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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

モブ(笑)は今日も勇者御一行にぼこされる

作者: みなほし

誤字脱字などのご指摘を頂きましたら順次直していきたいと思います。

家族とプリ○ュアなどの日曜朝のテレビ番組の話になりまして、その際に何となくで浮かんだネタを文章にしたものですので、ガバガバですがお許しください。

 ヒーロー番組では、怪人が出てくる前にうようよいるモブがヒーロー達に押し寄せ、蹴散らされるというシーンがある。そして怪人登場、ぼこされパワーアップし倒されるというのがセオリーである。

 そして、様々な怪人に悪戦苦闘しながらも徐々に強くなってゆき、ラスボスを倒す程の力を手にする。

 その過程が私は大好きだった。

 そして今日。私は異世界に魔族という種族として誕生した。なんとなんと、魔族は人族と敵対しており、人族最強と謳われる勇者(と愉快な仲間達)VS魔族の王様である魔王(とその国民達)という超絶美味しいバトルが繰り広げられていた。まさにヒーロー(ゆうしゃいっこう)VS悪の組織(まぞく)による闘いのようではないか!勇者の成長を生で見ることが出来ると思うと楽しくて楽しくて仕方がなかった。

 ・・・・・・だが、現実は残酷だった。勇者の前に立ちはだかることができるのはこの魔国の騎士団に入団したもののみ(良く考えれば当たり前のこと)である。それはそれは悔しい思いをしたが、一か八かで試験を受けたら首席合格した。やったね!

 紆余曲折あり魔国騎士(モブ)になることが出来たため、勇者を襲撃しに行くことにした。






「ふっはっはっ!今日はお開きだ!興が削がれた!次を楽しみにしているんだな!」


 勇者の攻撃を一方的にくらい、去り際に決め台詞を吐く。・・・・・・あれ?どこぞのラスボス感が・・・・・・いやいやいや、私はあくまで前座である。ただのモブである。断じてそんなことはない。


 魔国領土に帰ったら隊長に首根っこを捕まれ引き摺られてどこぞの部屋に連れていかれ、説教されることになった。心配したぞと最後に言われた。私はこんなに元気なのに解せぬ。






 それから毎日、勇者の前に現れる→ぼこされる→隊長に叱られるのルーティンを繰り返していた。そのせいか、魔国騎士団と勇者御一行のどちらからもドMゾンビとあだ名を付けられた。解せぬ。


 そんなことより!今日はとうとう勇者が魔国領土にて魔王を襲撃せんと襲ってくる。今か今かと魔王城の天井で待ち構えていると、ついにやって来た。余談だが、一般市民は避難済みである。


「よくぞ我が城にまで来たな!お前たちも大変だったな!ふっ、我が手を下すまでも無さそうだな。フィフィアーナ、ロベルト、タロテス、サーラスこいつらの相手をしてやれ」

「「「「はっ!畏まりました!」」」」


 キタキタキタキター!!!!四天王VS勇者御一行!!!!なにこれ!激アツだよ!?あ、知らぬ間にヨダレが・・・・・・


「良かった、ここにはドMゾンビは居ないのだな」


 とか興奮してたら唐突に勇者にあだ名を呼ばれた。良かったとはなんだ、良かったとは。


「居ない・・・・・・と信じたいがアイツのことだから天井裏で『勇者御一行と魔国騎士先鋭の戦いぐへへ』とか言いながら見てそうだ」


 流石我が隊長。私のことをよく分かっていらっしゃる。ちなみに、隊長の名前はタロテスで脳筋担当だ。


「俺、アイツが怖いぞ。いくら俺が本気で斬りかかってもかすり傷すら付かねーし、なんか、母親(クソババア)みたいな見守るような生暖かい目で見てるんだよ・・・・・・」


 大剣使い、うるさいぞ。そんなこと・・・はあるかもしれない。勇者御一行の成長を見守るのが私の目的なのだから!日々彼の斬りこみは力を増していたので、嬉しかったのだ。


「ドMゾンビって噂はよく聞くけど、そんなにすごいの?」


 良くぞ言ってくれたエロ担当!私はただのモブなのだ!凄くないぞ!余談だがエロ担当こと魔王城の侍女頭の名はフィフィアーナである。


「凄いですよ?僕達、人族の中では敵無しで貴方達とも互角にやり合えるはずなのにそんな僕達全員の攻撃を1歩も動かず、全部真正面から受けて無傷ですからね・・・・・・」


 僧侶よ、それは違う。私だって丸腰じゃない。身体にピッタリとフィットした防御魔法を常時発動しているのだ。無傷なのにはトリックがあるのだ。丸腰で勇者御一行の攻撃を凌いだ化け物みたいな扱いはやめてくれ。


「知略も僕を遥かに凌駕していますよ」


 やめろ、参謀担当。それは前世の記憶があるからだ!私自身が頭がいい訳では無い!余談だが、参謀担当こと宰相の名はサーラスである。


「あの子、凄いわよねぇー」


 どこがだ!?魔法使い、そんなわけはないぞ!?普通(ここ大事)の魔族だぞ!?


「凄い通り越して怖い」


 怖くないぞ!?怖くないからな!?酷い言い様をするのはショタ担当こと魔王様の息子のロベルト様だ。


 このように激アツバトルではなく私に対しての愚痴合戦が始まっていた。何故だ、解せぬ。


「酷い・・・・・・」


 ポソリと呟いたのが運の尽きだった。


『・・・・・・』


 場の空気が凍りつき、皆が錆びれた人形のようなぎこちない動きで私がいる天井に首を向ける。

 そんな中、隊長がいち早く立ち直ったのか、怒鳴られた。


「リリー!本当に天井に居たのか!?いいから降りてこい!このバカ!」

「だ、だってぇ・・・・・・」

「だっても何も無い!これから説教だ!」


 そう怒鳴られ、いつも通り首根っこを掴まれズルズルと連行されて行くこととなった。解せぬ。


「俺、一切気配に気付けなかったんだが・・・・・・」


 大剣使いの言葉に、この場にいる全員が自分もだと頷き、ため息をつくのだった。






 勇者御一行襲撃より数週間後。

 何故か勇者達は無傷で国へと送還され、魔王様と勇者御一行はどちらも元気ピンピンだったのだ。何故だ?私が生まれた時は争っていたのに・・・・・・解せぬ。

 だからこそ!私は今日も今日とて勇者にぼこされる。

 勇者の成長のためにも、身を粉にして頑張るのだ!あぁ、なんという幸せ!勇者御一行の成長に関わることが出来る幸せを噛み締めていたせいで笑っていたのだろう。そのせいか、痛いことに喜んでいると勘違いされ、今日何度目とも知れぬため息を勇者御一行につかれるのであった。






 彼女は知らない。人族VS魔族の争い終結の原因が彼女自身であるということを・・・・・・そして、影ではドMゾンビではなく邪神とまで言われ恐れられていることを。

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