プロローグ まどろみのなかで
読んでくださってありがとうございます!
初投稿、初連載、ドキドキです。つたない文章ですが楽しんでくださるとうれしいです!
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――桜、貴方だけだから。この橤族をどうにかするのは。貴方は不完全で出来損ないなのではないわ。あなたはたった一人の……できるものなんだから。
――でも私は忌み嫌われています。私はコインの裏側だから。表側の貴方ではわからないのでしょう。
――知ってた? コインというのは常に表と裏で一つなの。私たちは分かり合えないけれどだからこそお互いのことを一番よく分かり合えるの。ふふふ、きっと理解には時間がかかるわ。貴方が理解できたころここにいるのはきっと貴方じゃない誰かなのでしょうね。でも。いつかあなたに会える日を信じてるわ。
……ああ、あの時ああいってくれた貴方は誰だったのでしょうか。私には分からないのです。貴方の記憶だけがないのです。私は橤族の……だから。私にすべてを思い出すことは許されないから。貴方は今どこにいますか。あなたはあなたの幸せのある場所にいるのでしょうか。貴方には私が見えているのですか。そこはどこですか。あなたの死ぬ場所ですか、生きる場所ですか。私は探しているのです。姿も声もわからない薄らいだ記憶の中にいるあなたの偶像を追い求めているのです。どうか、どうか貴方の姿を私に見せてください。
「桜の木の下で待っています」




