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02 騒々


 元々は、ここ魔灸の森で、ひとり暮らしの孤独な狩人をしていた、僕。


 ふとしたきっかけから、素敵な妻とのふたり暮らしに。


 そして、あれよあれよという間に、素晴らしい友人たちとの華やか賑やかな毎日に。



 正直、少々騒がし過ぎでもあるのですが、


 得難い体験てんこ盛りな非日常ちっく日常は、その全てがかけがえのない僕の人生そのもの。


 そして今日も、騒がしさ満点の非日常代表選手が、我が家へ遊びに来ましたよ。




「おはよー、皆の衆」



「おはようございます、リスト爺様」


「おはようございますっ、おじいちゃんっ」


 おはよう、リスト爺ちゃん。



 今日も朝から颯爽と、じゃない、ひょうひょうと現れたのは、


"精霊王"とか"創造神"とか大層な呼ばれ方をされているとはどう見ても思えない、


 ひと言で言うと、お茶目でノリが良過ぎる若づくりお爺ちゃん。




「フォリスちゃん、狩りに行こっ」


 もしもし、お爺ちゃん、


 わんこのお散歩でご近所に行くんじゃないんだから、


 しっかりとした事前情報、よろしく。



「楽しい人生には、サプライズも必要じゃよ」


 そういうのはいいです、僕。


『堅実・誠実・真実』


 この3つの"実"が、実のある豊かな人生への道しるべなのです。



「上手いこと言うんじゃな、フォリスちゃん」

「今度、精霊定例議会で披露して、自慢しても良いかな?」


 いいとも?


 って、いかん、惑わされるな、僕。


 だからっ、狩りについての情報、お願いしますよ。



「なんか今日のフォリスちゃん、いつにも増してノリが悪いんじゃが」

「なんかあったのかのう、ディーケちゃん」



「遠征出来そうな良い狩り場を自分で探せなかったので、少々拗ねてるだけかと」


 ちょっと、シュレディーケさんっ、


 真実を誠実にネタバラシするの禁止っ。



「我が家のご主人様は、まだまだお子ちゃまなんですねっ」


 ちょっと、ルルナさんっ、


 心をエグる事実での追い打ち禁止っ。



「何だか今日も、この家は妙に暑いのう」

「いやいや、お熱いのう」


 ちょっと、リスト爺ちゃんっ、


 そういうのはいいですから、


 はよ狩り場の情報プリーズッ。



 ほら、やっぱり騒がしくなっちゃったよ……



 ---



 リスト爺ちゃんのウキウキ狩り場情報、


 場所はリグラルト王国、"騎兵下ろしの森"


 王国の南西部にあるヴェルクリの街を北上すること徒歩数時間、


 それなりに広大なその森は、なぜか最近ちまたで話題の狩りスポット。



 って、隠された穴場じゃないのかよっ。



「そんなことひと言も言っとらんよ、わし」


 えーと……そうでした。


 確かに言ってませんでしたね、ごめんなさい。



 って、そんなところに何しに行くんですかっ。



「だから、狩りじゃよ」

「『リグラルトレイピアカブトムシ』」

「フォリスちゃん、知らない?」


 知らんがな、僕、虫ハンターじゃないし。


 ってか、虫捕りして喜ぶ子どもでもないし。



「遅れてるのう、フォリスちゃん」

「今、時代の風は『リグラルトレイピアカブトムシ』に吹いとるんじゃよ」


 いらんわ、そんなカブトムシ臭そうな風。


 ってかどうしちゃったんですか、リスト爺ちゃん、


 もしかしてボケちゃった?



「酷いのう、フォリスちゃんがイジメるんじゃよ」

「慰めとくれ、ルルナちゃん……」



「ひどいですっ、フォリスさんっ」

「ご年配の方々には、例えネタでもそういう事を言ってはいけませんよっ」



 はい、本当にごめんなさい、失言でした……



 ---



 ルルナさんに抱きかかえられてヨシヨシされているリスト爺ちゃんに、


 ちょっとイラッとしながらも、平謝り。


 さっきのは確かに僕が悪かったし……



「さっきから全然話しが進まんのだが」



 冷静なご指摘、ありがとうございます、シュレディーケさん。



「というわけで、カブトムシ狩りに出陣じゃっ」


 もう好きにしてください……



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