14 めでたし
爺ちゃんとヌシさんの話し合いは、良い感じにまとまった模様。
爺ちゃんが、今ある結界に重ねがけして、これまでよりも強力な大規模結界を構築。
結界内に縛りつけるためのモノでは無く、
カブトムシさんたちは出入りが自由なので、結界の外に出たかったら今まで通りご自由に。
ただし、ヌシさんの能力・実力的に、この国との交渉ごとはまだ時期尚早とのことで、
つまりは、結界外は依然としてカブトムシさんたちには危険。
要するにこれからも、自由に暮らして良いってこと。
これまでよりも強力な結界内でのんびりするも良し、
結界の外に自己責任で冒険しに行くも良し。
カブトムシ王国はこれまでよりもはるかに強力な結界に守られるようになったので、
あのいっぱいいた虫捕り探索者たちどころか、
例え国軍が攻めて来ても大丈夫じゃぞいっていう、"精霊王"さまのお墨付き。
この件のお礼として、ヌシさんが一時的に爺ちゃんに同行。
例の精霊ライバルにひと泡吹かせたら、ヌシさんは速やかに撤収し森へと帰還。
ふむ、ヌシさんにとっては、精霊界と繋がりを持てたという威信を示す今回限りの凱旋旅行、かな。
いいなあ精霊界、僕もちょっと行ってみたいかも。
「そのうち招待するんで、気長に待っとって」
えーと、長命種の気長って、どんだけ……
うん、まずはめでたしめでたしってことで。
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マリオネさんとアニーニさんが、ようやくテントから出てきて、
って、着替えたんですね、おふたりとも。
それに、何だかちょっともじもじと、妙に恥ずかしげな様子……
……おっと、もしかしておふたりも、めでたしめでたしってことですか。
うん、分かってますとも、おふたりさん。
僕だってこう見えて人生の先輩、
何があったのかくらいは、ね。
これが噂の"吊り橋効果"ってヤツでしょうか。
どっかのまぬけな狩人が、
ドジこいてやらかしちゃって大惨事。
何とか事態は収拾したけれど、
ふと気が付けば、テントの中にふたりきり。
ドキドキは収まるどころかエスカレートする一方。
で、なるようになっちゃった、と。
うん、若いって、良いよね。
僕も同い歳だけど。




