決断
トラ熊達はまだ距離があるがすごい速さで
こちらに近づいてくる。
「ちっなんでこっちに近づいてくんだよ…まさか」
ニルは何かに気づき足元を見た
「…なるほどそうか」
そうつぶやき双眼鏡を槍かえ
俺のポケットに入れていたバトンをとった。
「おいタク、バトンを返してもらうぜ」
そう言いニルは人か逃げている方と逆にの方向に歩む。
もしかして戦う気か
「おまえまだ弱いだろ森での動き見てればわかる
ここは俺に任せろよ。あれぐらい大したことない」
はっきり言わなくても確かに森を進んでたとき
息切れしてた俺と違って余裕そうだったが
だけどいくら何でもあの大きさ自分より大きな獣三匹
「無理だ!」
俺はニに駆け寄り腕をつかむ。
しかし振り払われた。
「いけよ。あれは俺の責任だ。
それにあの速さだとこの先の避難所まで追いつかれる」
まさか犠牲になる気なのか。
俺が躊躇しているのを見かねてか
ニルは振り向きそして笑い
「おっと俺は別に犠牲になる気はないぜ
ある程度食い止めたら適当に逃げるから安心しな
ほらもうみんな先に行っちまってるおまえもいけよ」
そういって獣の方へ走っていっていまった。
おもむろに俺も後に続こうと足をあげたが足を止める。
俺なんかが何の役に立つむしろ邪魔になるのではないか
…俺は後ろに振り向き
「がんばれよニル」
そういい後ろを振り向かず逃げた。
非難所を目指してわからない町を走る。
先に逃げた人達はもう避難所にいってしまったのか
市民はどこにも見当たらなくなった。
後ろ見る叫び声と地響きがする
「戦ってるのか…ニル大丈夫か」
後ろを見ながら走っていたせいか足元にあった木箱にぶつかり
派手にころんでしまった。
いてえ。よそ見はするもんじゃないな…
あれ前にもよそみしてぶつかったことあるような
「大丈夫」
頭上から声がした。
顔を上げると手が差し伸べられている。
「ありがとう」
瞬発的にお礼をして差し伸べられた手をつかみ立ち上がる
とパッとてが離される。
見ると黒髪の髪の長い少女。
紫色の瞳、幼さが少し残るが美人だった。
町の人と変わらない服装をしている所を見ると
地元の子だろうか
…これもなんか似たようなことあったような。
「あなたが何言っているかわからないわ
それよりこの先の避難所は店員オーバーよ」
そういい少女は家と家の間の裏路地を進み
「ついてきてもう一つの避難所に送るわ」
といい振り返る。
俺は自分が走ってきた道みる。ニルはいまだにこない
「だれかまっているの」
「ああ」と言葉が通じないがうなずく。
再び奥から唸り声が聞こえ
ズドンと爆音が鳴り響く
そしてもくもくと煙が立ちのぼっていた。
「タイガーベアと戦ってる人を待っているなら諦めたほうがいいわ」
「どういうことだ」
「兵士が襲われて死んでしまう話をよく聞くし
それにあの数にあの大きさとても一人でかなう相手ではない」
いいたいことがなんとなく察してくれているのだろう少女は淡々と話しを進める。
「気に病むことはないわ。
勝てないと判断して逃げるのは間違えてはいない
責任は逃げずに戦う方を選んだ本人の責任だから」
確かに俺が行ったところでどうにかなるわけどもない
ましてや会って数時間ぐらいしかすごしていない相手に
命なんてかけられるわけがない誰だって自分の命が大事だ
よくわからない世界に来てむざむざ死にに行くなんてばからしい。
「どこへ行くの」
少女の声でわれにかえる俺の足がさっきいた方向に戻ろうとしていた。
「まさかあなた助けにいくつもり」
少女はにらみながら俺に問う。
そんなはずないこの少女と逃げれば
「ああそうだよ」
少女が何か言う前に
俺はさっき来た道を引き返した。