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「美味かったです!」
「それは良かったわ。明葉くん、また来てね。」
「はい!」
明葉くんはすっかり店長に気に入られたらしい。
そしてまだ少し時間があるという事でこの町を案内する事にした。
「なあ、明葉。明葉ってどこの中学行ってんだ?花笠?」
「ううん。どこそれ?」
「ここから一番近くにある中学の名前。」
「そうなんだ。でも、俺が言ってるとこは中学って言うか……中学の勉強を教えてくれるとこ。」
「何だそれ?」
「いや、学校って言うのか分からないだけだ。俺の行ってるとこ、普通の学校じゃねえから。」
明葉くんがそう言った時……
「あ、七原!」
「瀬上くん!?」
「天神と成宮も居るじゃん。あれ、後ろに居る奴って、」
瀬上くんの言葉で後ろを見てみると明葉くんが佑と燈葵の後ろに隠れるようにしていた。瀬上くんは佑と燈葵の後ろに回った。
「……明葉?っ何してんだよ!?こんな所で!」
「……優斗、これは偶々で、」
「何?瀬上と明葉って知り合いなのか?」
佑がそう聞くと瀬上くんはバツが悪そうに頬を掻きながら言った。
「急に大声出して悪いな。こいつ、俺の弟なんだよ。」
「「え」」
「やっぱり。似てるなって思ってたの。あ、瀬上くんに昔会った気がしたのは明葉くんと会ってたからかも。」
「……そうかもな。ってそれより明葉!さっさと戻れ!父さんと母さんに言い付けるぞ!」
瀬上くんは明葉くんに向かってそう言った。
「瀬上、幾ら何でも興奮しすぎだ。落ち着け。」
「いや、違えんだよ。こいつは、」
「優斗!帰るぞ!舞花、佑、燈葵、今日はありがとう!」
「ちょ、明葉、待てって!七原またな!」
瀬上くんは明葉くんを追いかけて行った。
***
「昨日は変な所見せて悪かったな。」
「ううん、大丈夫。それより瀬上くん、昨日何か言い掛けてなかった?」
「明葉に口止めされたから俺からは言えない。」
「分かった。明葉くんが話すまで待つよ。」
よく分からないけれどきっと大切な事なのだろう。
明葉くんと今度会えるのはいつだろう。
「あ、そうだ七原。連絡先交換しようぜ。」
「うん!」
メッセージアプリの友だち欄に家族と佑と燈葵以外に初めて追加された子猫のアイコン。
「アイコン、猫ちゃんなんだね。」
「ああ、ルルって言うんだ。可愛いだろ?」
「うん!すっごく!」
「何の話してんだ?」
「佑!」
佑は私の頭に腕を置きながら私のスマホを覗き込みながらそう言った。
「何?連絡先交換したのか?」
「あ、うん!私、お母さんとお父さんと佑達以外と初めて交換したんだよ!」
「そうか、良かったな!」
佑はガシガシと私の頭を撫でた。
「あ、成宮も交換しようぜ。」
「おう!」
「何してるの?」
「お、燈葵。」
佑に続いて燈葵もやって来た。
燈葵は私の頭に乗っていた佑の腕を払い除けた。
「何だよ?」
「何でもないよ。舞花、何してたの?」
「瀬上くんと連絡先交換してたの。」
「ふ〜ん、そうなんだ……」
「天神も交換してくれねえか?」
「別に良いけど。」
「サンキュ。」
そして今日からは通常授業が始まるので予鈴と同時に席に着いた。
「一限目はロングホームルームだ。先ず、この先このクラスを引っ張って行く事になる学級委員を決める。立候補でも推薦でも何でも良い。」
先生の言葉にクラス中がざわざわし始めた。すんなりと挙手をする人も居ないので時間だけが過ぎていく。
「うーん」
「舞花、やってみたいなら手挙げたら良いだろ?」
後ろの席の佑がそう言って来た。幼馴染だけあって何でもお見通し。
「でも、私に学級委員なんて務まらないよ。」
「そんなのやってみないと分からないだろ?」
確かに佑の言う通りだ。
私は意を決して手を挙げた。
「お、七原。やってくれるのか?」
「はい。」
「よし、女子は七原に決定だ。男子に立候補者が出ない場合はくじで決めてもらうからな。誰か学級委員やってくれる人居ないか?」
「「はい!」」
佑と燈葵の2人が同時に挙手をした。
「天神と成宮か。残念ながらどちらかには譲って貰わないとな。」
「舞花にはやっぱり俺がついていないとだからな。」
「はあ?何言ってんの?舞花は僕と一緒が良いよね?」
2人は私の方を向きながらそう言って来た。
今までの私は2人に頼ってばかりだった。自立しようとしてもやっぱり頼ってしまう。
「舞花、俺の方が燈葵より頼り甲斐あるだろ?」
「まあ、それはそうかも。」
「でも舞花は佑より僕によく相談とかしてくれるよね?」
「確かに、言われてみれば……」
「おーい。そこの3人。仲が良いのは結構だが、そろそろ決めてくれ。」
そして公正なじゃんけんにより、佑に決まった。
「はい、学級委員の2人、前に立つ。他の委員も決めてくぞ。」
「はーい」