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ソラとモモ

一これは、ソラとモモの出会いの話。

まだ、トラにもシロにも出会ってない頃の話です。


僕のママは僕が産まれて3ヶ月後に病気になった。

僕のママのご主人様の人間っていう動物は毎日ママを看病してた。

ママはいつもしんどそうだったけど、その時は少し無理して笑って、哀しくも嬉しくもある笑顔を浮かべてた。ママはママのご主人様がとっても大切みたいだ。


ママは僕に言った。

ママ「ママはもうすぐ居なくなるけど、ママのご主人様があなたを守ってくれるから、安心してね。」

僕の兄弟は産まれた時からどこかの人間のお家に貰われる事が決まっていた。

僕はこの家にいる事になっていた。

ソラ「ママはどうして居なくなるの?お兄ちゃん達みたいにどこかに貰われるの?」

ママ「…」

ママは悲しそうな顔をして言った。

ママ「ママは病気でもうすぐ死ぬのよ」

僕は死ぬって意味がよく分からなかった。でも、居なくなるって意味は知ってて、つまりママとは、もうすぐ一緒にいられなくなるって事は分かった。

僕には兄弟が4匹いて、うち2匹は知らない人間の家に貰われていったんだ。

ママはお兄ちゃん達が貰われるたびに悲しそうな顔をしていたし、貰われて行ったら、もう会えないって言っていた。

だから、ママも、どこかに行っちゃうのかな?と思っていた。

ママは会えなくなるからと、よく抱き締めて舐めてくれたし、「大好きよ」とよく言ってくれた。

僕はそれがくすぐったくて嬉しかった。

この家にはまだ弟が1匹残ってるけど、弟はパパの家に行くらしく、ママがいなくなると、僕がこの家に1匹になっちゃう事をママは心配していた。


弟が貰われて行って少し経ったある日の事、僕のママのご主人様のお友達が子猫を連れてきた。

人間「こんにちわ、ソラちゃん。

   うちの家の猫のモモよ」

僕は普通に遊ぼうとしたんだけど、モモちゃんは人間の後ろに隠れて、出て来ない。

この人間は近所に住んでる友達だって、ママのご主人様が言っていた。

猫を飼ってるから、ソラにお友達出来るかな?って言っていたけど、友達になれそうにもないなと思った。


僕は離れた所に座って歌を歌った。僕は普段からよく歌を歌っていた。

3曲目を歌い出した頃にモモちゃんが耳を立てて寄ってきた。

モモ「その歌好き!」

僕は驚いたけど、うれしくなった。

モモちゃんは僕の事を嫌いじゃなくて、どう接したらいいのかよく分からなかったらしい。

僕は同い年の友達が出来て嬉しかった。


モモ「ソラは歌が好きなんだね」

そう言われて僕は言った。

ソラ「ママは病気でいつもしんどそうなんだけど、僕が「大丈夫?」って聞くと、しんどいのを無理して「ママと一緒に何かして遊ぼうか?」って聞くから、僕はママが無理しない様に、人間の見ているTVを一緒に見たりして過ごしてるんだ。暇だったからTVから音楽が流れると同じ様に歌った。そしたら寝転んでるママが「歌うまいね」って言ってくれたから、僕は歌が大好きなんだ」

モモ「そっかあ。ママ早くよくなるといいね!」

ソラ「うん!」


それから僕達2匹はたくさん遊んだ。

仲良くなったのを見たママのご主人様が、お友達が出来てよかったねって言って、3軒先のお家に住んでるから、たまに遊びに行くといいよって言ってくれた。


僕は兄弟が皆居なくなっちゃったので、嬉しかった。


一ある日、僕は早起きをした。

ソラ「ママ、今日もモモちゃんちに行ってもいい?」

僕はママに聞く。

ママ「いいわよ」

僕はママのそばに行って頬をすりよせた。

ママは最近、寝たきりの事が多くなった。すごくつらそうなんだ。

ママ「…ソラ、早く帰ってきてね」

ソラ「うん!」


僕は走ってモモの家に行った。

僕とモモは最近、ママの病気が良くなる魔法の薬をひそかに探してる。


僕とモモが仲良くなった頃、知らない人間が道で話ているのを聞いた。この山の一番上に咲く白い花が咲く草を乾燥させて飲むと病気が治るって。


毎日探してるんだけど、まだ見付からない。いつも登ってる途中で暗くなっちゃうから、今日こそは見付けようと2匹で早起きをしたんだ。

モモ「今日はこっちの道だね!」

ソラ「うん」

木を爪で引っ掻いて目印を付けているので、どこを探したかは分かる様にしていた。

山道には、針を持った虫の大群や、見た事ない鳥、舌を出すにょろにょろした細長い生き物とかいて、正直怖い時もあった。

木が山道をトンネルみたいにしてて、太陽の光が葉っぱの間からさすから、キラキラしてキレイでもあった。


モモ「あ、あそこ!日がさしてるよ!」

道の先に木のトンネルが終わりを迎える場所があった。

ソラ「山頂かな?」


僕らはそれを見て走って駆け登った。

山頂に着くと、一面白い花畑!

モモ「うわぁ!!」

モモはあまりにキレイな花畑に感動をして、声をあげた。

ソラ「…」

僕は思った。

これで、ママの病気が良くなる!!

僕はすごく嬉しくなった。

僕らは花を沢山摘んだ。

途中で蝶にじゃれたりした。

モモ「ソラ、良かったね!!」

ソラ「うん!」


僕とモモは摘んだお花を口にくわえて、急いで山をおりたんだ。

でも、山は大きいから、降りた頃には真っ暗になってた。


僕はモモの家の前でモモのくわえてる草を受け取り、モモにありがとうって言って家に走って帰った。

ソラ「ママ、ただいま!!」

僕は猫用の玄関から入って、急いでママの寝てる部屋へ行った。


ママのご主人様がママのそばで泣いていた。

どうしたんだろう?と思って近付いた。

ママのご主人様に擦り寄ると、僕に気付いたママのご主人様は声を荒げて言った。

ママのご主人様「…ソラ!!どこに、行っていたの?」

ソラ「ママのご主人様、ママの病気が良くなるお薬持ってきたよ!!」

僕は人間に猫の言葉は伝わらないのわかってたけど、必死に伝えようとした。

そしたら、ママのご主人様が僕を抱きかかえて言ったんだ。


ママのご主人様「ソラのママ、亡くなったのよ」


僕は意味が分からなかった。

なくなるって何?

ママはいつものそこに寝ていた。

僕はママのご主人様の手を払い除けて、ママのそばに駆け寄った。

ソラ「ママ、お薬持ってきたよ!」

僕はママにお薬の花を差し出す。

でも、ママの返事はなかった。ママは寝てるみたいだ。

ママが、寝てるみたいだったから、僕は甘えたくて添い寝をしようとママに頬を擦り寄せると、ママはとても冷たかった。


ソラ「…ママ?」

僕は理解が出来なかった。

ママが冷たくて、ぴくりともしない。


いつもは寝てても、あたたかくて、寝息が聞こえるのに、音も何もしない。


いつもと違う。


『ママはもうすぐ病気で死ぬのよ』


ママが前に言っていた言葉を思い出した。


僕はぼうぜんとした。

そして、涙がこぼれてきた。

どうして?

ママが良くなる様に、お薬、探してたんだよ?

どうして?

お薬、今日、やっと見つけたんだよ?

どうして?

どうして動かないの?


死んだら、もう会えないって、ママが言っていた。


『ソラ、早く帰ってきてね』


今日、ママが寂しそうに言った言葉が胸に突き刺さった。


早く帰ってたら、ママに会えた?


目の前と心の中が真っ暗になった。

僕は悲しくて涙が止まらなかった。


それから何日も何日も泣いてママのベッドで丸まって泣いた。


そしたら人間がごはんを食べない僕を心配していたし、モモもたまに来てくれてたの、気付いてた。


でも、僕は、何にもする気が起こらなかった。


『もっと、早く、お薬見つけれたら…』

『ママの、最後、そばにいられたら…』


僕は後悔しかなかった。


ある日、ママのご主人様が近寄ってきて、僕をなでた。

僕は、しっぽを少し振ったけど、無視をした。


ママのご主人様は言った。

ママのご主人様「ソラ、ごはん食べて?」

ソラ「…」

僕は食べる気なんて起こらなかったし、目を閉じて寝たふりをした。

でも、ママのご主人様は、構わず撫でながら言った。


ママのご主人様「…ソラのママと約束したのよ?ソラの事を大切にするって。」

ソラ「…」

僕は少し目を開けた。

ママのご主人様「ママ、ソラが元気じゃないと、悲しむよ?」

そして続けて言った。

ママのご主人様「私もソラのママが亡くなって寂しいけど、ソラが元気じゃないの悲しいよ」


ソラ「…」

僕は、ママのご主人様の指をなめた。

僕より長く一緒にいた、ママのご主人様も、僕と同じくらい、悲しいんだと思ったから。



一ソラが、本当に元気になるのは、まだ、少し先の事です。

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