06 合流
このお似合いのおふたりは、マリオネさんとアニーニさん、
「チームニケル」所属の冒険者にして、
仲間内でも貴重な、純朴フレッシュカップル。
つまりは、初々しさ全開なので、見ていると、その、
フォリス困っちゃうっ、てな感じに。
まあ、それはさておき。
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フラットさんから、おふたりがこちらに向かったと。
「はい、今日は領主さまからのご依頼で、カブトムシ探しですっ」
ほう、貴族さまたちもやっぱり、大きさ比べのマウント合戦。
「いいえ、領主さまのご友人で、エルサニアの貴族さま、お名前が……」
「マーモセット伯爵様、でしょ」
「そうそう、その伯爵さまのご長男のお祝いごとで、どうしてもおっきなカブトムシが必要なのですって」
「そういえばフォリスさんもエルサニアですけど、あっちの貴族さまって、どうして結婚するのにカブトムシが必要なんですかっ?」
えーと、ごめんなさい、マリオネさん。
勉強不足で説明不能なのです。
「ちょっと、フォリスちゃん」(小声)
「そこのかわいこちゃん、紹介してっ」(小声)
あー、そういえば紹介、まだでしたね。(小声)
はい、この見た目だけは普通のお爺ちゃんは、
リスト爺ちゃんっていう、いろいろと困ったお爺ちゃんです。
怒らせると国を丸ごとブッ壊したりしちゃうので、仲良くしてあげてくださいね。
「こんにちは、リストお爺ちゃんっ」
「『チームニケル』のレンジャー、マリオネですっ」
「よろしくお願いしますねっ」
いいですって、マリオネさん、ハグなんてしなくても。
ほらぁ、リスト爺ちゃん、めっちゃ御満悦ですわ。
「えーと、アニーニです、よろしくお願いします……」
おっと、もしかしてアニーニさんは、爺ちゃんからプレッシャー感じちゃう派なのかな。
まあ、感じない派っぽいマリオネさんとでバランス取れてるのは、さすがお似合いカップル。
「フォリスさんたちもカブトムシ探しみたいですし、良かったらご一緒してもよろしいですかっ」
「もちのろんじゃよ、のうフォリスちゃん」
はいはい、おふたりに迷惑かけないようにね、お爺ちゃん。
ってな感じで、合同探索パーティー結成。
何となく、この先どうなるか分かっちゃうのは、森の狩人 兼 家長としての経験からですかね……