05 狩り場
白状させましたよ、ようやく。
なんてことはない、見栄っ張り精霊たちの虫自慢バトルですよ、まったく。
「だって、悔しかったんだもん、わし……」
えーと、精霊さんたちの間で、珍しい生き物を自慢するっていうマウント合戦がブームになって、
昔からリスト爺ちゃんのライバルだった精霊さんが、
やたらとデカいリグラルトレイピアカブトムシを自慢してきた、と。
「だって、大きさ1mって、ズルいじゃろ、あんなの」
確かにパンフレット情報では、充分に成長した個体はそこまで育つって。
「いや、体長1mじゃよ」
……えーと、なになに、
パンフレットによれば、
体長とは、ツノやしっぽを除いた大きさ、
全長とは、身体全体の大きさ。
リグラルトレイピアカブトムシは、ツノが全長の半分を占める、と。
だから、体長が1mだと、全長は……
2mかよっ。
デカッ!
「あんなの反則もいいとこじゃろ……」
……ねえ、爺ちゃん。
「?」
どうしても、そのライバルの精霊さんに勝ちたいの?
「……アイツにだけは負けたくないの、わし」
……
「フェルマーシュちゃんに誓うよ」
奥さん?
「うん、だから、ライバル」
……分かった。
協力するね。
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街道沿いの看板を発見、見えてきましたよ、
あれが"騎兵下ろしの森"
うほっ、良い狩り場。
めっちゃ狩りしたくなっちゃうような……
「頼むよぅ、フォリスちゃん」
うっす、任せて。
なんて言ってるけど、虫捕りなんて何年振りだろ、僕。
ってか、マジ人多過ぎ。
しかも、みんな目の色変えて探索してるし。
なんぞ、これ。
「あの人たちみんな、高額の大物目当て、ですって」
「こんにちは、フォリスさん」
「おじいちゃんも、こんにちは」
「……こんにちは、です」
「おふたりもカブトムシですか」
こんにちは、マリオネさん、アニーニさん。