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70話 難航

 どうやらリドくんはノイン参謀と会議中だったらしい。

 半刻も経たずに図書館に姿を現し、異様な空気を感じたのか質問攻めにされた。


 一部始終を説明するとリドくんは大きな溜め息を吐く。

「……無事で良かった」

「ミスティス先生の授業のおかげだよ」

 だから落ち着いて欲しい。

 包み込むようにハグしなくても無傷だよ。私まで落ち着かないよ!


「……セリ、災難だったな。でもリリシア様に怪我をさせるような真似はするな。なぜすぐに庇わなかった」

「……だって~、角とか牙が生えたセリを見たら、嫌われちゃうかなって思ったんだもん……」

 段々と消え入りそうな声でしゅんとするセリちゃん。

「まさか! 嫌うわけない!!」

 あまりのいじらしさに図書館であることを忘れて力説した。大声出してすいません……。


「むしろもう一回見たいぐらいだよ? セリちゃん綺麗だったし」

「……そんなわけない~」

「なんで? すごく神秘的で、私は好きだけど」

「……ほら、よかったな。セリ」

「……うぅ~。リド退いて~。リリシア様にぎゅーってしたい~!」

「……嫌だ」

 未だ後ろから私を腕の中に閉じ込めているリドくんと、セリちゃんが揉め始める。

 リドくんをポカポカ叩いて抗議するセリちゃんが、めちゃくちゃ可愛い。

 話し方もすっかりいつも通りだし、元気になってよかった。


「あ、そうだ。このことは父様たちには内緒にしておいてもらえないかな?」

「……それだと殺せないけど」

「いや殺さなくていいので!」

「……でも変わったことがあったら報告する義務があるよ~」

「そこをなんとかお願いできない……? 一緒にいたセリちゃんが責められるかもしれないのは嫌だよ」

 過去に将軍の首が飛んだ(物理)からね……。

 セリちゃんが同じような目に遭うかもしれないなんて、看過できない。さすがに女性相手には手加減してくれると信じているけども。


「……セリのことは気にしなくていいのに~」

「そういうわけにはいかないよ」

「……報告せずに発覚した時の方が、罰が重いと思う」

「あー……」

 それは確かに。

「じゃあ私から言うので二人は報告しないでくれる?」

 父様を超ご機嫌にして、セリちゃんのことは伏せつつふんわりボヤかして言おう。

 そして無罪にもっていく!


「……リリシア様がそう言うなら」

「……分かった~」

「ありがとう」

 図書館にいる人たち全員に口止めは出来ないから、噂になる前に言わないと。


 まあ、とりあえずそれは一旦置いとくとして。

「二人に一つ質問してもいい?」

 突然の問い掛けに、揃って首を傾げるリドくんとセリちゃん。息ピッタリだ。

「……何?」

「リドくんとセリちゃんは悪魔商会って利用してる?」

「……? ほとんどしてない」

「……悪魔商会がどうかしたの~?」

「そっか。ううん、ちょっと訊いてみただけ」

 残念……。二人からは何も聞けそうにないな。


 キリノムくんも商会の本部がどこにあるのか知らないと言っていた。

 なんでも定期的に場所を移すのだそう。商品と一緒に。

 商品目当てに襲撃されるのを避ける為らしいけど、さすが悪魔らしく狡猾で隙がないのだ。

 そこまでは分かったものの、その先が行き詰まってるんだよね……。


「……それよりリリシア様~、リドにここを任せてケーキ食べに行こう~?」

 セリちゃんが私の手を取りクイクイと引っ張ってきたので、考え事を中断する。

 おっと、今は私一人じゃないんだった。

 というか、話を逸らす口実だったとはいえ誘ったのは私だったよ。


「……セリ。俺は仲間外れか?」

「……ガールズトークするんだもん~」

「……その言い方はズルい」

 リドくんは不満そうにセリちゃんをジト目で睨むけど、引き止めたりはしない。

 さすがリドくん。あの三人とは違う。

 早く帰ってこいとも言わない辺り、真のイケメンだ。



 それからセリちゃんとカフェテリアでケーキを食べ別れた。

 部屋まで送ると言ってくれたけど、考え事をしながら帰るからとお断りした。

 だけどキリノムくんの仕業により増量されまくってお腹一杯で苦しいとしか、他に何も考えられない。


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