クマのぬいぐるみ①
番外編
僕はクマのぬいぐるみ
いつもみんな僕を撫でるだけ
新入りの方が早くいなくなる事にも慣れた
なんで僕だけ選ばれないんだろう
いつも辛かった
「ママー、これ買って?」
「あらあら可愛いわね」
「でしょ?買って〜買って〜」
「こっちの小さなのなら買ってあげる」
「お誕生日プレゼントね」
「わーい!ママーありがとう」
こんなのはいつもの事だけど
ついに僕は棚の一番上の誰も触れない場所に置かれた
みんなどこかに貰われてくのに僕はいつまで経っても貰われないから、邪魔になったんだ…
それからもう何ヶ月も経つ
お掃除だけはしてくれるから埃まみれにはならなかったけど、僕は誰にも選ばれない
不要なんだ…
僕はいつもふて寝してた
昔みたいになでれられる事も無くなったし、やる事も無いから…
「うわぁ可愛い」
誰かに抱きしめられて起きた
久しぶりの感覚だ
僕は寝てて気付かなかったけど、どうやらハシゴで降ろされたらしい
久しぶりの下だ
可愛らしいお姉さんが僕を抱きしめてた
「やっぱりここまで大きいと結構な値段するのね」
お姉さんは僕に付いてる紙のタグを見て言った
僕はいつも可愛い可愛いって言ってくれる子どもたちより大きいし、このお姉さんよりは小さいけど、きっとまた貰われないんだろうなと思ってた
いつも小さなコが選ばれる
でも抱きしめられるだけでも嬉しかったし、あの棚の誰にも気にかけて貰えない日々はつらかったから本当に嬉しかった
お姉さんは僕を抱きしめたまま歩き出し、僕は白い長い机の上に置かれた
「あれ?ここは…」
僕は袋に入れられる
僕は少し窮屈だったけど、とっても嬉しかった
ここは、みんなが引き取られる時に通る道だ
僕は大きいから袋からも少しはみ出してたけど、お姉さんは気にしないみたいで嬉しそうに笑ってた