謎の世界
一話目です。
日差しの強さで俺は目を覚ました。
上半身を起こしてゆっくり眼を開ける。
「あっ?」目にした非現実的な光景思わず声が漏れた。
ぼやけた視界から目にしたのは、
草木が生い茂る自然豊かな光景が広がっていた。
ファンタジー世界に迷い込んだ感覚。
俺は突然の光景に戸惑いながらも
起きたばかりの頭で記憶を巡らせた。
祖母の家に来てて
あーたしかパワースポット巡りをしてたんだっけ
ガイドの一番上に書いてあった神社に行って
順序通りお参りしながらまわって…まわって…あれ
そのあとの記憶があいまいだ。
気持ち悪いってことだけは覚えているも
それしか思い出せなかった。
…これは夢に違いないあまりに現実逃避しすぎて悪い夢でも見ていたのだろう。
次に目を開けるときは見慣れた天井だと
そう思い願いながらその場に横たわり
目を閉じることにした。
風を感じ土のにおいが鼻につき
太陽の日差しを未だに感じながら------
あれからどれくらいの時が立つのだろう。
いっこうに夢から目覚める気配がない。
そもそも夢ってどうしたら覚めるんだ?
もう一度起き上がりベタだが自分の頬を掴み引っ張った。
「いった!」当然だが痛い。
夢の中は痛覚がないと思ったけど
どうやら違うようだ。
と気楽に考える一方大きな不安で背中が痺れる。
もしこれが現実ならここはどこなんだと
俺はその場から立ち上がり体にこびりついた
泥を落としながら回りを見渡した。
やはり最後の記憶にある
杉が生い茂る神社の風景からはほど遠い
足元は雑草や今まで見たこともない
色とりどりのクローバーに似た花が
数メートル先まで広がっている。
少し先に変な形をした木が立ち並ぶ森見えその隙間遥か先に
建物が見えた。
ますますここがどこにいるのかわからなくなる。
まさか海外か…
スマホを取り出して現在地を確認しようと
上着の内ポケットに手をいれる。
あれ?手触りがいつも触れているスマホの感覚ではない。
掴み取り出すと確かにスマホだ。
パンパンに膨れあがった形の
「あつっ」
スマホはとんでもない熱さで思わず手から落としてしまう。
地面に落ちた衝撃でスマホは真っ二つに割れ画面も真っ二つにわれ、
バッテリーが燃えながら飛び出し一瞬で灰になった。
他の部品を拾うも熱のせいだろうかフレームがかなりまがり周辺が焦げ
完全に修復不可能の状態になっている。
俺は諦め壊れたスマホを無理やりくっつけポケットにいれた。
スマホはあてにならないもう一度森の先にある建物をみて
とりあえずこのままここにいてもラチがあかないし
あそこにいってみるか
と考えている時であった。
「リューレイ」
背後から声が聞こえた。
驚いて振り返ってみると男が
走って近づいてくる。
ここの原住民か何かだろうか
いつでも対応できるよう軽く身構えた。
年齢的には俺と同じぐらいの年だろうか
髪はオレンジ色で堀が深い目元いかにも外国人
男は俺の目に前に来ると
「%&$&%##%&」
よくわからない言葉でしゃべりかけてきた。
何語だろうか少なくとも日本語ではないようだ
雰囲気的には
「よう、ここでなにしてるんだ」
と、気さくに挨拶しているように感じた。
「こ、コンニチハ」
とりあえず挨拶して返すも片言に返事してしまう
しかし相手には伝わらなかったようで
「こんてぃ-?。#$%#&$$#&&&&」
首を傾げた。
こんな時はどうすればよいのか
英語や中国語ではないように感じる。
少なくとも今まで聞いたことないような言葉だ。
相手の言葉を復唱しようとしても
聞き取れないのである。
ダメもとでジェスチャーして伝えることにした。
「ここは」俺は指を下にさし
「どこだ」そしてお手上げのポーズをとったそれっぽい顔つきで。
これが精一杯だった。
「ブフッ」
と男は突然吹き出し
その場に倒れこみ腹を抱え爆笑した。
え、俺何かやっちゃいました?
ジェスチャーが下手くそだったのか
最後の間抜け面がわるかったのか。
反省すると小っ恥ずかしくなるのでしない。
地面をたたきながら笑っている男に少し腹が立ち
「ッチ」思わず舌打ちをした。
男はまだ笑いながらごめんごめんといった感じで
手をはためかせながら立ち上がる。
背は俺と変わらないくらいだから最悪喧嘩してもギリいけるかな。
そう軽く考えていると男は俺に向かって放物線を描くように何かをほおった
「おっと」両手でで辛うじてキャッチする。
掴んだものを確認してみると
半球で表にはフィルターのような網目があり
裏には耳にちょうど入りそうな
突起のような形をしたカナル型のイヤホンのようなものだ。
男は耳につけろよといわんばかりに自分の耳をちょいちょい指さしている。
側面にはL、Rのような左右の表記はなかったので
(よくわからない文字はあったが)
とりあえず適当に装着してみた。
「おお!」
イヤピースが俺の耳に一体になるようなとても装着感に思わず感動。
「あー俺の言葉わかるか?」
聞き覚えのある声。さっき理解できなかった男の声だ
「わかる。わかる」
俺は瞬時に答えを返した。
会話ができると期待したのだが
「わか・・悪いな俺からはお前の言葉は理解できないんだ」
何!?お前の言葉が理解できるのなら俺の言葉も理解できるのではないか!
という俺の心が通じたのだろうか
「なんつうかよ。俺は技術者じゃないから詳しいことはわからないんだが。
そのイヤホンは登録されている言語をフォルターに
声を通して翻訳してくれるんだよ」
男は説明をはじめた。
「俺もさっきからお前と同じやつを装着してるけど
お前の所の言語は登録されてないみたいだな」
男には俺の言葉は通じないみたいだ。
「まあいいか。この世界は色々な所から呼び込んでいるみたいだから
こんなことはザラにあるみたいだけどな」
呼び込む?どういうことだ。翻訳の故障か
「お前名前は?言葉は理解できないから
俺はーとか余計なこと言わずに名前だけ言えよ
ちなみに俺の名前はニルコス」
ニルコスは手を差し出してきた。
悪い奴ではなさそうだな。
「タクロウ」
ちなみにフルネームは世川 拓浪。
「タク・・・タクでいいかわるいな
二文字ぐらいしか上手くききとれなくてよ」
全く聞き取れなかったニルコスの言葉よりましだと思う。
「ニル」
ならば俺もと二文字で返しながらニルに向かって手を差し出し握手をする。
「お前名前で返してくれたか!よろしくいなタク!」
こうして世界?に俺とニルの友情は生まれた。
「よし!さっそく力比べだな!」
は?
そう言ってニルは俺の手を若干変な形になるまで強く握った。
「いってええええええええええええええええええ!」
世界の交流は大変そうです。