サークラ美少女を護衛せよ(11)
「…………なんだよ………」
教室内が、上を下への大騒ぎになる中。
よろ、よろ、と立ち上がった男が、紗紅の前に寄ってくる。
「お前がされたことには、同情するよ。
でも、それで、なんでみんな、サークルのみんなを巻き添えにして、カップル壊して、みんな傷つけて、めっちゃめちゃに、荒らしてるんだよ。関係ないやつまで。
ほとんどの奴は、何にも知らなかっただろ!!」
「知らないことは罪らしいですから」
小首をかしげながら、紗紅は微笑む。
「同じ集団の中でいながら、気づかない。
知らないほうが、悪いと、部長の理屈に従えばそうなりません?」
「罪だって言ったのは、部長とあいつらだろう!!
それ以外の奴に、なんで、なんで!?」
「そうですよねぇ。
私もおかしいって思います。知らない方が悪いだなんて。
ねぇ、三条さん。どう思いますか?」
急にこちらに振ってきた。
「それが罪だと教えられないまま、罪をおかした人。
それを罪だと知っていて隠そうとした人。
なにも知らずに周りでのほほんと生きていた人。
なにも知らずに私に騙された人。
そして、不文律というものを知らないままで、被害にあった私。
三条さんは、誰が一番罪が重いと思います?」
「………………………」
いや、レイプ犯に決まっているのだが。
「…………けん、な…………」
男が、うめいて、紗紅に近づき、喉元を掴みあげた。
「好きになったんだよ。
好きだったのに……ふざけんな…………」
首を締めるその腕に和希は飛び付いてはがすと、男の体の下に潜りこみながら、その体を背負い投げた!
ゴロンッッ!!と転がり床に叩きつけられる男。
本当に。
慶史を連れてこなくて良かった。
「お、おまえの、せいで!!!」
床に転がった男をまたぎながら、拳をふりかぶって紗紅を狙おうとする女。
和希が腕の付け根に掌底を打ち込むと、そのまま、床に落ちている男の上に勢いよく尻餅をつく。
「…………なんでよ、なんで…………」
「!!」
紗紅の髪を掴む、部長。
グイと乱暴に引っぱる。
和希はとっさにその脇腹に蹴りをぶちこんだ。
部長の体が蹴り飛ばされ、壁に当たってそのまま床に崩れ落ちる。
……うん、心配以上だコレ。
男も女も、紗紅と和希を狙い出していた。
紗紅の信奉者らしい男たちが何とか止めようと助けてくれているが、多勢に無勢。
ああ、めんどくさい。
「失礼!」
「え、ええ!?」
和希は紗紅の軽い体を肩に担ぎ上げると、そのまま机や椅子や倒れている人間たちを乗り越えて、走り走り、外まで脱出した。




