ハッピーエンドは味がしない
むしゃむしゃむしゃ。
ばりばりばし。
私は物語を食べて生きている。
そういう生き物。
そういう人間。
だって、ここは何もできない世界だから。
とてもとても、退屈で。
昔々は、ここじゃないどこかにいた気がするけど、そんなの昔すぎて忘れちゃったよ。
むしゃむしゃむしゃ。
ばりばりばし。
ああ、昔の事を考えると頭が痛いな。
体も痛くなってくる。
火傷の跡も、ひりひり。
古傷がうずうず。
おかしいね。
そんな記憶はどこにもないのに。
そんな私は昨日も今日も、明日だって物語を食べて生きている。
世界を上からのぞいてさ、人の暮らしを眺めてさ。
お空の上で寝そべってさ。
むしゃむしゃ。
ばりばり。
読書家気分を満喫中。
でもでも、あれれ。
おかしいな。
ハッピーエンドは味がしない。
バッドエンドがおいしくて。
私の舌はおかしいのかな。