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菫とスミレとナントカと

うう。長いかもしれないです。読んでくださっている方がいるかわからないのですがもし読んでくださっている方がいたらとてもうれしいです。

「あ、朔、大丈夫か?」


「ん?ああ、ちょっと腹痛だっただけだから。でももう大丈夫、ありがとな、翔」


「朔がこんなことでお礼言うなんて珍しいな。まあ、もう治ったんならよかったよ。」

翔はそう言って少し珍しそうな驚きと安堵の混じった笑みを浮かべ自分の席に戻っていった。俺の「ありがとう。本当に。」という言葉は後ろ姿の翔には届かず教室のざわめきに飲み込まれていった。


「朔。」


声がして振り向くとそこには厳しい顔をして俺の顔を見つめる槙がいた。


「朔、「槙。何でもないから。大丈夫お前はいつも通りでいろよ。」…」


槙の声を遮るようにして言うと槙は不機嫌そうな表情を浮かべる。


「朔。俺の言いたいこと分かってるんだろ。」


「分からないわけがないだろ?いつからお前のそばにいると思ってる。」


「ならどうして何も言わない。」


「槙。これは―の問題じゃない。お前の関わることじゃないんだよ。」


槙、ここから先は現在のお前らの問題じゃないんだ。もっともっと、根の深い問題なんだ。


「朔、俺は、お前にそこまで言われたら逆らえないんだよ。」


「それでいい。槙。今はまだお前に話すときじゃないから。ただ一つだけいうのなら、“菫”とは関わりす

ぎるなよ。あれには裏がある。」


「朔…。ああ。菫はスミレでない面も持っているのは知っているよ。」


「知ってるんだったらいい。ごめん、ごめんな。」


「朔…」


さっきの不機嫌そうな顔とは打って変わって悲しげにまだ何かを言いたそうにしている槙をおいて自分の席に着いた。ああ、なんてふがいないのだろうか。不完全で出来損ないな俺たちは、どうしたらいいのだろう。そんなことを悶々と考えているうちに担任が教室に入ってきた。それも、香しく危険な香りをつれて。


「おはよう。今日はスペシャルゲストを連れてきたぞ。」


「「おお。」」


少しざわめく教室。きっとこの香りには気づいていないのだろう。まあ、それも当たり前だが。


「今日はなあ、なんと橤族の方がやってきたぞ。まあ、あれだ、毎年恒例の花化法の様子見ってところだ

よ。それでは後はよろしく頼みます。日詰さん。」


ひすめ…?ああ、だからか。菊花が珍しく俺に助言をしてきたのは。


「こんにちは。まあ日詰とはいえ私は分家の人間ですので本当は窪田登里といいます。仕事上、日詰の性のほうがやりやすいので使わせていただいているだけなんですよ。まあ、様子見、とは言いましてもただ皆さんと少し生活するだけですので、そんなに肩ひじ張らないでください。」


「おい、朔。やっぱ橤族は違うな。少しでも一緒に生活できるなんて嬉しいよ、俺。」


「翔。あんまはしゃぎすぎるなよ。」


「さくちゃん、日詰の分家って…」

少し翔と話しているとそのスペシャルゲストと目が合った気がした。日詰の分家の窪田登里、か。聞いたことはないが、このタイミングでこの教室にこの調査。そろそろ、限界か。


「朔。」


「槙。菫とスミレと…」


「トリカブト」

後ろからいきなり声が聞こえ後ろを振り返るとさっき先生の紹介を受けていた窪田登利が後ろでにこにこと笑顔を浮かべて立っていた。


「違いましたか?」


「いえ、、間違っているとかでは…」


「たしかに菫という漢字はトリカブトとも読みますが、僕はトリカブトとかには関係ないですよ?」


混じり気のないまっさらな笑顔で言ってきた。どこか危険な香りを漂わせながら。


「わかってますよー。そりゃ、わざわざ派遣されるんですもん。そんな方ではないことくらいわかりますよー。それじゃ、僕たち次移動なんでもういきますね。さーくちゃんっ!いこっ!」


槙はいつもの風を装って、しかし少し窪田登里を警戒した様子で俺を誘導した。


「槙。もうちょっとちゃんとした言葉で喋れよ。窪田さん、それでは、また。」


「ええ。お気をつけて。」


窪田は今度はさっきと違い少し敵意を向けた笑みをその顔にたたえていた。彼がそのあと


「―は私に死を与えたことをきっとお忘れなのでしょうね。それも不完全で出来損ないといわれるあなただけの特性上仕方のないことなのですが。」といっていたことなどその時の俺は知る由もなかった。


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