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初めまして。どちら様ですか?どなたでも構いませんが…。私のことは『七夕』と呼んで下さい。あなたを「旅人さん」と、そう呼びますね。
誰かと顔を合わせるのはいつ振りでしょうか。せっかくですし、お話でもしましょう。そこまで時間は取らせませんので。
ここはどこか、という表情をしてますね。実を言うと、正確な位置などは私も知りません。この場所を知る人達は皆『青蛍の泉』と呼んでいますよ。
由来は見ての通り、水が青色に淡く発光しているからでしょう。……確かに泉っぽくないですよね。泉と言うより浸水してるように見えるので、「水溜まり」と表現するのが正しいかもしれませんね。まあ、これ以上の意見や文句は名付けた人に言って下さい(笑)。
君は誰か、という表情をしてますね。先程自己紹介をしたはずですが…。強いて言うなら私は、青蛍の泉の住人ですね。それ以上でもそれ以下でもありません。
ええ、それはもう退屈ですよ、何度も外に出たいと願いました。でもほら、滴る水音に耳を澄ませれば、自然と心が落ち着くのです。ですから大丈夫ですよ。
――はい。あの鏡を潜ればすぐですよ。え?嘘だ、非現実すぎる。そんなことできない、と?何を仰いますか。私と言葉を交わすこの状況だって非現実的なのですから、可能ですよ。
旅人さんは紅茶と緑茶、どちらが好みですか?いえね、帰ってくる時も必ずここを通るでしょう。お土産話のお供にどうかな、なんて。因みに私は紅茶派です。
ああ、もう往かれるのですね。行ってらっしゃい。――お気をつけて。