


ベチャ…ッと嫌な感触がし、不快感が一気に増す。


いつになっても、妖怪達の血の匂いには慣れないし気持ちの良いものじゃない。


「流石で御座います、ひ。聖様」


使用人達が嗚咽しながら、あたしに駆け寄り返り血を拭き始める。


いつまで経っても慣れない使用人達に腹が立つ。


吐きたいのはこっちなんだけど、吐きそうにしないでほしいものだ。


体を拭かれただけじゃ、血生臭さは体から消えない。


「お風呂に入りたい」


「分かりました、すぐにご用意致します。車にお乗り下さい聖様」


妖怪退治が終われば、あたしはすぐに現場を離れなければならない。


何故かは知らない、お婆様が言っていたからとしか言えないのだ。       


颯爽と車に乗せられ、本家の中にある浄めの風呂場に足早に向かわされる。


妖気が含んだ血を浴びた者は、すぐに特製の薬草で作られた湯に浸かり、邪気を払わなければならない。


血のついた服は焼却炉の掘り込まれ、数人の女性の使用人達に頭から全身に掛けて隅々まで洗われる。

   

これも、あたしの日常の一つで慣れた光景でもある。


体を清め終わった後、 すぐにあの隔離部屋に戻され、南京錠を掛けられた。


ガッチャンッ!!!

 

何もない部屋の真ん中で、力尽きたように倒れ込む。


バタッ!!!


「今日は疲れたな…、体が怠い」 


同じ事の繰り返しの生活は、あたしを孤独にさせる。


この生活に嫌気がさす。


フワッと 蓮から貰った桜の枝についた小さな花から良い匂いがした。


桜の甘い香りが漂い、蓮の顔が頭に浮かんだ。


仕事をした後、蓮に会いたくなる。


「蓮に会いたい…」


御子柴家の中で御子柴聖はこう呼ばれている。


"隔離姫かくりひめと…。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ