同じもの
「マギクル、何かわかった?」
「んーとりあえず美風お兄ちゃんが50代のバケモノ使いだということはわかったわ」
私たちは病院で美風お兄ちゃんの話を聞いた後、外に出て次のインタビュー相手の元に向かっているのだった。
「やっぱり、お母さんのお母さんの話を聞いた方が一番説得力があると思うんだよね」
「じゃあその人に会ってみようか」
レーファお姉さんの住んでるところはEES本部、レーファお姉さんがいつも私のところに来てくれるので自分から行くことはなかった。
「レーファお姉さんってどこに住んでるんだろう?」
「……君本当にその人と家族なのかい?」
「うん、私の家系は複雑かつ私も知らないことがいっぱいあるんだよ」
にしてもどうやって、レーファお姉さんを見つけよう…
「その人ってどんな仕事してるんだい?それ次第ではおびき寄せられるかも」
「?どんなってEES職員だけど」
「それってどんな職業?」
「EESは治安維持とか次元統合に取り組んでる組織のことよ」
「治安維持か…なら会うのは簡単だね」
「え?何する気?」
手の平からいきなり、フィアが飛び出し街中に溶け込んで行った。
「まさか!!」
次の瞬間商店街の方面から鉄音が鳴り響く。
「あ〜あ」
私は全てを察し、商店街に行くための曲がり角を曲がり切る。
そこには想定していた光景がそのまま広がっていた。
「あなたどこから来たの?その姿は…クルガー粒子?」
「あなたクルガー粒子を知っているのか?」
しかし、その光景は今の私には理想的だったのかもしれない。
私の目の前に広がっていた光景は、四角形の鉄檻に入ったフィアが悪魔の翼を生やした女性に職質を受けていたのだ。
「レーファお姉さん、質問なら代わりに私が受けるよこの子の言葉は多分私にしか通うじないから」
「あら、マギクルごきげんよう。どうしたの?この子あなたの管轄?」
「ああ、そうね確かに私の管轄よ」
私はいつものようにクルガー粒子を吸収する。
「これで一見落着ね」
「ちょっと待ちなさい…ここで話すのもあれね、失礼するわ」
次の瞬間私は謎の会議室に座らされていた。
対面にはレーファお姉さんがいる。
「相変わらず早いわね、前より早くなってるんじゃない?」
「そうね、それより私に聞きたいことがあるんじゃない?だからわざわざクルガー粒子を暴走させたんでしょう?」
別に狙ったわけじゃないんだけどな…
「えっとね、30年前の話を聞きたいの」
「…それはなぜ?」
「私が人間であるという実感が欲しいのそのための情報収集、お母さんのことを教えて」
レーファお姉さんは机に出されたコーヒーをすすり一拍おいて喋り始めた。
「そんな話を聞きたがるってことはきっとワイデルから聞いたのでしょう…あの子もしっかりと子育てを考えていたのですね…30年前ワイデルの父ラミア・クルガーは完璧な子供を作るためリハーサル品であるワイデルを生み出したわ、そこでワイデルにいろんな試練を与え本番に移行した。だけど…ワイデルはその本番より優れていたわ、圧倒的にね。おそらく私と同じことをあの子は理解できたんでしょ」
「同じことって?」
「形は違えど、誰しも持てる感情よ」
レーファお姉さんは席から立ち上がり、身を翻す。
「待って!最後に!」
「何?」
「レーファお姉さんも使い魔が?」
「……半分なら見せてあげるよ」
レーファお姉さんから再び悪魔の翼が生える。
「これが?なんで半分」
「私の使い魔は特殊で痛い思いしないと出てこないの」
レーファお姉さんの重厚な翼はこちらに手を振るかのようにゆらゆらと揺れていた。




