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26話 もはやテーマパークだよ

 ソラがうちに来て一週間が経った。

 慣れない環境に連れて来られたにも関わらず、すくすくと健康に育っている。

 素晴らしい。このまま健やかに成長してもらいたい。

 現在のソラの大きさ。


 シベリアンハスキーぐらい。


 育ちすぎじゃない!?

 ぬいぐるみサイズなんてあっという間で、もう私が背に乗れるぐらいだ。

 て、天狼ってこういうものなんだろうか。


「ソラって大きくなるの早いね……」

「ガウ!」

「これって普通のスピード?」

「…………ガウ?」

 ちょっと考え込み、首を傾げるソラ。よく分かってないっぽい。

 ソラは大きくなっても仕草が可愛く一々萌える。萌えの宝石箱や!


「成長は個体差が大きいのかな」

 ソラしかいないから比較のしようがなく、何とも言えない。うーん。

「まあ健康ならいいか。ソラ、散歩に行かない?」

「ガウ!」

「今日は天気も良いからいっぱい遊べるね」

「ガウ!!」

 この五日ほど雨が続き外に出られなかったので、ソラも嬉しそうだ。

 私も晴れている方が好き。


 ソラを連れて庭に出る。

 庭と言ってもゴルフ場いくつ分だよってくらい広大で、ヘタすりゃ迷うほどのものだ。

 ガーデンスペースにさえ気を付ければ遊び放題。

 ソラのお気に入りスポットは木が鬱蒼としている森みたいなところと、ドッグランのように柵で囲まれた何もない砂地の辺り。


 なんでそんなもんが庭にあるのかとお思いだろうが、魔法の実験をしたり鍛錬をする為の場所として造ったらしい。

 ただし、使用権限は魔王とその側近にしかない。

 セレブ専用施設みたいなものだ。

 今はあまり使われていないので、専ら散歩コースとして使わせてもらっている。

 私が魔法の訓練とかできるようになったら本来の目的でお世話になる予定。


 ちなみに一般の城勤めの人たちは鍛錬場という建物を使う。

 城の端にあり、ゴツゴツとした鋼材を使用した頑強な建物だ。

 外壁に謎の崩壊痕や無数の刀傷、血痕っぽいのがある斬新なデザイン。修復しようよ!

 中を見たことがないのでちょっと気になっている。

 でも一人で訪れる勇気はないよ!


 反対側の端にはコロッセオみたいな闘技場もある。

 ここは年に一度、大闘技大会を開催している。

 武を競う祭典で参加資格は城勤めの人に限らず、一般の魔族もOK。

 優勝者には魔王(父さま)から何でもお願いを一つ聞いてもらえるのだ。

 もし「その座を寄越せコラァ!」ってなったら父さまとバトル開始。

 過去に何度とあったらしいけど、みんな殉職されたようだ。跡形もなく……。


「ソラ、今日はどの辺に行く?」

「ガウ」

 ドッグランもどきの方向を見て吠えるソラ。よしきた。

「じゃあ競争だ!」

 言い切る前に走り出す。

 今の私はドレスではなく運動用の服装。

 白いフリルシャツに紺碧のリボン。ショートパンツにニーソと至ってラフ。

 さすがにスニーカーはないから足元はブーツだ。でもヒールの無いものだから走ったって安全。

 いつものドレスも可愛くて好きだけど、やっぱりこっちの方が性に合う。


「って、速ッ!」

 早くも息切れする私のすぐ横を、弾丸のような速さで走り抜けていくしなやかな肢体の狼。

 思いっ切り身体を動かせるのが嬉しいのか、あっという間に豆粒サイズになった。

 うん、楽しそうで何よりだ。

 にしても私の体力の無さよ……。そんな大した距離を走っていないのに、早くも気管が悲鳴を上げている。

 図書館の一件以来、ソラの散歩を兼ねてこうしてランニングを日課に取り入れているのだけど、この体たらくである。

 さ、酸素ボンベを下さい……。


「弱った子羊を捕獲」


「ふぎゃっ!?」

「相変わらず色気のねぇ悲鳴だなぁ」

 背後から気配もなく私を抱き上げたのは、赤褐色の髪と顎髭の美丈夫。


 バルレイ将軍だった。


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