12 覚悟
マリオネさんの具合を診たアニーニさん、
ほっとした表情。
モノ凄い勢いでテントを用意して、
気絶しちゃったマリオネさんを、
お姫さま抱っこで中へと。
「やるのう、アニーニちゃん」
うん、ちょっと頼りない感じだけど、
見ての通り、いざという時の手際の良さは驚くほどだったよね。
回復魔法使いとしても爺ちゃんの太鼓判をもらえたほどだし、
僕なんかよりもずっと凄い冒険者だ。
「適材適所ってことじゃ」
「フォリスちゃんにも、ちゃんと凄いとこ、あるじゃろ」
そうかな、最近の僕って、何だか全然良いとこ無しって感じなんだけど。
「ごめんのう、フォリスちゃん」
「狩人を虫捕りなんかに誘っちゃったわしのせいじゃよ」
「『転移』も『飛行』も間に合わんかったし」
「わし、情けない……」
……爺ちゃんのせいじゃないよ。
僕は狩人してる時は、何が起きても自己責任って覚悟決めてる。
相手の命を奪う仕事だから、自分の命を落とす覚悟も。
だから、前準備でも狩り場でも、やれるだけのことをやる。
もちろん、自分の命を大事にしたいから、だよ。
それでも、さっきみたいにやらかすこともある。
僕にできることは、やらかしを減らすことだけど、ゼロにはできない。
このことはシュレディーケさんとも話し合ったんだけど、
リスト爺ちゃんにも、ちゃんと伝えておくね。
狩人も冒険者も、全力で挑んだのなら、何があっても全て受け入れよう、って。
あー、でも、カブトムシ捕りの最中に樹から落っこちて死ぬだなんて、
シュレディーケさん、悲しむよりも怒るよね……
おっと、そういえば、カブトムシ!
さっき樹に登った時、マリオネさんが指摘した辺りに、
見えないのに確かに何かいたんだけどっ。
「アレじゃよ」
アレ?




