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アーモがオルダンブルグを卒業してから数日後、マンフリートの予想通り、南部戦線が開戦された。
ヨコキ共和国を知る者は誰もが激戦になることを予想した。
ベカたち養成所の職員が開戦を知ることになるのは、その三日後だった。マンフリートとアーモは予定通り、最前線の部隊に配置されたみたいようだ。
『戦争が終わったら、アーモとオルダンブルグに行くよ』
ベカは手紙を机に置くと、皿に乗っている緑いろの葉っぱを口に放り込んだ。口の中で苦さがじわじわと広がる。まったく、アーモはよくこんな不味いものを好んで食べていたものだ。
オルダンブルグ養成所で起こった襲撃事件はもう過去のものとなっていた。食堂ではいつものように、だべっている中年グループや、義手を見せびらかすロカ、とてつもない量を食べるダラットがいた。
「この席いい?」
ソラがお盆を持って、正面の席に座った。
「もう座ってるじゃないか」
「そうだね。そういえば、ベカが野菜を食べてるところ初めて見た。明日は雷でも降るのかな?」
「ああ、一度食べてみようと思ってな。でも不味い。もう食べたくないね一週間に一回くらいでいいかな。それにしても、どっかでしたことのあるやり取りだな」
「さあね……あと、その野菜、多分人間用じゃないよ」
ベカは勢いよく、口をゆすぎながらコップの水を飲み干した。
「それ本当か?」
ソラは微笑んだ。
「そうだ、今日から古龍の世話をするんでしょ?」
「そうらしいな。新しいドラゴンの次は古いドラゴンだ。それもマンフリートのドラゴンらしい」
「それじゃあ、ベカより優秀そうだね」
「そうかもな」
ベカは窓から南の空を眺めた。
「いつか、アーモが戻ってくるといいね」
ソラはニッコリと笑った。それを見たベカは頬を赤らめて視線を逸らすと、
「ああ」とうなずいた。
今日もオルダンブルグの天気は飛行日和だ。
この物語を読破した皆さん、最初から最後まで読んでいただきありがとうございました。
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