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55.グレイ家の親子事情


「なるほど。君が『選定の魔眼レンズ』の適合者なのか……」

「たまたまだけどな」


 立ち話もなんなので自宅へ。

 うっすら半透明のアイナパパことランドル、実は肉体がない。意識すれば何かを掴めるとか……映画かよ。


 これまでの事情を説明すると、ランドルは深く頭を下げた。


「しかしすまなかった、操られていたとは言え君達殺めるところだったのだ」

「それはいいや、どうしようもなかったろうし。で、邪竜の魔眼ってなに? 竜眼じゃないの?」

「それを語るにはまず、帝国でのグレイ家についてから話そう」


 いや、正直そこはいいんだけど……おじさんの話って大抵長いし。咳払いして姿勢まで正しちゃったよ。


「グレイ家は元々、帝国……ハーディーを含むあの大陸における巨大国家において魔眼研究を続ける家系なのだよ」

「……それはアイナからなんとなく聞いてたよ」

「うむ。だが娘の考えとグレイ家の総意は異なる。《《あれ》》はあらゆる魔眼を使いこなすことを夢見て、我々は魔眼をコントロールすることを目的としている」

「……一緒じゃね?」


 これだから素人は、と言わんばかりにランドルはなが〜いタメを作る。


「魔眼とは持って生まれた素質であり呪いだ。一生付き合う腐れ縁、そして武器……完全に自在に操る者はそういない。だからコントロールの方法を模索しているのだよ。自分の魔眼を、大量の魔力で抑え込むだけでも精一杯の娘には使いこなすなど手に余る夢だ」

「ん? でもあいつ、魔眼治療もしてるし……この前、石化の魔眼の暴走抑えたぞ」

「……え?」

「バジリスクが暴走してな。それを管理するネル……じゃなかった、バジリィ家? の子供も魔眼が暴走した時に、この魔眼レンズで」

「ぼ、暴走を、止めた? しかもバジリィ家⁉︎」


 驚き方が大袈裟過ぎないか……?

 それに、さっきからアイナへの評価がずいぶん過小評価な気もする。


「いやー大変だったぞ。バジリスクは暴走するわお嬢様の方のネルも暴走するわで」

「ちょちょちょ、ちょっと待って欲しい……選定の魔眼を持ち出しただけでもとんでもないことだが、石化の魔眼を魔眼レンズで抑えたぁっ⁈」

「実はかくかくしかじか……」


 自分の話どころじゃなくなったのか、ランドルは目を丸くするばかり。仕方ないのでアイナと会ってからの出来事を話した。


「魔眼のない人間への擬似的な魔眼付与、治療用としての応用、そして暴走抑制……どれもこれも今までは難しいことだったが、この世界の『コンタクトレンズ』、そして選定の魔眼を擬似付与した君がいれば確かに可能かもしれない……」

「だからやったんだっつうの」


 ちゃんとわかってんのかね、このおじさんは。

 呆れて眺めていると、ランドルは急に噴き出した。


「ふははは、我が娘ながら理論の実践と昇華をするとは!」

「欲望には満ちてるけどな」

「……だから、小生も嫉妬してしまったのだろうな」

「嫉妬?」

「魔力量が少ないこと以外、娘は完璧だ。魅了の魔眼を抑えるために魔力を使えば、使える魔法などたかが知れている。けれど魔眼レンズを完成させたとするなら、アイナの夢は叶うだろう……小生は違う発想をした娘に昔から嫉妬していたのだ……だから」


 ──娘の作った邪竜の魔眼レンズを取ってしまったのだ。


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